ギルドと栄光の翼 part19
PV40万達成しました!
皆様ありがとうございます!
このまま50万目指して頑張ります
Bランクパーティーの言葉に加えてギルドの発言。さらに今回の変異種討伐とは別で、ありもしない話を吹聴したという事実。これらによって着実にフォールたち栄光の翼は追い詰められていた。
「ステラ! ドヴォル! どういう事だ!?」
変異種の件とは別に癒着の件についてはフォールも全く心当たりがなさそうな様子を見せている。
(あの様子は演技に見えないが……)
そういえばと俺には思い当たる節があった。フォールはつい最近までワイバーンの攻撃が原因で療養してたという。となればその時にステラたちが何らかの行動をフォールに知らせず取っていたという可能性が浮かび上がってくる。
(ステラはともかく、ドヴォルはそんなに頭が回ると思えない……。となればやっぱりウィズか?)
ウィズによって俺はありもしない罪をなすりつけられ衛兵に追われる事となった。俺の予想が正しければ、裏でコソコソと細工をしていたのは全てウィズの発案によるもののはずだ。
そして栄光の翼というパーティーを起点にギルドとも繋がり色々やっていたに違いない。それこそ調査が進めばこれまでに何があったのか、その全てが明るみに出るだろう。
「俺はそんな話聞いていないぞ! お前たちは一体!?」
「ち……違うのフォール! 違うの!」
「何が違うんだ!」
ついには仲間内で言い争いが起こる。フォールが厳しい口調でステラを責め立てる。フォールとステラが言い争う光景は俺ですらこれまでに一度も見た事がない。さすがのフォールも今回の件に関して、自分に何の話もせず勝手に動いた事に対し腹を立てているようだ。
「落ち着けよフォール。ステラの言う通りだ。俺たちはウィズの言った通りに動いただけだぜ」
「ちょっ! 何言ってるのよ馬鹿ドヴォル!」
ついにはドヴォルがポロっと口をもらす、ウィズが言った通りに動いただけ。そう口走ってしまったのだ。
(もう少し考えて発言していれば……な)
戦闘でもそうだが、ドヴォルはとにかく何でも力技で解決しようとする悪い癖がある。本来ならどこかでそれが通用せず、自分を見つめなおす機会があったはずだ。だが栄光の翼にいるうちは何でも物事が上手く進み、快進撃を続けてしまう事となった。
その結果、ドヴォルは挫折や苦労もしらず、ただ力任せに戦う事しかできない戦士になり下がってしまったのだ。
「さて爺さん。もういいんじゃねぇか? はっきりいってコイツは黒だろ? まさか一パーティーだけじゃなく、ギルドそのものまで関わっていたとは予想してなかったがな」
ヴァルトがこれまでだなと呆れ顔をする。さすがにこうなっては栄光の翼の彼らがいくら何を言っても弁明できる余地がないと薄々感じとったようだ。
「それにうちのミラーナがあんたとこのパーティーと何か契約しちまったみたいだが……。こうなった以上それも破棄で構わねぇよな?」
ミラーナが栄光の翼が取り交わした契約。これを破棄しても良いかと尋ねている。どうやら騎士団でもミラーナのあの契約の件を把握していたようだ。ミラーナ自身が直接契約の件を報告したとは考えにくいため、おそらく別口で情報を入手したのだろう。
(というより町を回っていたら普通に耳に入るか……)
ミラーナは目を惹く容姿をしている。そんな彼女が無能と呼ばれる男と行動を共にしているとなればさすがにそういった噂が出回っても何らおかしくはない。とはいえこれで契約の件が無効になれば解決だ。
「おいおい、そいつは聞き捨てならねぇな!」
だがヴァルトの発言に対し、否定するよう声を上げる者がいた。ドヴォルである。
「その姉ちゃんは俺とじっくり遊ぶ予定になってるんだよ。顔も悪くねぇし良い体つきもしてる。俺はよぉ、その女を滅茶苦茶にするのが楽しみで楽しみで仕方ねぇんだ。おっさんは引っ込んでな」
ミラーナの肢体にいやらしい視線を向けるドヴォル。その発言に不快感を感じたのかミラーナはおろか、横にいたローナル、同じパーティーのステラですら嫌悪の表情を浮かべていた。
「そこの無能が何の成果も出せなかったら契約は成立。だったよなぁ!?」
「は……はい。確かにドヴォル様の言う通りです」
ドヴォルの言葉に受付嬢がコクコクと頷く。確かにその言い分は一理ある。今回の変異種の件と癒着の件。それと俺が成果を出す件は別件だからだ。それを計算した上でドヴォルが発言したのなら大したものだが、おそらく何も考えず欲望のまましゃべった結果だろう。
(まぁそうは上手くいかないけどな!)
追放宣告され、どうしたらいいか分からなくなって絶望していた俺を救ってくれたミラーナ。そんな彼女のおかげで今の俺がある。彼女がいたからこそ立ち直れたし自身もついた。そしてだからこそ今回、オークの件を解決する事ができたのだから。
「あははは」
当然俺以外にもそれが分かっている者がいる。レイシアがまるでおかしいものを見たかのように笑っている。彼女もまた今回のオークの群れ討伐に貢献した人物の一人なのだから。
「諦めが悪いなぁ。彼はオークナイトやメイジ、ジェネラルまで倒してるんだよ? 成果としては十分じゃない?」
「はっ! オークの変異種ごとき俺なら簡単に倒せらぁ!」
「それにそこの無能が倒した証拠もないじゃない! どうせどこかの商人から適当に買い取ったりでもしたんでしょ!?」
ここまで来てもドヴォルやステラはまだオークの件について納得する様子を見せず反論してくる。
「へぇ。なら"それ以上"のものを見せれば君たちは納得するの?」
「できるものならな! もしそんな事ができるなら逆立ちして町一周歩いてやらぁ!」
「そうよ! そうよ! 無能のコイツが変異種討伐なんてできるわけないわ!」
その言葉を聞きレイシアがニヤリと笑みを浮かべる。言質を取ったぞといわんばかりの、悪い顔をしている。そしてその表情のまま視線を俺に向けてくる。
(ったく。まあここらが見せどきだな
ミラーナを苦しめ、俺のステータスダウンの魔法を使ってでさえも苦戦させられた存在。俺はアイテムボックスから"ある魔物"の亡骸を取り出した。