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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
一章 無能と呼ばれる男
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ギルドと栄光の翼 part14

大物登場の予感!

ギルド長。各地にあるギルド。そのギルドを統括している者を指す役職で、ギルドマスターとも呼ばれている。何となくだが、これまでのやりとりでこの老人こそがこのギルドの長ではないかと予想したが、見事に的中したようだ。


「あ……あの人が……」

「初めて見た……」


周りの様子を見るに、どうやらギルド長を見るのは初めて。と言うより俺も姿を見るのは今日が初めてである。噂ではかなりの凄腕、それもAランクはおろかSランク相当、あのオークエンペラークラスの魔物ですら倒してしまえると言われているほどだ。


あの老人がギルドマスターなのであれば先ほど放たれた圧倒的な覇気にも納得がいく。まさしく武を極めた達人。そんな人物だからこそあれほどの威圧感を放つ事ができたのだろう。


「そう固くなるでない。もう既に前線からは身を引いた身。今はこの通り、ただハンコを押すだけの老人じゃよ」


そう言いつつ、老人が笑う。今の発言も場を和ませるためのものだろうが、相手が相手だけにさすがにこちら側としては笑う事ができないでいた。


「だからお主もそう身構えんでくれんかのう?」

「あーやっぱりバレてた?」


そんな中、レイシアはどうやらあの老人がギルドマスターであると気づいていたようだ。しかもあれだけの威圧を放っていた中、それに押されるどころかむしろ闘争心を燃やしていたようだ。刀に手を置き、すぐさま戦闘の態勢に入れるよう構えを取っていた。


「あれだけの覇気を放ってたんだ。こちらもそれなりに覚悟しておかないとでしょ?」

「ふむ。その若さで大したものじゃ」


あの場で雰囲気にのまれず、戦いの意思を見せていたレイシアに対し、老人が賞賛の声を上げる。


「じゃが心配無用じゃ。既にワシは隠居した身。こんな年寄りじゃお主のような猛者に勝てるわけがないしのう」

「ふふ、まさか幻獣を相手に勝利した事もあるあの"モスト"から賞賛の言葉を貰えるとはね」

「ふぉっふぉっふぉ。まさかその事まで知っておるとは。お主やはり只者ではないのう」


この世界には幻獣と呼ばれる非常に珍しい魔物が存在する。名前や姿のイメージこそ浸透しているがその姿を見た者はほとんどいないと言われており、その強さもかなりのものだと言われている。


レイシアが言った幻獣狩りという言葉。おそらくあの老人の二つ名なのだろう。もしそれが真実なのであればあの老人は幻獣を倒した事になる。そういえば噂で、ギルドマスターが何匹もの幻獣を倒し、その素材を持ち帰ったという話を聞いた事があった。となればその噂は紛れもなく真実なのだろう。


「はっはっは! 良かったじゃねぇか! 爺さん! あんたの活躍を知っている人がいてよ!」

「別に有名になりたくて倒した訳じゃないんだがのう……」


ヴァルトが笑う中、老人はやれやれといった感じで肩をすくめる。どうやら騎士団のヴァルトもこの老人の事を知っていたようだ。


「では改めて。ワシがこのギルドの長、モストじゃ!」


モストと名乗る老人が声高らかに自分の名を叫ぶ。


「ギルド長ではあるが、既に現役から退いておる。皆気をつかうでないぞ! それに今日来たのも先日の変異種討伐の件についての話を聞くためじゃしな!」


どうやらモストはただ話を聞きに来ただけのようだ。先ほどの威圧に一瞬ヒヤッとしたものの、戦いにならずに済みそうで何よりだ。


「変異種の話。本当であれば非常事態。それに対し討伐隊を結成する事はギルドの方針として間違ってはおらん。それに対しワシは何も言うつもりはない。とはいえ連絡の一つくらいは欲しかったがな」


その言葉に受付嬢が気まずそうに顔を下に向けている。どうやら変異種の討伐隊結成は、ギルドの受付嬢たちがギルド長の承認を得ず勝手に事を進めたようだ。


「じゃが騎士団からはこう報告も受けておる。変異種の話についてはありもしないデタラメ。それどころか本当はオークの群れが魔の森に発生し、それどころではなかったと」


ここに来て俺は驚かずにはいられなかった。まさかギルド長自らが今回の件について確認しに来るとは思ってもいなかった。ふとミラーナの方を見ると彼女が口を閉じたままコクリと顔を頷く動作を取る


(どうやら色々気を利かしてくれたみたいだな)


昨日、俺と別れた後に魔の森での話を報告してくれたのだろう。これを機に全てを公表しろ。そう言っているようにも見えた。ここに来てついに、全ての真実を話せそうだ。


「その件について、俺から話をさせてもらえませんか?」


このチャンス。見逃す訳にはいかない。すぐさま俺は切り込む事にした。


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