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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
一章 無能と呼ばれる男
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ギルドと栄光の翼 part13

昨日食べ過ぎで胃が……


先ほどまで騎士たちの後ろにいた初老の男性。驚くべき事に彼がドヴォルの拳の一撃を受け止めていた。


「あん? なんだこのジジイ?」


攻撃を受け止められたドヴォルも予想外の展開に驚きを隠せずにいた。とはいえ相手は老人。すぐさま頭を切り替え、拳に力を込める。年寄り一人くらい自分の力で簡単にねじ伏せられる。そう考えたのだろう。


(な……なんだ!? う……うごかねぇ!)


だがいくら力を込めても腕が動かない。いや動かせない状態になっている。老人に完全に抑え込まれ、いくら力を込めてもピクリとも動かないのだ。


「ちょっと! ドヴォル! あんた何やってんのよ!」

「ぐ……ぐぅぅぅぁぁぁ!」


見かねたステラが注意し、それに答えるようにしてドヴォルが声を張り上げながら力を込める。しかしそれでも拘束から抜け出せず、ただ自信の体力だけが消耗していった。


「ふむ。まだまだ鍛え方が足らんようじゃのう」


そう言いつつ老人が腕を捻る。ドヴォルの腕がそれにつられて曲がり、激しい痛みが彼に襲い掛かった。


「いでぇぇぇ!」

「それに相手は年寄りじゃぞ? もう少し労わってくれんか?」


そうつぶやく老人であったが、当の本人は腕をねじられた事による痛みに耐えるので精一杯で、その声を耳に入れる事ができないでいた。


「まぁその話は置いておいて。一体全体、何が起こっているのか誰か説明してくれんかのう?」


その瞬間背筋がゾッと凍る。とてつもない覇気が老人から放たれたのだ。それを受けたBランクパーティーの男たちやフォールたち、そして女性騎士の二人も恐怖を感じたのか、冷や汗を流していた。


(な……なんだこれ!?)


俺自身もその覇気ののまれそうになる。これほどの威圧感。まるであの"オークエンペラー"と対峙しているかのような感覚だ。


「へぇ、やっぱり"本物"みたいだね」


そんな中でもレイシアは冷静さを保っていた、というよりむしろどこか"楽しそう"な表情を浮かべている。まるでおもちゃを見つけた子どものような目だ。


「おいおい、ジイさん。そんなにプレッシャーをかけないでくれよ。説明しようにもできないじゃねぇか」


とてつもない威圧を放つ老人に対して、ヴァルトが頭をかきながら制止するよう声をかける。ただものではないこの老人、どうやら彼の知り合いのようだ。


「おっとすまん。何せ現場に出てくるのは久々じゃったからのう。加減を忘れておったわい」


そう言うと老人から放たれていた覇気が収まり、いつもの雰囲気に戻る。元に戻った事でほっとしたのか周りの者たちが大きく息を吐いていた。


「さて、それではこれまでの経緯、誰か話して」

「その前に確認したい、あんたは一体何者だ?」


突然現れた老人に対し、フォールがその正体を尋ねる。


「ん? お主は?」

「栄光の翼のリーダーのフォールだ。当然知っているだろう?」

「おお、お主が! そういえば受付の者たちからAランクへの推薦の話が来ておったのう」


思い出したように老人がハッとする。さすがに栄光の翼の名前は知っているようだ。


(ん? 今受付の者たちって言ったか?)


そんな中、老人の言葉に引っかかる。栄光の翼のAランク昇進の話。それだけならギルドにいる者なら大体はしっている。だが彼は受付の者たちから推薦の話が来たと言っている。


(おいおい、まさか!)


パーティーのランクを昇級させようとすると、当然それなりの実績を残す必要がある。だが実績を残すだけでは駄目で、当然それを評価してもらわなければならない。

そしてその最終評価をしている人間。そんな存在がギルドにいるのだ。


「じゃが変じゃのう? 推薦の話は来ておったがまだワシは承認した覚えはないんじゃが?」


老人が考え込みながら、その視線をギルドの受付嬢に向ける。覇気が収まり多くの者がほっと息を吐いていた中、受付嬢だけが未だにガタガタと体を震わせている。


「そ……それは」

「当然。説明があるんじゃろうな? 無論、これまでの経緯もじゃぞ」

「も……もちろんです……。ギルド長……」


予想していた人物の名が受付嬢の口から告げられた。


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― 新着の感想 ―
[一言] グランドマスターじゃなかった…まぁよく考えたら来るわけないよね
[一言] なんかようやくまともなギルドの人を見た気がする・・・。 受付嬢?あいつはただの出歯亀ビッチだよ。
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