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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
一章 無能と呼ばれる男
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ギルドと栄光の翼 part7

ユニーク5万越え達成!

ありがとうございます!


ギルド受付嬢が話した補填の内容。それについてレイシアは反論の声を上げる。


「そもそも何だけど先に手を出してきたのはそこのオー……男の人だよね? 私の行為は正当な防衛になると思うんだけど」


確かに彼女の言う通り、先に手を出してきたのはドヴォルだ。実際にBランクパーティーの男が腹に一撃を貰っている。俺が仲裁に入らなければ、さらに被害は大きくなっていた可能性すらある。


「確かにあなたの言う通り。栄光の翼の方々に全く非がないわけではありません」

「でしょ? だったら」

「ですが今回、最も被害を受けているのは彼らです。ドヴォルさんが所持されていた斧、そして鎧。それらを破壊する行為はどう考えても過剰。それを正当な防衛として我々ギルドは認める事ができません」


キリっとした表情でギルドの受付嬢が宣言する。


「彼女の言う通りだ。パーティーメンバーがろくでもない指揮官のせいで重傷を負わされた挙句、今度は装備品まで破壊される。どう考えても被害者は俺たちだろう」


それに続いてフォールたちが自分たちを肯定する発言をする。彼らは自分たちには全く非がないと思い込んでいる。


「ウィズが重傷を負ったって話だったが、そもそもあいつはミラーナを置き去りにして真っ先に逃げ出したって聞いたんだが?」

「自分の身に危険が迫ったんだ。万が一を考え逃走する手段を持っておくのは当然だろう」


どうやらウィズがミラーナを置き去りにして逃亡した件についても自分たちは悪くないという事で通すつもりのようだ。


「ギルドとしてはこの件にしてはどう判断するつもりなんだ?」

「今回はウィズ様が危険だと判断して退却したとの事でしたので判断も何もありません。誰かを囮にして逃げ出したならともかく、適切な判断による撤退は違反行為とは呼べませんので」


ギルドという組織は信用第一で成り立っている。信用があるからこそ依頼を引き受ける事ができ、その達成の見返りとして報酬を得るというのがルールである。仲間を置いて真っ先に逃げ出すという行為はギルド内においても信用を無くす行動。最悪処罰があってもおかしくはないのだが、ギルドの受付嬢は今回のウィズの逃亡に関しては一切お咎めなしと判断したようだ。


「おいおい! それはねぇだろ!」

「こっちはありもしない討伐の参加でそれなりの出費をしたんだ! 彼らには補填があって何で俺たちには」

「いい加減にしないか!」


不満を言うBランクパーティーたちに対し、フォールが声を荒げて注意をする。


「ギルドが判断した以上。それが正だ。君たちはそれに反論する気か?」


その言葉に男たちが一斉に口ごもる。フォールの言う通り、ギルドがそうであると決定した以上、ギルドメンバーたちはそれに従わなければならない。いくら理不尽であっても従わなければならないのだ。


「そんな小さい事ばかり言っているから君たちはBランクどまりなんだ。少しは恥を知ったらどうだ?」


フォールがふんと鼻を鳴らしながら、言葉を口にする。男たちも悔しそうに拳を握りしめているが、何も言い返せずにいた。ギルドからの判決、そして自分たちより"格上"のパーティーからの注意。これらを前にしては黙らざるを得なかった。


「そして補填の費用に関しては払ってもらえるという事で間違いないんだな?」

「もちろんです。ドヴォルさんの斧と鎧を壊した彼女からキッチリ請求しますので。あなたもそれでいいですね?」

「えっ? 嫌だけど?」

「ならこの件はこれで……ってえ?」


当然納得してもらえるものだと受付嬢は思っていたのだろう。さらっと事務的に流そうとした受付嬢だったが、思わず声を止める。


「聞こえなかったかな? 嫌だって言ったんだけど」

「……これはギルドの決定です。従わないのであれば」

「どうなるのかな?」


その瞬間ゾクッと背筋が凍るのを感じた。レイシアからブワッと殺気が放たれたのだ。受付嬢はともかく、Bランクパーティーの男たち、そしてフォールたちもそれを受け、息をゴクリと飲み込んでいた。


「勘違いしているようだけど、私、ギルドの所属じゃないんだよね。だから君の言う事を聞く必要はないんだ」


一緒に行動していたから錯覚しそうになるが、レイシアは俺と違い、ギルドに所属しているなどと一言も言っていない。そしてミラーナのように騎士団に所属しているとも。


「ギ……ギルドの意向を無視するのですか!?」

「無視するも何も聞く必要がないって話なんだけど」


まさか自分たちの判断に従わない態度を取られるとは思ってもいなかったのだろう。だがそれを見逃すつもりはないようだ。放たれる殺気に耐えながらも受付嬢は続けて言葉を口にする。


「ギルドに逆らうという事は要注意人物としてリスト入り。最悪指名手配される可能性もありますよ? それでもいいのですか?」


過去において、ギルドの指示に従わない者がいたという事例は複数ある。そういった者たちはギルドからの除名に加え、要注意人物として認定されてしまっていた。酷い場合には犯罪者扱いされ指名手配されてしまったケースもある。


(これはさすがに……。呆れてものも言えないな……)


とはいえこれはさすがにやり過ぎだ。そもそもレイシアが刀を振るったのはドヴォルに対し反撃をするためであって、意図して傷つけようとしたわけじゃない。


明らかに受付嬢は栄光の翼に肩入れしている。この対応にはさすがに黙っていられない。俺が反論しようとしたその時


「いいよ。やってみなよ。何ならこの場でやり合おうか?」


それよりも先にレイシアのスイッチが完全に入ってしまっていた。



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― 新着の感想 ―
[一言] ・・・このレイシアさんってさ、ギルド本部公認の特別監査官って、立場なんじゃないのかな? ギルド本部公認って事は、ギルドに所属していなきゃいけないけど、特別監査官って事は、ギルド外のメンバー…
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