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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
一章 無能と呼ばれる男
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ギルドと栄光の翼 part5

「お! 俺の斧が! まだ新品だってのにどうしてくれやがる!」


突然現れたレイシアの一太刀を受け、ドヴォルが持っていた斧は最早武器としての役目を果たせない状態になってしまった。


(確かあの斧。結構いい値段したような……)


俺の記憶が正しければあの斧はそこそ高額だった記憶がある。数多くの依頼をこなした事で栄光の翼での活動資金もそれ相応にあった。そのためドヴォルの持っている斧や、今身に着けている鎧もそこらの安物ではなく一級品の物なのだ。

ただ斧は前と同じ形状だったが、新品だと言っていた。どうやら俺の知らない間に買い替えを行っていたようだ。


「っていうか。レイシア!? どうしてここに!?」

「やぁヒューゴ。昨日ぶり」


レイシアがニコッと笑みを浮かべながらこちらに手を振ってくる。先ほどのスピードといい、ドヴォルの斧を切り捨てるあの抜刀術といい、とんでもない女性である。


「何でかって? 昨日また明日って言ったじゃないか」


そういえば別れ際にそう言っていたような。とはいえまさかこのようなタイミングで会う事になるとは思ってもいなかった。


「ギルドに報告しに行っているだろうと思ってさ。来てみたら何か面白そうな事になってたから……つい手が出ちゃった」


てへっと言いながら舌を出すレイシア。見た目といい、このあざとい態度といい、だから少女と間違われるんじゃないかと問いたくなるが、本人は気にしているみたいなので黙っておこう。


「おい……見たか?」

「あのドヴォルの得物を一撃で……」

「何もんだ? あの姉ちゃん?」


その様子を見ていた周りの者たちがヒソヒソと話始める。まぁいきなりあんな派手な登場をしたら目立っても無理はない。それにレイシアはかなり美人、いや人によっては美少女に見えるだろうが、かなり顔たちが整っているしスタイルもいい。

目立つなというのは逆に無理な話だろう。


「なんなのよこのガキ! ドヴォル! あんたこんな子ども相手に何やられてるのよ!」


一方でステラはドヴォルに対し怒りの声を上げている。どうやら彼女もレイシアの事を未成年だと思っているようで、そんな相手にまんまとやられてしまった事に腹を立てている。


「こう見えても私成人してるんだけどな。おばさん失礼過ぎない?」

「おっ!? おば!?」


不意を突かれたおばさん発言に俺は固まってしまう。ステラもそれ相応に美人なのだが、ミラーナやレイシアと比べるとどうしても劣る。その上、俺は散々彼女に虐げられてきた身。いくら彼女の外見が綺麗でも、中身はしわくちゃ。見た目だけの残念女性だ。

そんな彼女をおばさん呼ばわりしたレイシアの言葉にどこか内心でスカッとしていた。


「これは失礼。どうやら私も人の事を言えなかったみたいだ。ごめんね。お姉さん?」

「……なるほど。どうやら痛み目見ないと分からないようね。ご要望通りやってやろうじゃないの! ドヴォル!」


レイシアの発言についにステラの怒りが限界に達したようだ。杖を手に持ちドヴォルに向かって魔法を唱える。おそらく攻撃力や防御力を上げる補助魔法だろう。ドヴォルの体が先ほどと比べ活力に満ちている。


「私の魔法をかけたわ。武器が無くてもあんなガキ捻りつぶせるでしょ!」

「はん! 元々そんなものは必要なかったんだがな。だが生意気な嬢ちゃんにはお仕置きが必要だよな?」


刃が外れた斧の柄を投げ捨て、ドヴォルが拳を握って構えを取る。どうやら巨体を活かしての肉弾戦に切り替えるようだ。


「よく見りゃいい顔してるじゃねぇか。安心しろ。反抗できないようにちょっとお痛するだけだ。その後はたっぷり楽しんでやるからよ」


レイシアの顔をみたドヴォルが舌なめずりをする。戦闘を終えた後にどう楽しむか考えているのだろう。


「うーん。悪いけどオークのお相手はしたくないかな」

「は?」

「聞こえなかったかな? オークの相手はしたくないっていったんだけど」

「オ……オークだと?」

「女をモノとしか見ていない厭らしい視線。オークそのものだと思うんだけど?」


今度はドヴォル相手にお前オークだろとレイシアが言い放つ。それを聞いた周りの者たち。そして先ほどまで言い争っていたBランクパーティーのメンバーたちも思わず失笑していた。


「この俺様をオークだと! あんな体だけのケダモノと! このドヴォル様を! 一緒の扱いにするだと!」

「あ……そういえばオークは言葉をしゃべらないんだった。ごめん。訂正するよ。オークは君みたいに不快な発言をしないから、まだ彼らの方がマシだね」

「てめぇ……」


訂正と謝罪の言葉を発するレイシアだったが、最早ただ煽っているだけだ。ドヴォルの額にはピキピキと筋が浮かんでいる。ステラと同様に彼もまた怒りをあらわにしていた。


「泣いて謝っても許さねぇぞ! 死んだ方がマシなくらい遊びつくして……やるよ!」


ステラの補助魔法を受けたドヴォルがレイシアの腹目掛けて殴りかかる。栄光の翼のサポーターの魔法を受けた、栄光の翼のアタッカーの拳による一撃。まともに受ければひとたまりもない。


「……はぁ」


とはいえそれは本当に彼らがAランク相当の実力を持っていればの話だ。そもそもレイシアはAランク相当の強さに匹敵する魔物。ミノタウロスやオークジェネラルを撃破している。それも"たった一人"でだ。


紛いものとは違う本物の強さ。その強さを持つ彼女が持つ刀から一閃が放たれた。


ドヴォルの斧は25話、栄光の翼のその後 part5で一度お亡くなりになられてます


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