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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
一章 無能と呼ばれる男
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ギルドと栄光の翼 part4

来週から寒くなりそう

みなさん隊長にはご注意を

「無能って?」

「確か……最近追放されたって聞いたが」

「もしかしてあいつが」


周りがざわざわと騒ぎ始める。どうやら俺の事は良くも悪くもあちこちで噂になっていたようだ。


「何で無能のあんたがここに!? 衛兵は何してるのよ!」

「なるほど。衛兵や町の領主にデタラメを吹き込んでたのは。やっぱりお前らだったのか」


俺の言葉を聞き、ステラがしまったという顔をする。予想通りフォールたちが適当な出まかせを領主や衛兵に吹き込んでいたようだ。

「何だそれは!? 俺は聞いてないぞ!」


逆にフォールは何も知らないような素振りを取っている。様子を見るにどうやらパーティーぐるみによる行動ではなかったようだ。フォールが知らないとなれば、おそらく作戦の発案者はウィズだろう。

パーティー内でこのような陰湿な嫌がらせを行ってくるのは決まってウィズだったからな。


「ステラ! 一体どういう事だ?」

「いや……その……いつかあなたにも言うつもりだったんだけど。そもそもウィズが言い出して」

「まぁいちいち細かい事はいいじゃねぇか」


あれこれ弁明するステラを差し置いて、ドヴォルがストレッチするように腕や肩を振り回す。


「何はともあれこの無能を潰せばいいんだろ? さっきは不意打ちかましてたまたま俺を抑え込めたみてぇだが……。次はそうはいかねぇだろう?」


ドヴォルがニヤリと笑みを浮かべながら指をポキポキと鳴らす。どうやら完全に俺を殴る気でいるようだ。あれほど暴力行為は禁止だと言ったにもかかわらずこの態度。最早救いようがない馬鹿だ。


「あいにく、俺はお前らとやりあいに来たわけじゃないんでね。ただ"元"パーティーメンバーの一員としてただ助言しただけだ」

「おいおい、ずいぶんでかい態度を取るようになったじゃねぇか? 俺とお前の身分の差。どうやら思い出させてやる必要が」

「話す相手が違うんじゃないか? 話すのは俺とじゃなくて彼らとだろう?」


はっきり言って迷惑だ。さっさとどこかに行って欲しい。早くオークの群れやオークエンペラーの件を報告しなければならないというのに。ただでさえいわれのない罪で衛兵に追われてる身。少しでも時間が惜しい状況だ。


そんな中、頭まで筋肉で出来ている馬鹿を相手にしている時間など勿体なくて仕方がない。俺としてはいち早く、Bランクパーティーの彼らと話し合いをして欲しいのだが、そんな思いを当然というべきか、目の前の子の男は理解できそうにない。


「てめぇ! 調子こいてんじゃ!」


ドヴォルが殴りかかってきたため、俺はそれをサッとかわす。はっきり言って遅い。遅すぎる。それも"弱体化の魔法をかけるまでもなく"かわせるくらいだ。


「うぉ!」


まさかかわされるなどとは思ってもいなかったのだろう。殴りかかった反動を体で抑えきれず、ドヴォルは態勢を崩し、ギルドの受付机に向かって体をぶち当てた。


「きゃぁ!」


受付嬢の悲鳴が上がると同時に、机にヒビが入る。どうやら床だけでなく机も補填しなければならないようだ。


「ちょっとあんた! 何やってんのよ!」


その光景を見ていたステラが我慢ならなかったのか、俺に対し非難の声を浴びせてくる。


「何って……殴りかかってきたから避けただけなんだが」

「サンドバッグのあんたが何で避けてるのよ! おとなしく殴られなさいよ!」


全く以って理不尽な事を言ってくるステラ。そもそも俺はサンドバッグになったつもりなど到底ない。ただ理不尽に耐えてきただけだ。


「て……てめぇ! 無能のカス野郎の分際で! この俺様に傷を!」


ドヴォルがよろけつつも体を起こしこちらを睨んでくる。様子を見るに完全に頭に血が上ってしまっているようだ。


「許さねぇ! ぶっ殺してやる!」


地面に落ちていた斧を再び握りなおしたかと思うと、俺を目掛けて大きくそれを振るってきた。最早完全に容赦なしだ。


(……まさかここまでとはな)


栄光の翼のパワーファイターとして活躍してきたドヴォル。その実力は誰から見ても超一流。



そのはずだった。しかし今の彼が放とうとしている一撃はとても一流とは言い難い。少なくともオークエンペラーと比べると、足元にすら及ばない酷いものであった。


(とはいえ直撃すればさすがに痛いからな。とりあえず避けて反撃を……)


そう思っていた矢先、突然何かがこの場に踊りこんでくる。突如現れた"それ"は恐るべき速さで現れ、スパっと一閃を放ったのだ。


「えっ?」


呆気に取られた言葉。誰が言ったのだろうか。気が付けばドヴォルが持っていた斧の取っ手から先がきれいさっぱり無くなっている。切り裂かれ、斧の刃の部分と取っ手が完全に分離してしまったのだ。


「うーん。少し精度が甘かったかな?」


そこには一人の人物が立っていた。刀を手に持った空色の髪色の女性、レイシアであった。


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― 新着の感想 ―
[一言] (≧∀≦)うおぉーーーつ!!
[一言] 早く来ないと美味しいとこを全部レイシアに持っていかれるぞーミラーナww そして武器による攻撃を当ったら痛いなぁ程度の認識のヒューゴもある意味感覚バグってんなw
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