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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
一章 無能と呼ばれる男
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ギルドと栄光の翼 part3

「なんだてめぇ! いきなり割り込んで来やがって!」


突然の乱入者。まさか自分の攻撃の一手が止められるなどとは思ってもいなかったのだろう。ドヴォルは驚きの表情を浮かべている。一方で俺の方はこれまで栄光の翼の一員ととして共に活動してきたため、ドヴォルの性格がどうであるかは他人以上には分かっている。

とはいえまさかギルド内で暴力沙汰を起こすような真似をするなどとは想定外だったが。


「あ……あんた」


どうやらドヴォルに殴られた男が俺の顔を見て、誰だか気づいたようだ。


「ちょっとあんた! 何様のつもりよ! あんたが誰か知らないけどこれはあいつらと私たちの問題よ。"部外者"は引っ込んでてよ!」


ステラが怒りの声を上げる。どうやら彼女は彼女でドヴォルの暴力行為に対し肯定的だったようで、俺が制止の行動に出た事に対して怒りを覚えているようだ。


「ギルド内での暴力行為は原則禁止されているはずだ。まさかAランクの肩書を持ってるお前らがそれを知らないはずがないよな?」

「俺を無視するんじゃねぇ! 邪魔するならてめぇから……」


ぐぁーっとドヴォルが悲鳴を上げる。俺がドヴォルの腕を握っていた手にさらに力を込め、握りしめたからだ。あまりの痛みに耐え切れなかったのかパッと斧を手放す。

支えを失った斧はそのまま地面に落ち、刃の部分が床に突き刺さる。


「ちょっとあなた! 床に穴が空いたじゃないですか! どうしてくれるんです!」

「悪いな。修繕費は仲裁料の代わりとして彼らに払ってもらっておいてくれ」

「てめぇふざけた事言ってんじゃ……いてぇ!」


まだドヴォルが暴れようとしたため、再び手に力を込める。しかしあのドヴォルを相手にこのような行動に取る事になるとはな。パーティーにいた時は俺からみたドヴォルは恐怖の対象だった。

あの見た目であのガタイ。誰がどう見ても生粋のパワーファイターで、あの体から振るわれる拳は実際に痛かった。あの時は抵抗する事もできず、ただ一方的に殴られたり、蹴られたりした。


あの時と比べて俺自身が成長したわけではないが、今俺はドヴォルにステータスダウンの魔法をかけている。そのため、俺程度の握力でもドヴォルに悲鳴を上げさせるくらいの威力が出ているのだ。


(あの時はステータスダウンの魔法を人に使うなんて考えもしなかったからな)


ステータスダウンなど気休め程度しかないと栄光の翼内では考えられていた。あくまでおまけ、本命は自分自身の実力だけ。皆がそういう考えがあったからこそ、俺が無能と呼ばれる事になったのだから。


(でも実際は違ったんだよな)


レイシアが言っていた。栄光の翼の面々はとてもじゃないがAランクに見合う実力を持っていないと。それに加え、ウィズは今回の討伐戦において、悪い意味で本来の実力を発揮する事となった。


今回、本来の実力が明るみに出たのはウィズだけであったが、おそらく他のメンバーも……。現に俺に魔法をかけられたドヴォルは自身が自慢としている筋力をロクに発揮できず、俺を振り払う事さえできない。


「君の言いたい事は分かった。だがまずは彼を離してやってくれないか? あれでも俺たちのパーティーメンバーの一員なんでね」

「……分かった」


フォールがドヴォルを解放するよう訴えてきたため、俺はパッと手を離す。自分が見逃されたと思ったのか鋭い目つきで俺の事を睨んでいる。とはいえ別に俺は恨まれるような事をした覚えはないため顔を背け目線を逸らす。


「ちょっとフォール!」

「ステラ。言いたい事は色々あるだろうが、まずはこの場を収めてからだ。ドヴォルもだ。分かったな?」


フォールに制止され、ステラとドヴォルがしぶしぶ頷く。どうやら二人と違い、フォールはまだ冷静でいるようだ。長い間栄光の翼のリーダーをしているだけはある。


「止めてくれて助かったよ。俺たちも暴力沙汰にするつもりはなかったからな」


フォールが感謝の言葉を投げかけてくる。まさか俺がフォールに感謝される日が来るとは。というより感謝するという行為ができたんだな。さすが外面だけは立派にしていただけの事はある。


「だがこれはあくまで俺たち栄光の翼と彼らのパーティーとの問題。"部外者"の君には全く関係ない話だ。悪いが話が済むまで下がっていてもらいたい」


揉め事の内容はともかく、今回の話し合いはフォールたちとあのギルドの男たちのパーティー間での問題だ。確かに彼の言う通り、部外者が口をはさむべきものではない。


「部外者とは辛辣だな。俺の顔もう忘れたのか?」


そう。あくまで"部外者"なら


「ん? 君とは初対面のはずだが?」

「おいおい、まだ別れてそんなに経ってないぜ? 俺の顔と声、もう忘れたのか?」


その言葉を聞いたフォールがハッとした表情を浮かべる。やれやれようやくか。ステラとドヴォルもここまで来て俺が誰なのか気づいたようだ。


まさか髪色を変えただけでここまで気づかれなくなるとはな。いや、そもそもあいつらの中では俺の存在などその程度だったという事か。


「な……何故お前が……」


驚きながらもフォールは言葉を発する。


「何故無能のお前がここにいる!」



ついにご対面でございます

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