ギルドと栄光の翼 part1
ついに100話!
ここまで来れたのも皆様のおかげです!
ありがとうございます
話もここから進めて行けそう!
いつの間にか朝日が昇り、新しい朝がやってきていた。俺はすぐさまギルドに向かうための準備を整える。
「っと一応やっておくか」
レイシアからもらった染料を使い念のために髪色を茶に染めておく。顔をよく見ればすぐに俺がヒューゴであるという事はバレるだろうが、少なくとも遠目ではすぐに見分けがつかないだろう。
まだ衛兵たちが自分を見つけるために町をウロウロしている可能性も十分ある。保険をかけておくのも悪くはないだろう。
「さてと、いくか」
身支度を終えた俺は、昨日の一件の内容を報告するため、ギルドに向かう事にした。
「ん? 何か騒がしいな?」
ギルドにつくと何やら周りがザワザワとしている。何かあったのだろうか。
「こちらは当然の権利を主張しているだけだ」
「ふざけんじゃねぇ! むしろ被害者はこっちの方だ!」
どうやら誰かが言い争いをしているようだ。声のする方向に向かい、言い争いをしている者の顔を見る。
「今回討伐隊の指揮をしていたのは君たちのパーティーなんだろう? なら全責任、俺たちの仲間が負傷した責任を取るのは当然だろう?」
「はぁ? ふざけんじゃねぇ! あんたのとこの魔法使いは散々好き勝手やった挙句、こっちを振り回してくれたんだ。むしろリーダーのあんたの管理不届きだろうが!」
言い争いをしている二人。俺にとってもどちらも見知った人物であった。片方は前日に、共に町に帰還した討伐隊に参加していたというギルドの男、もう一人は栄光の翼のリーダー、フォールであった。
ワイバーンに怪我を負わされたという話を聞いていたが完治したのだろうか。
そしてギルドの男の傍には同じパーティーに属しているであろう男性が三人。フォールのステラが控えていた。
「落ち着いて下さい。当件に関してはギルドで判断をさせて頂きますので」
「何が判断だ! そもそもオークの群れがいるだなんて聞いてなかったぞ!」
「怪我人も出てるんだぞ! オークの群れの情報が俺たちの耳に入っていればもう少し対策を取る事ができたはずだ!」
「あの数のオーク。一瞬で現れたとは思えない。ギルドに情報が来ていなかったのか?」
なだめようとする受付嬢に対し、討伐隊に参加していた男たちが次々と質問を投げかける。彼らの言う通り、確かにオークの群れが魔の森で発生しているという情報を伝達できていれば、今回の討伐もよりスムーズにいっただろう。少なくともミラーナが一人残って魔物を引き受けるという展開にはならなかったはずだ。そして案の定というべきか、怪我人も出てしまったようだ。
「申し訳ありませんがオークの群れの情報については私たちも初耳です」
この言葉を耳にした俺は心の中で大きくため息をつく。オークの群れはともかく、オークエンペラーに関しては間違いなく俺とミラーナは報告しに行った。もしもその話を笑って済ますのではなく、キチンと把握した上で処理してくれればという思いが胸にこみ上げてくる。
「さっきから聞いてれば……あんたたちいい加減にしなさいよ!」
突如ステラが大声を上げたかと思うとキッと男たちを睨みつける。
「あんたたちが苦戦したのは実力不足だからじゃないの? それを私たちやギルドに当たるなんていい迷惑よ!」
「ステラの言う通りだ。自分たちの弱さを棚に上げて相手にあたる。はっきりいって見苦しいにもほどがある」
フォールも続いてキツイ発言をする。
「そもそも君たちのレベルが低いからこんな事になったのだろう? 俺たちが討伐隊に参加していればもっと簡単に解決できていたと思うが」
「おーおー! あんたのとこのウィズ様は確かに大活躍だったぜ。足を引っ張ってばかりで悪い意味で助けられたよ」
「頭おかしいんじゃないの? ああ見えてもウィズは私たち栄光の翼の一員、Aランクなの。万年Bランクのあんたたちが敵う相手じゃないから」
「んだと! このアマ!」
言い争いがかなりヒートアップしている。どうやら討伐隊に参加していた彼らはBランクパーティーだったようだ。Bランクとなればそれ相応の実力者が揃うパーティーなのだが、今回は相手が悪い。
何せ相手はあの栄光の翼なのだ。世間体で言えば自分たちよりも栄光の翼の方が格上。彼らが何を言っても負け惜しみでしかないと取られても仕方ない状況だ。
「おいおい、俺がいない時に面白い事になってるじゃねぇか」
突然ギルド内に大声が響き渡る。そこには斧を持った大男、栄光の翼の一員のドヴォルが立っていた。