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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
一章 無能と呼ばれる男
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無能 怒鳴られる

久々の新作投稿です

前回は復讐物書いてましたが復讐対象が多くて描写しきれなかったので今回はスケールダウンさせます。

ヒロイン登場までしばらくかかりイライラ展開続きますがしばしお待ちを……

その分イチャイチャさせますので!!



「おい無能! 何をしている! 敵のひきつけすらできないのか!」

「ちょっと無能! 私の前に立たないでよ! 集中力が切れるじゃないの!」

「ちっ! 無能が! 俺の邪魔するんじゃねぇよボケが!」


数々の罵倒が俺に襲い掛かる。黒髪に黒い瞳を持ち、現在進行形で無能と呼ばれている俺、ヒューゴは罵声を浴びせてくる仲間たちと現在進行中で魔物と戦闘を繰り広げている。


「まぁまぁみなさん落ち着いて。相手は無能何ですから何を言っても理解できませんよ。知能も暴れる事しか脳のない魔物程度しかないのでしょう。だからこうすればいいんですよ」


笑みを浮かべた一人の男が、魔法を唱え大きな火球を作り出しそれを放つ。魔物だけでなく俺をも巻き込む形で放ってきたため、何とかその攻撃をギリギリの所でかわす。


「無能なあなたが悪いんですよ。一緒に焼き殺されても仕方ないのでは?」

「なるほど! その手があったか! さすかはウィズ!」

「っしゃあ! 俺も続くぜ!」


ウィズと呼ばれた男の行動を見た他のメンバーが納得した表情を浮かべ、その後は俺ごと巻き込む形で攻撃を何度も繰り返し魔物に攻撃をしかける。

結果的に何とか魔物を殲滅こそしたものの、全員が疲労困憊の状態になってしまった。


「はぁはぁ……何とか倒せたか……」

「もう……ほんと最悪! 何で私たちほどの実力者がこんな雑魚魔物にてこずらないといけないのよ!」

「おい、無能! てめぇのせいだぞ! 俺たちの邪魔ばかりしやがって!」


大男のドヴォルが、怒りの声を上げ俺の胸倉をつかみかかる。


「さっきから俺たちの邪魔ばかりしやがって! 仕事はろくに出来ない! ウィズが機転を利かせてなければ、俺たちといえどどうなってたか分かんねぇだろうが!」


機転? 何を言っているんだ? 仲間を巻き込んで攻撃する事が機転? ドヴォルの言葉を俺は全く理解する事ができない。

俺があれこれ考えていると突然顔のほほに痛みが襲い掛かる。気が付けば俺は地面に寝転がった状態になってしまっている。そこでようやくドヴォルに殴られたと理解した。


「無能もここまで来ると呆れてものも言えないな……。仕事はできない。囮もできない。一体お前の存在価値は何だ?」


ルックスの整った男、フォールが俺を小馬鹿にしながらやれやれと大きくため息をつく。


俺はステータスを下げる弱体魔法を使える。弱体魔法は相手のステータスを下げたり、他には状態異常を引き起こしたりする事ができる魔法なのだが、無能と呼ばれる俺には他にはない欠点があった。

それは俺が相手のステータスを下げる魔法しか使えないからだ。通常であれば何度も戦闘を繰り返し、鍛錬を積む事でステータス弱体効果に加え、毒や麻痺、眠りといった状態異常を付与する魔法を覚える事ができる。

しかし俺はいくら戦闘をしてもそういった状態異常付与の魔法を一切覚える事ができず、いつのまにか無能のレッテルを貼られてしまう事となった。


「いや、最早存在価値などないのかもしれないな。温情でパーティーに入れたがここまで使えないとは……」


この男はフォール。ルックスの整ったイケメンであり、ステータス、剣術も全てが優秀で、まさしく選ばれた存在と言っても過言ではない


「あーあ、ほんと最悪。何で私たちが無能の尻ぬぐいをしなきゃいけないのよ」


この女はステラ。見た目は美女なのだが事あるごとに癇癪を起こす問題児なのだが回復や味方を補助する魔法を使いこなす後衛のエキスパートだ。しかしこのヒステリック女が優秀であるという事に対し、俺は未だに納得できずにいる。おまけにフォールとパーティー内で付き合っているという関係だ。


「なあフォール。俺はもう我慢できねぇ! この無能と同じ空気を吸ってるだけでもイライラしてたまらねぇ! いっそここで潰しちまってもいいか?」


大声で怒鳴る大男はドヴォル。粗暴な性格ですぐ暴力沙汰を起こす脳筋野郎だ。ごつい体に鎧を身に着けておりスピードこそ遅いものの、圧倒的パワーで全てを粉砕する力を売りとしている。そして俺はそんな大男に気に入らない事がある度に何度も殴られている。


「落ち着いて下さいドヴォル。無能には無能なりの使い方があるんです。資源は有効に使わないといけません」


このインテリぶってる眼鏡をかけた優男はウィズ。あらゆる攻撃魔法を使いこなす自称天才だ。そして本人は優れた知識を持っていると思っているのか事あるごとに自分の有能ぶりをアピールするかのような振る舞いをみせる。インテリぶってるがコイツも大概の外道で、実験と称して何度も新しい魔法の実験台にされた事がある。


とまぁこんな風に厄介者ばかり集まっているパーティーなのだが実力は本物で、知らない者はいないと言われるほどの実力者たちとして名を馳せつつある。

一方で俺は彼らの引き立て役、寄生虫、お荷物としてギルドに認識されており、蔑みの対象となっていた。彼らは外面だけはよく、フォールやステラは見た目はイケメンと美女なので受けも良い。現実は非情で俺が彼らにされた事を言ったとしても世間は信用してくれないだろう。


「おいおい、ウィズ。俺は思うんだがよ。無能の使い方なんてあるとは思えねぇんだが? 使い道が無いから無能なんだろ!」


言葉を終えると同時にドヴォルが俺の腹をけり上げる。激しい痛みが腹部を襲い、俺は意図せず吐血してしまう。


「そこですよ。ほら良いサンドバッグになってるじゃないですか。先ほどの戦闘で私も新しい魔法を覚えた事ですし、実験になってもらいましょう」

「ねぇ。それより私早く帰りたいんだけど?」

「そうだな。さきほどの戦いで大分消耗したし、そろそろ撤収しようか。無能君。君は倒した魔物の素材をはぎ取って町まで戻るように。夕方までに戻れなければ分かっているな?」


そう言い残し、フォール一行は倒した魔物を放置しその場を後にする。

この後の作業が俺に与えられた仕事なのだ。魔物を解体して素材の回収を行い。それをリュックに入れて背負い町まで運ぶ。そんな雑用の仕事だ。だが非情な彼らが与える仕事はそれだけではない。

俺を置き去りにして彼らは真っ先に帰路についたのだ。

つまりステータスを下げる魔法しか使えない身でありながら、俺は一人で町まで帰らないといけないのだ。それも時間内に帰らなければ理不尽が待っているというペナルティつき。

俺は腹を蹴られた痛みに耐えながら魔物を解体し、素材をリュックにつめ、町へ帰る準備を整え帰路についた。


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