プロローグ
『注意』
このお話は、乙女ゲームの悪役令嬢物、フラグ回避物語とは異なります。
また、グロテスク描写が時々ありますので、苦手な方はご注意下さい。
グロテスク描写が強い話数に関しては、背景が黒になります。
また、前書きにも記しますので、注意しながらお読み下さい。話数を飛ばして読んで頂いても、内容はご理解頂けるように、次のお話の前にあらすじなど入ります。
長編になりますが、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。よろしくお願い致します。
感想、評価なども頂けると励みになります。
一人でも多くの読者の方に、楽しんでいただけますと幸いです。
それでは、レッツスタート♪→
昔々、南の辺境の地の小さな国に巨万の富を得ていた公爵家がありました。
公爵家には男子が生まれず、三人の女の子がいました。
長女のカトリーヌ。
次女のエレノア。
そして三女のエリザベートです。
三姉妹はこの世の者とは思えないほど美しく、美の神に一番近い少女達と言われていました。
それ故か、王族ではこの三姉妹をお妃にする者が、次の王になるであろうと噂されていました。
長女カトリーヌはいち早く、第一王子の婚約者になりました。次女も隣国の王子と婚約し、残るは三女エリザベートでしたが、彼女は人前に出ることがなく、表に姿を現すことはありませんでした。
それでもエリザベートを見かけた者は皆、三人の姉妹の中で三女が一番美しく、身震いするほどの美貌だと噂をしていました。
公爵家の三女エリザベートはまるで天使か女神かと……。
ただ一つ……一つだけ、この三女には残念な噂がありました。
彼女のあまりにも美しすぎるその美貌は悪魔さえも虜にし、彼女に取り付いてしまったと、だから公爵家は三女エリザベートを公の場から退け、隔離しているのだと……。
三女エリザベートのその噂は瞬く間にひろがり、彼女は貴族会で異質な存在になってしまいました。
ただそれも、所詮は噂に過ぎず、彼女の余りにも美しい美貌に周囲が妬み、黒い噂を流しているのだと言う人もいました。真実は誰にも分かりません。けれども結局はその噂さえも、彼女の魅力になっていくのです。
三女エリザベートは悪魔をも魅了する美しい女神だと…………。
――――――パタリと閉じられた本の冒頭。
伝説の黒い魔女エリザベートの物語はそんな噂から始まっていた。
史実に基づくこの話、モデルの女性は今では北の魔女と呼ばれ、誰もがその北の森には近づこうとはしない。
北の森の地に足を踏み入れれば呪われ、狂い死にすると言われている。
そこに住むのは恐ろしい魔女。
これは北の森の魔女のお話。
公爵家の三女が何故、北の魔女と呼ばれ、国々が彼女を恐れる存在になったのか。またはそんな魔女は所詮ただの噂にすぎず本の中のただのフィクションに過ぎないのか。
ただ一つ言えるのは、本のモデルとなったエリザベートは確かに存在した。人々は彼女に魅了され、そして彼女のせいで国が滅んだことは事実だったのだ。
多くの人々が彼女を憎み、そして恐れた。彼女に敵意を見せたものは、いつの間にか公の場から消えていた事も事実だ。
確かなこと……それは美の女神と謳われた謎大き彼女が、歴史的物語として間違いなく悪役令嬢であったこと……それだけは、まごう事なき事実なのだ。