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7話 超級魔術師の弟子

 エリスさんの弟子になりたい。僕がそうはっきりと言うと父さんも母さんも悲しそうな表情をする。だがそれも一瞬でいつもどうりの表情に戻った。


「そうか、なら私から言うことは何もない」


「貴方がそうしたいのなら私は応援するだけよ」


 普段通りのように見えるが2人が無理して平静を装っているのは明らかだ。息子の夢を応援したいという親心が伝わってくる。


「父さん、母さん、ありがとう」


 僕はお礼を言わずにはいられなかった。転生してから5年間、僕が無事成長できたのは両親のおかげだ。2人の気持ちに報いることができるよう必ず立派な魔術師になってやると僕は自分自身に誓った。


「ゴホン」


 そう思っているとエリスさんが咳払いをした。


「しんみりとした空気になってしまいましたが2つ目の条件を話していませんので、ゼウノス君が私の弟子になると決まった訳ではないですよ」


「これはすみません。息子と離れ離れになってしまうと考えたらつい感傷的になってしまいまして」


 おっとつい、僕も話しの途中なのを忘れてしまっていた。


「それでは話の続きをさせてもらいます。ゼウノス君、2つ目の条件ですがこれはわたしが貴方を弟子にしたいと思った理由でもあります」


「僕を弟子にしたい理由ですか?」


「ええ。貴方は来週神殿に行って洗礼を受ける予定でしたね?」


「はい、そうですが」


「2つ目の条件なのですが、その洗礼を受けないでほしいのです」


「洗礼を受けないですか!?それでは祝福を授かれないのですが…」


 僕はエリスさんの言葉の意味を理解する事ができなかった。


 祝福とは神からの加護であり、洗礼を受けない理由が思いつかない。どの神から祝福されるかは自分では選べないが自分の才能に合った神から祝福を受ければより才能を伸ばす事ができる。


 もし僕が水の女神の祝福を受けられれば水魔法をもっと上手く扱うことができるようになるのだ。


「もし僕がいずれかの属性の神の祝福を受けられれば魔術師として有利な立場で魔法を学べると思うのですが」


 僕が疑問を問いかけると、エリスさんは


「確かに4大属性の女神や光の神、闇の神の祝福は魔術師としては手に入れておきたわよね。でも祝福は1人に対して1人の神からしか祝福は貰えない。しかも自分からはどの神から祝福を受けられるかは選べない。なら魔術師としてどの神の祝福を受けるのが正解だと思う?」


「それは自分に合った属性の神だと」


「まあそれはそうね。だけどそう簡単に自分に合った神の祝福を受けれるとは限らないし、仮に受けれたとしてもそれはベター―better―であってベスト―best―ではないのよ」


「なら他に最善の方法があるという事ですか?」


「そうよ。ちなみに私が受けている祝福はどの神から授かったと思う?」


 エリスさんが祝福を授かった神?今の話の流れだと4大属性の女神や、光や闇の神ではないと思うけど。


 あ、でもエリスさんは人間じゃないから、人間とは違う神の祝福を受けているんじゃ。


「もしかして、エルフか魔族が崇拝している神とかですか」


「さすがね。私が受けている祝福は魔族の神、魔神よ。そして貴方にも魔神の祝福を受けてほしいのよ。」


 ん、魔神?


「魔神は魔族の神でもあるけど魔法の神としても崇められているわ。でも魔神の祝福を受けるには条件があって、成人にならないと祝福は受けれないし、他の神の祝福を受けていてもダメなの。それに魔法を扱う才能を認められないと祝福を受ける資格すらもらえないわ」


「今のでやっと全ての話が見えました。エリスさんが弟子にしたい子の条件は、魔法の才能があって、かつ魔神の祝福を受けさせたいからまだ神殿で洗礼を受けてない子供に限ると。それで条件に当てはまる僕を弟子にしたいという事でいいですか?」


「話が早くて助かるわ」


 なるほどね。やっと全ての話が噛み合った気がする。


「1つ聞いてもいいですか?」


「ええ、いいわよ」


「魔神の祝福を受けると呪われたりするなんて事はないですよね?」


 超級魔術師の弟子になれるのは魅力的だが魔神の祝福を受けて呪われたりでもしたら、たまったもんじゃない。


「それは大丈夫よ。魔族の神ってことで不安に思うかもしれないけど呪われたりするなんて事はないわ。あ、でも洗礼を受けるには1度魔大陸に行く必要はあるからそこで魔族を怒らせたりなんかすれば呪われかもね」


「本当に大丈夫なんですね?」


「ええ、魔大陸に行くのも成人する15歳の時だし、その頃には貴方なら上級魔法を扱えてるでしょう。余程強力な呪いじゃなければ対処できるようになってるわ」


 聞く限りは何も問題は無さそうだ。魔大陸に行くのは少し不安だけどそれまで自分の身は自分で守れるくらいには実力をつければ大丈夫かな。


「それでどう?もし条件をのめるのなら私の弟子になってくれないかしら?」


 エリスさんが改めて僕に弟子にならないかと問いかけてくる。


「僕としては超級魔術師であるエリスさんの弟子になれるのに何の不満もありませんし、むしろこちらから弟子にして下さいとお願いしたいくらいです」


「なら、これからよろしくねゼウノス」


 そう言うとエリスさんは右手を差し出してくる。


「はい、こちらこそよろしくお願いします。先生!」


 僕も右手を差し出すとエリスさんと力強く握手をした。


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