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5話 やりたいこと

 魔術師になりたい。


 異世界転生を果たして前世になかった魔法という存在に興味を持たないはずがない。


 前世は魔法なんて存在はなく、この世界とは違って科学が発展した世界で、人々は暮らしが良くなるように様々な物を発明していった。


 移動が楽になるように車を発明しそれでも満足せず飛行機で空を飛ぶようになり、さらには宇宙にまで行くようになった。


 食糧事情もこの世界とは比べれば、より美味しく栄養のある食べ物が安く簡単に手に入ったし、インターネットの普及によって世界中の出来事を調べることも容易な世界だった。


 だが魔法があるとはいえこの世界の文明は、前世でいう中世のヨーロッパ程度の文明しかなく、ここ500年くらいは目立った発展はしていないようだ。


 移動する手段は徒歩か馬車が普通で街から街に移動するのに数日かかるのは当たり前だ。


 貧富の差も激しく食糧事情もその日の食べ物も手に入らない貧民層が国中に溢れている。


 それに移動手段も限られている為、情報なんて伝達するのに時間がかかるし信憑性も高くない。


 前世の記憶がある僕からしてみれば、今の生活は不便と感じることが無い訳ではない。


 だがこの世界は、僕からしてみればとても魅力的だ。


 魔法という存在もそうだが、人間以外の種族も暮らしているし、こちらにしかない食べ物や文化だってある。


 そういった未知の存在に心を動かされない訳がない。


「やはり魔術師の道に進みたいか。他にやりたい事とかはないのか?」


「やりたい事ならいっぱいあるよ。まずは世界を見て回りたいかな。この大陸を自分の目で見てそれが終わったら別の大陸に行ってそれも終わったら魔大陸にも行ってみたい。そして世界中を見て回ってる間にいろんな種族にも会っていろんな文化に触れたいな。それに…」


 そう、やりたい事はいっぱいある。魔術師になりたいなんてその中の1つに過ぎない。前の世界には無かった、自分の知らないことがこの世界にはたくさんあるのだ。


 子供の頃思っていた未知への憧れがこの世界に来て心の底から溢れ出してくる。


(実際転生して子供になってるんだかけどね)


 僕は転生してからやってみたいと考えでいたことを父さんに話した。


「そうか、そこまで考えていたとは我が子ながら大したものだ」


「それは大袈裟だよ、今のはただ自分のやりたいことを話しただけだし実際できるかどうかは別だからね」


「いやそれでも、5歳でそこまで具体的に目標を持っているのは凄いことだよ」


「そうかなー。それで僕の将来の話が来週の洗礼の話にどう関係あるの?」


 父さんは来週の洗礼の事で話があると言った。それなのに僕が将来何になりたいかを聞いてきたので、それがどう関係しているのか気になる。


「ああそれなんだが、お前には魔法の才能がある。それで将来は魔術師になりたいと考えているでいいんだな?」


「うん、そうだけど」


 そう言うと父さんは咳払いをすると真面目な顔して


「ゼウノス、この国で魔術師になるには大きく分けて2つの方法がある。1つ目は魔法学院に入学する方法だ。魔法学院には、あらゆる分野の魔術師が教師として在籍していて自分の好きな分野の魔法を学ぶ事ができる。だが教師は多くの生徒を教えなければならない為、基本的に個人指導はしていない。それに教えられる魔術コードは世間一般的に知られているもだけだと思っていた方がいい」


 まあそうだよね。1人の生徒ばかりに肩入れしすぎては教師として失格だ。それに魔術師にとって魔術コードとは知識であり財産だ。そうほいほいと教えるものではない


「そして2つ目だが、それは魔術師に弟子入りする事だ。魔術師は自分の研究成果である魔術コードを後世に残す為、弟子をとる。まあ弟子をとるにしても自分の知識、技術を絶やさない為なので弟子になるにはそれなりの才能と実力を示さないとならないが。だが弟子になってしまえばその魔術師から直接修行してもらえるし、オリジナルの魔術コードを教えてくれるかもしれない」


「それくらいなら知っているよ。魔術師になるにはどうすればいいか調べていたからね。それで魔術師になるのと洗礼の話がどう関係あるのかが全然わからないんだけど」


 父さんが何を言いたいのかが全然分からない。父さんは僕に何を聞きたいんだ。


「魔術師になるって言ってもまだ先の話だよ。それに神殿で洗礼を受けるのはもう来週だよ?」


 魔術師になるって言ってもまだ先の話なのだ。僕は下級魔法は使えるが、魔術は使えない。魔術師とは魔法を使いこなせる者のことをいう。ただ魔法が使えるだけでは魔術師とは言わない。


 だから僕は将来魔法学院に入学するか誰かの弟子になろうと考えてはいたが今すぐではない。


 それがどう来週の洗礼の話に関係あるのかが全く分からない。


 だが僕がそう考えていると部屋のドアをノックする音が聞こえた。


「誰だ?」


 父さんがそう言うと扉の向こうから、メイドの声が聞こえ、


「バートさま、エリス様をおつれしました」


「そうか、エリス殿どうぞ入って下さい」


 そうすると扉が開き1人の女性が部屋に入ってきた。


「ゼウノス、紹介しよう。超級魔術師のエリス殿だ」


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