2話 ゼウノス・ライデン
異世界転生を果たして5年がたった。
僕はというと、
ああそうだ、今世での僕の名前はゼウノス。ゼウノス・ライデンだ。
それと一人称が、私から僕に変わっているが少しは子供らしくしようと自分のことを僕と呼ぶことにした。
それにこの5年でいろいろなことがわかった。
この世界は人間や獣人族などの亜人種の住む2つの大陸と、他の種族と敵対している魔族の住んでいる魔大陸の3つの大陸がある。
まあ、魔族がいるのにも驚いたが敵対していると言っても一部の魔族だけであって他は他種族にも友好的らしい。
昔は他種族と戦争もしていたらしいが今は平和に暮らしているとのことだ。
そして僕の住むのは2つの大陸のうちの片方のギニアス大陸だ。
ギニアス大陸には、ベルン王国という国があり僕の住んでいるのはベルン王国にあるフィール領という所だ。
で、僕はフィール領にあるライデン商会に生まれた。
生まれた当初、ライデン商会は何を扱って商売しているのか分からなかったが、それは魔道具だった。
僕の父バートは魔術師であり魔道具師でもある。
王都にある魔法学院を卒業して有名な魔道具師に弟子入り、自ら商会を立てたらしい。
その後、順調に顧客を増やし現在も商会を大きくしている。
そして僕の母ダイヤはこのフィール領の領主の妹であり、中級魔術を扱える魔術師でもある。
両親とも魔術師である僕はその素質を受け継いでおり、赤ん坊のときからの魔力循環の訓練もあって5歳としてはそれなりの魔力量を持っている。
………いや、5歳としては多すぎる魔力量になってしまった。
赤ん坊の頃やることがなく暇だったので魔力量を上げようと魔力循環ばかりやっていたら徐々に魔力量が増えていくのを実感し、楽しくなってきてしまい頑張りすぎてしまった。
前世で筋トレをしていた孫が筋肉がついていくのが堪らなく楽しくて筋トレせずにはいられないといっていたが、それに似たようなことだと思う。
今では毎日、魔力循環をして魔力を上げないといけないような使命感まである。
そんな感じに頑張っていたら魔力量が母ダイヤと同じくらいの量にまでなってしまった。
そして成長したのは魔力量だけではなく、魔力制御も上手くなった。
いくら魔力量が多くても魔力を制御できないのでは魔法を使えない。
しかし、僕は5年間、魔力循環で魔力のコントロールもばっちしだ。
魔法は下級から始まり、中級、上級とランクが上がっていく。
この世界では魔法の素質があるのは10人に1人と言われており、魔法が本当に使えるのはさらに少ない。
実際、魔法が使えると言っても下級よりも下のランクの初級レベルの魔法しか使えない者が大半だ。
初級魔法は使えても指先に火を灯したり、コップ1杯の水を出すのがやっとのレベルであり下級レベルの魔法が使えないと魔術師を名乗ることができない。
だが僕は5歳で火、水、風、土の4大属性の下級魔法はすでに使える。
魔力量は十分、魔力制御も得意なので下級レベルの魔法なら問題なく使える。
普通は5歳で魔法なんて使えるはずもなく、得意の属性に絞って魔法を覚えるのが一般的らしいので僕は周りからライデン家の神童として将来を期待されている。
さらに僕の母ダイヤはかなりの教育ママであり、文字の読み書きや簡単な計算は自ら教えてくれたが、前世の記憶がある僕からしたらすでに知っていることなので少し勉強をする振りをして覚えたことにした。
そうしたら、母ダイヤはさすが私とバートの子供ねと大喜び、周囲に僕のことを自慢して僕の天才ぶりが周りに更に知れ渡ることになった。
前世でみた漫画やアニメの主人公達は才能を惜しみなく発揮して面倒ゴトに巻き込まれていたなと思い出す。
うん、これからは面倒ゴトに巻き込まれる前に少し自重して目立たないように努力しよう。
この世界の文字と言葉は日本語が共通語として使われています。