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第5話『システム』

 田子に連れられ、四季は歩いている。

 そして、ひとつだけ他とは明らかに違う形の家にたどり着いた。


「他はみんな同じ形なのに、ここだけ違う形なんだな」

「うん、そうだね。じゃあ、入って」


 田子に促され、四季は家の中に入る。

 中に入ると外観から連想されるイメージと、ほとんど変わらない作りになっている。


「うわ!広い!天井も高い!」


 視線を徐々に上に向けながら四季は感想を述べる。


「そうでしょ!?ゲーム機があったらここゲームセンターにするんだけどなぁ…!」


 さっきまで若干クールになっていた田子が興奮したように答える。


「ゲーム好きなんだ?」

「うん、好き!!ゲームセンターに毎日通い詰めるぐらいだからね!!」


 田子の興奮度が増していく。


「へぇ…」


 少し引き気味に答えていた。


 ――なんかさっきもこんな会話あったような…。デジャブ?


「という話は置いといて」


 冷静さを取り戻した田子が冷静に話を終わらせる。


「もう少し着いてきて。靴は脱がなくていいから」

「そもそも玄関ないみたいだね」


 土間と正面の廊下との境目が見つからない。


「…そうだね」


 若干不機嫌にしてしまったようだ。

 この細かい性格が自分でも嫌になってしまうことがある。

 謝ろうとしたが、


「早く、着いてきて」


 という田子の言葉に遮られてしまった。


 ――――――――――――――――――――――――


 廊下を少し歩くと正面に(どう考えてもこの家に馴染まない)金属製のドアがあった。

 田子が右手側に設置してある(これまた場違いな)端末を操作すると金属のドアが開いた。

 正面には何もない。

 少し頭を下に向けると下に向かう階段がある。


「地下室?」

「うん、そう。もう少しで着くから」


 そう言いながら「入れ」と手で促してくる田子。


「わかった」


 そのままついていく。

 その階段は少しと言う割には長く、螺旋状になっているため今どこを向いているのかわからなくなってきた。


「結構長いね」

「うん、でももう着いたよ」


 そう言って田子が立ち止まる。


 階段がそこで終わっていて、目の前にはさっき見たのと同じようなドアがある。

 先ほどと同じように田子が端末を操作すると、ドアが開く。


「まぶしッ!」


 とても強い無機質な光が視界を覆い尽くす。

 階段の中が暗かったわけではないが、光の質が違う。

 ドアを抜けると、そこには一面金属的な光景が広がっている。


「ここは?地上に比べるとやたら近未来的だね」


 田子に尋ねる。


「説明するより、やってみた方が早いよ」


「やる?」


 田子が真ん中の一際大きい機械に向かって歩いていく。

 そしてその下の方のくぼみに、ずっと持ったままだった剣を置いた。

 すると剣に、スキャンが行われているような白い光の筋が浮かび上がる。

 それはわずか1秒ほどで終わり、目の前に何かが出てくる。


「これは、立体投影?」


 その投影物には何か数字や文字がたくさん書かれている。

 書かれている内容は、


『名称 《テェラソード》

 コスト《15》

 標準運用時攻撃力《1050》

 最大許容運用値《115%》

 刀身耐久値《10000》

 標準防御時軽減威力《50%》

 完全消滅時修復魔力消費量《5000》

 魔力平均許容値《1000》』


 である。


「なにこれ?この剣の性能って事?」


 即座に自問し自答する。


「そうみたいだね」


 そう、田子も答える。


「強いの?」


 四季が尋ねる。


「わかるわけないじゃん!私もこっちに来たばかりだし、攻略本があるわけでもないし」


「当たり前でしょ!」といった感じに田子が言ってくる。


 まぁ、


「そりゃそうか」

「でも、参考程度に…」


 そう言い田子が、右手を銃を握るように構え、左手も下の方で構える。


「あれ?そういえばさっきの銃…」


 尋ねようとすると同時に、田子の正面に青白い光の線が浮かび上がる。


 それは1秒とかかからずにライフルの形を形成し、そこに実物のライフルが現れる。


「さっきの銃、どこに行ったのか聞こうと思ったら、マジックで隠してたのか」


 にしては本当に出てきたように見えたが。


「マジックじゃないよ。私できないし」

「じゃあ、どうやったの?」


 尋ねる。


「なんだろう?この銃を手に入れた時から、なんか今までなかった、手のような足のような感覚が私の中にできて。それを動かすと、この銃を出し入れできるの」


 田子が曖昧に答える。


「そうか、なんとなくはわかった。わからんけど」

「どっちだよ!」


 田子がタイミングよく突っ込んでくる。


「ナイスタイミング」


「ハッ」と田子が少し赤くなる


「まぁ、もう少し調べればわかるだろう。多分」


 四季がそう言う。


「そうだね…」


「あっ!」という感じに田子の表情が変わる。


「そうだ、参考参考」


 そう言い、田子はさっきの剣とは別のくぼみにライフルを置く。

 先程と同様にスキャンが行われ、ステータスが投影される。


『名称 《フォーリングライフル》

 コスト《30》

 標準魔力供給時攻撃力《2125》

 最大魔力供給時ボーナス《50%》

 標準弾丸単発魔力消費量《50》

 標準弾丸最高速時耐久値《1000》

 銃身耐久値《2580》

 完全消滅時修復魔力消費量《10000》』


「剣とは書いてる事違うから参考にはならないかな?」


 田子が尋ねてくる。


「確かに銃と剣じゃ性能変わるな」


 まじめに答える。


「でも、あの威力の銃の半分程度の攻撃力って事は、かなり強い剣なんだろうな」


 今度は分析して答える。


「確かにそうだね」


 田子も納得したようで答えてくる。


「じゃあ次は…」


 田子が剣と銃をくぼみから退け、銃の方はさっきと逆の方法でしまう。

 立体投影も同時に消える。

 そしてそこに手を突っ込む。

 スキャンが行われる。

 そして投影物が現れる。

 そこに書いているのは、


『スロットキャパシティ《35》

 装備武器 《フォーリングライフル》

 現装備武器最大ストック数《1》

 魔力値《97500/97500》』


「右側は見ないでね」


 田子の見えない圧力で右側は見れなかった。


「じゃあ、君も測ってみようか」


 田子が手を退け、四季を促す。

 こちらの数値は退けても消えないのか。

 が、田子が右上のばつ印を素早い操作で押し、すぐに投影された数値は消えてしまった。


 四季がくぼみに手を突っ込む。スキャンが行われる。

 数値が現れる。真ん中で2つに区切られている。

 四季は数値を確認する。


『スロットキャパシティ《0》

 魔力値《5001/5001》』


「…ゼロ?」


 思わず声が漏れる。


 その下に田子のにあったような、装備の表記もない。


「このキャパシティ0って?」


 田子に向かって尋ねる。


「…言葉の通りだよ。キャパシティ、許容量が0って事」


 田子が答える。


「これが0だとどうなるの?」

「武器が装備できないってことになるのかな。私のキャパシティは35で、剣のコストもライフルのコストもどっちもそれを下回ってる。だから装備できた。逆に君のキャパシティは剣より下回っていた、ていうか0だったから、剣を装備できず拒絶された」

「うそでしょ…」


 ――せっかく本物の剣が触れると思ったのに…。


 目の前のおもちゃを買ってもらえない子供ってこんな気持ちなんだろうか?


「落ち込まないでよ!村の外に出るときは、私が一緒行ってあげるから!流石に戦えない人を一人で外に出すのは危険だしね」

「いや、ありがたいんだけど…、ありがたいんだけども…」


 ――俺が落ち込んでる理由は戦えないことじゃないんデスよ。


「それと、この剣は私が持ってていいかな?みんなは武器一本ずつは持ってるし。人を守りながら戦うのにあのライフルは不適切でしょ?」

「…そうだね。でも、俺のキャパシティ…、言いづらい…! キャパが上がったら、その剣ちょうだいよ?」


 まるで子供のように尋ねる四季。


「うん、わかったよ」


 そういうことで、明日、村から出る時、田子カナミが同行することになった。


 ちなみに、数値の右側は体温、血圧、体重などの情報だった。

 田子が見せてくれなかったわけだ。










































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