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17話 大魔導演武


ーーそして、大魔導演武当日。

出場するギルドは、それぞれの控え室に集まるように指示されている。

ジユージュのメンバーも、すでにマスターとセーナとトパスが控え室で待機していた。


「結局、個人の部は私として…ほかの部のメンバーはどうなったの?」


「まぁ、始まってからのお楽しみってやつです」


セーナの問いに、マスターは珍しく自信ありげに答える。

マスターは多少気になりつつも、今回の参加ギルドの一覧表に目を通していった。




今回、参加ギルドは数十のギルドがいる。

個人の部、ペアの部に関しては、どのギルドも参加することは自由であり、同じギルドの者が個人やペアの部に何組出場させても問題ないとされている。

ただし、団体の部は各地区の代表ギルドのみである。


キノ地区からは、我らが魔導士ギルド「ジユージュ」が出場。

イチ地区からは、魔導士ギルド「ポテト」が出場。

ジーデ地区からは、魔導士ギルド「ウンエトゥーカ」が出場。

ヤシ地区からは、魔導士ギルド「マギョウ」が出場。

尚、オーヤ地区からは、本来ならオーヤドージョが出場する予定であったが、ギルドが解散したため、予選で勝ち残った魔導士ギルド「スペース」を出場とする。


そして今回の賞金については…

個人の部

1位《100万イブ》

2位《50万イブ》

3位《10万イブ》

ペアの部

1位《200万イブ》

2位《100万イブ》

3位《50万イブ》

団体の部

1位のみ《500万イブ》

とする。

尚、イブとは通貨である。



一通り、参加ギルドを読み終えたところでセーナが口を開く。


「今回も参加ギルド多いわね。代表ギルドは毎度お馴染みだけど…オーヤドージョの代わりに選ばれたスペースってギルド、トパスさん聞いたことあります?」


それに対してトパスは、首を横に振った。

マスターも見るからにクエスチョンマークを浮かべてるため、どうやらスペースとは最近できたギルドのようだ。

とはいえ、そんな初参加と思われるギルドが、いきなり代表ギルドに選ばれることに、その場の古株たちは考え込むように目を細めた。


そんな不安を感じている控え室とは裏腹に、ホモとリュウはのんびりと控え室に向かっていた。


「わぁっ!見てよリュウ!」


「はいはい」


丁度、今回の大魔闘演武開催場所である会場が見えてくると、ホモが嬉しそうに飛び跳ねる。

その横でリュウは、やれやれとでも言いたげに軽い返答をした。



突然、ドンっ、と鈍い音がする。

見れば、尻餅をつくホモと、肩を押さえる白いタキシードのような服を着た男がいた。


「ヘイ。ボーイ、ちゃんと前を向いて歩きたまえ。この私が怪我をしたら責任とれるのかね?」


タキシード姿の男は、肩を払いネクタイを締め、横髪を搔き上げる。

その横には、丸い眼鏡をかけた小柄な少年がいる。

すると、丸眼鏡の少年はタキシード姿の男の裾を引っ張り出す。


「キカクさん、そんな小者に構ってないで急ごうってば。早くしないとカイさんが怒るってば」


「しかしエーゾくん。このボーイはこの私の肩にだな…」


「わかったってば。でも時間ないってば」


そう言って、小柄であるにも関わらず、その少年はグイグイとタキシード姿の男を引きずっていった。

最後に、タキシード姿の男がホモに向けて何かを呟いていたが、聞き取ろうとしたところでリュウが話しかけてくる。


「失礼なやつらだな。気にするなよ、ホモ」


「あ、うん…って、あれ?」


タキシード姿の男たちを遠目で追っていると、前を歩いているソレイユたちがいることに気がついた。



少し小走りで合流するホモたち。

どうやらソレイユたちは、何か打ち合わせをしていたようだが、ホモたちが現れたタイミングで、たまたま話が終わったようだ。


「なんだか緊張してきたなぁ…あ、ねぇレイも緊張したりするの?」


ホモは、ソレイユの周りをちょこまかと動きながら尋ねる。

ソレイユは一瞬、視線だけホモの方へと向けたが何も答えない。

混乱するホモに、ヒノマがハハハッと軽い高笑いをしていた。



各ギルドのメンバーが、全員控え室に到着したところで、映像魔法が部屋の中心に映し出された。

突然現れた映像魔法に、驚くホモとエディ。


『初めまして。今回この大魔闘演武の開催を担当する組織の者です。司会者や審判などは、他に担当の者がいます。早速ですが各ギルドの皆さま、フィールドまでお越しください。尚、大魔闘演武に参加しない魔導士や一般の方は、観客席への移動をお願いします』


ひとりでに話し始めた映像魔法は、それだけを伝えると消滅してしまった。

一瞬は会場全体が静まったものの、突然それぞれの控え室から一斉に声が響き出した。


「頑張ろう!リュウ!」


「あぁ、目指せ優勝だな」


ホモを始めとして、ジユージュのメンバーも気合いを入れ直す。

そして、マスターただ一人を観客席に残して、いざフィールド内に足を踏み入れたのだった。



一列ずつに並ぶ、それぞれのギルドたち。

よく見ると、見知った顔もいた。

それに気づいたジユージュの古株たちが、小さく手を振る。

それを見ていた新人魔導士たちは不思議そうにする。

すると、トパスが小声ではあるが澄みきった声で、後ろからエディの耳元に口を近づけ説明してきた。


「あれは同盟ギルドのポテトだよ。俺の代よりも少し前から仲良くやってるギルドで、あ…だからって手加減はしちゃ駄目だよ〜」


それを聞いたエディは、小さく頷いたあと、ポテトの人たちと目が合ったときには会釈をしていた。

察しのいいリュウも、同じように会釈をしていたが、ホモは全く気づいていない様子であった。

ともかく、そんなことをしていると説明が終わろうとしていた。


「…であるからして、ルールはしっかり守ってください。それでは、大魔闘演武を開催します!」


一斉に、フィールド内にギルドたちの叫びが響き渡る。

最初は個人の部のため、出場者以外は観客席の方へと移動していった。

そして、出場者の準備が整ったところで、引き締めた声で審判が口を開く。


「個人の部、開始!」


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