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プロローグ
いつからだろう―
私が私という存在を見捨てたのは。
―――
私はうんざりしていた。
自分の考えを押し付けることしかしない両親と、その両親に反論もせずにただ突っ立ているいるだけの自分に。
「何でこんな点数しか取れないの、あれ程勉強しなさいって言ったじゃない!」
私は勉強をサボってなんかいない。
朝起きたら、着替えて朝食まで予習。
学校に着いたら予習の続き。休み時間には復習を、放課後は自習室と呼ばれる個室で最終下校時間まで復習。帰宅後は、夕食と入浴の時間を除いて七時間の予習・復習。
二週間前に倒れたのを除けば毎日やっていた。
笑い方を忘れてしまう程に。
「起立!気を付け!礼!」
今日も、いつも通りの一日が始まる。
「ここの分子構造はClがこうなっている訳で―」
・・・と思っていた。
いつも通りの一日は、突然起きた目眩によって終わりを迎えた。
倒れ、歪んでいく視界の中で、驚き、慌てふためく生徒達を眺めながら私はこう思った。
・・・今月の学習時間ノルマ越えてたっけ。