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ギルマスワークス!外伝.戦場の花を捕まえて  作者: 真宮蔵人
人外魔境に咲く花
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B051.マスター、あちらのお嬢さんへラストダンジョンを

時はがりるんの懲罰会議少し前に遡る。

敵の戦力を見定めた後に俺は前線をヨグの姉御指揮下、ローパー、含むギルメンに防衛を依頼し各フロアに配置しているワープコアから亜竜のホーム周辺へ向かった。目的は一つ、このキャラクターが飛行特化である為にダンジョンでの戦いが実に不利である為にスキル調整をしなければならないのだ。


よくファンタジー物である、ダンジョンの奥地で財宝を守るドラゴン、あいつらは空を自由に飛べる地形ならばほぼ無敵なはずなのになんでわざわざ狭いダンジョンで敵を待ち受けるんだよアホじゃねえの?という子供の頃に抱いた感想がそのまま自分に返ってきた状況が今だ。

まぁ、ファンタジーのドラゴンはリスペックなんてしないだろうがな、と俺は思いながら「よくぞ戻った若き竜よ、その後は良き狩りを楽しめているか?」とチュートリアルで操作方法を教えてくれた亜竜のNPCが尋ねてくるが。てやんでこちとら既に魔王様悪竜様なんでえべらんめえ!と話し掛けたとこで、「ほう、技術を見直したいのか?金貨340枚が必要になる。」と金貨金貨金貨!亜竜としての誇りは無いのかと思ったらドラゴンは金目の物が大好きな設定でしたね。

俺は迷わずスキルの再振りを実行。マギラ3Wikiで亜竜の項目をチェックしながら、ついでにグーグルで「拷問」「懲罰」「制裁」等の単語を平行して調べているとSympaxiにショートメッセージが届く、内容は「手伝おうか?」と書いてあり、送り主はコウリュウと表示されていた。


「俺は貴方が何者、いや、人すらどうかも知らないけど。俺の目指す道の手助けをしてくれるのなら頼っても良いのでしょうか。」とショートメッセージで返す、こいつは本物の機械仕掛けの神かご都合主義のお助けキャラなのかは分からないが、続けて「俺は皆の願いを叶えたい、そこに敵も味方も含まない、その為には多少の苦労と犠牲を伴う。それを本当に手助けしてくれるか?」と独り言の様にその送り主へ言葉を紡ぎ送る。

「分かった、僕の心に神はいないけれど、君を信じて手伝おう。ただし、今回は体験版です。」とコウリュウは返事をした後に音信を絶った。


思えばマロン部屋のエアコンをいじって熱中症も防いでくれれば良かったのになあと思ったが、我が家もそこまで電子化が進んでいない上に、フルオート家電の保障責任を持たない奴に家庭インフラを握られるのは怖い話か、最近アメリカで話題のメカドック『エマ』の購入も我が家の家計に余裕があれば欲しいものだが、俺の今後あるであろう大学生活を考えると子供としても節約は心掛けなければならない。

ネットゲームしてないでバイトでもしろと幼馴染達にはよく言われたが、俺にはネットゲームプラス受験勉強の道が理想なんだよ、ネットゲームを捨てるなんてとんでもない。



当初はネタキャラ扱いされていたラットマン、その種族は当初可愛い外見で人気はあったが、この種族をガチで育てる様な人はあまりいなかった。この種族もエンシェントエーテロイドと同じくして研究の遅れた種族ではあったが、その種族が持つスキル『土魔法』これは砲兵器として優秀な魔法であり、更に『病原菌』のスキルラインはバイオ兵器として実に優秀である。

このゲームの病気及び毒攻撃はかなり本気でプレイヤーを殺しにかかるダメージを誇る、PvEで戦う場合は重い一撃よりも病気や毒といった持続性のダメージであるDot攻撃を重ねた方がDPSが高いという報告はよく上がっている。

「放浪熱デチュ!」とすすり泣くネレイドと別れて最前線の味方に合流したラットウーマンのイトラは病原菌レベル10スキルであり、前作最悪のスキルと言われた感染性のある病原菌を放つ、これは毒や病気耐性を持つ種族が多い魔王軍に対しても効果は抜群であった。

「放浪熱だ!可愛い顔してペスト大流行よ!」と発射先から悲鳴が聞こえてくる、魔王軍天魔のダンジョン防衛隊は自らのダンジョン内部に塹壕を掘り敵の木馬と砲兵の攻撃を防ぎながら我々を食い止めにかかる。

人型の魔王軍はまだマスクがあるから良いが、これが亜竜やゴブリン、ローパーといった特注のガスマスクが必要な種族にはたまったものではないだろう、万が一この病気に耐性がある種族が感染したとしても、一度その病毒に感染してしまえば次は後方に控える魔王軍がこのバイオ攻撃に気づかずに感染を拡大しダメージを与え、それを癒すために魔王軍ヒーラー達はEPを浪費し戦線の維持に大きな打撃を受ける。


魔王軍もこれに対して火神魔法で感染の拡大を食い止める。放浪熱の感染には時差があるらしく、その時差の間に火神魔法での浄化やガスマスクを装着する事により感染及び伝染は防げるが、マスクが持っていない者、攻撃に熱くなりすぎてマスク装着が遅れる者、そういったモンスター達は「げふっこほっ!」とキャラクターが勝手に咳き込み出すモーションをしてからそのMPを減し倒れていく。


魔王軍も放浪熱が使えるかと各種族の情報交換が進んだ最近では、魔王軍に『病原菌』のスキルラインが存在しないと判明している、つまり当初は最弱だと思われていたラットマンがこのスキルラインにより一気に全種族中トップクラスに強い種族へ評価が変わったのであるが、ラットマンはサーバー開始序盤に悪竜ビータ一味による初心者狩りを受けまくった事もあり、その個体数はいても高レベルのラットマンは貴重である。

そしてラットマンの素晴らしい所は、派手なアクションや高い機動力は無いが、ボタンポチポチしてるだけでその性能が十二分に引き出せるのである。

しかし、病原菌のスキルが無いと言えど敵からもポイズンブレスや毒ガス兵器は飛んでくる、特にこのダンジョンの名物であるアラクネやローパーは毒攻撃に特化している為にこちらもガスマスクを被り「シュコーペコー。」といったマスクを装着した時の呼吸音とくぐもった声での通信が目立っている。

ガス攻撃は感染性は無いが投下地点への残留時間が長く威力も高い、ガスは病原菌とは違い火神魔法で浄化は出来ないが、エルフが得意とする森林魔法により浄化が出来る。

問題は敵のシルフと味方のエルフが風魔法によりお互いのガスをダンジョン中に拡散させている事だが。


今回の天魔ダンジョン攻略レイドはギルド『故国奪還隊』主体による木馬研究会『ロンメルファントム』、海洋ギルド『黄金のシロッコ』、冒険者ギルド『ジェノサイドパーリー』。特攻隊『アウトロード』の連合部隊である上にスポンサーにエルフギルド『ユニグロ』と商会ギルド『Destiny trading』が付いた破格の編成である。

ダンジョン内に木馬を持ち込むという攻略方法は以前より存在した、なにせダンジョン内に戦艦を置く人も多いと聞く。木馬をダンジョンで使用する際には階段を下りる及び縦穴を降下するといった事が出来ない為に、各フロア毎に木馬を作り直さなければならない。

これは強力なスポンサーと木馬ギルドのマスター、『変わり者のダン』が協力してくれなければ成しえなかった侵攻作戦でもある。

ラットウーマンのイトラからすれば天魔のダンジョン自体はホーム奪還に直接は繋がらない。獣人とラットマン達のホームは地楽園という今ではDDD要塞と呼ばれる位置にある為だ。

地楽園開放の為には天魔のダンジョン攻略が先となる、これは覇王軍の上層部で一致した見解らしいが、このタイミングでこんなに難攻不落だった天魔のダンジョンがトントン拍子に攻略出来ているのは例え地図を手に入れる努力があったとしても出来すぎた話しである。


病原菌と砲撃を撒き散らした後は素早く後退する、ガスマスクを付けた敵が回復魔法を受けながら砲兵狙いの突撃を仕掛けてくるからだ。それに味方の木馬は一見頼もしい戦車の様に見えるが、実は近接攻撃に弱い。


ガスマスクを付けたオークやゴブリン、オーガ等といったモンスターの群れがネレイド、アラクネ、ローパー達の支援を受けながらこちらの随伴歩兵隊とぶつかる、無論その衝突点にはフレンドリーファイアが無いので双方の砲撃が加わるが、敵味方のスワンプマンやドッペルゲンガーが敵に化ける事によりフレンドリファイアーになる状態へ敵を貶めて、そのお互いの火力を利用しようとする。

このフレンドリーファイア状態をONにされたプレイヤーはいくら歴戦の勇者とはいえ敵味方の砲撃の嵐から引き下がらなければならない。本当に強すぎる個人プレイヤーは名前と外見の特徴を覚えられて、すぐにその変装スキルでの妨害を受けて実質戦闘不能に追いやられる。


味方からは『台風防ぎのカシヲ』や『スワンプマンスレイヤーのフィートス』『死に損ないのバギーラ』『オカマフロンティアのラニ』といった昨夜の大戦で有名になったプレイヤー達が『悪鬼マリッド』『台風野風』『鉄槌のイーベイ』『ゴブリンロードのレオレオレーオ』『ジェット機アレキシ』といった敵の名立たる戦士達との激突をするが、お互いにガスマスクを被り砲撃の嵐の中で尚且つ変装スキルによる妨害に警戒しつつ前線で殴り合いを始めている。


敵の中衛にはこのゲームで最初に最上級種族へ至った『人食いア・ヨグ』やザ・ローパー『暗黒のがりるん』、『スケルトンキングのシャンコ』等といったボスモンスターがこちらの木馬に対抗する様に控えている。

しかし、そんな有名なプレイヤー達もこの状況では選ばれた英雄ではなくただの歩兵である。そしてただの歩兵もまた英雄である。

飛び交う砲弾の中を恐れずに突き進み戦える勇気がある、それだけで英雄と称えられる権利があるとイトラは思いながらその英雄達に容赦の無い砲弾の嵐を加える。


ニーチェの所にはパイスとグネットがしばらく残り、様子を見てからお互いの陣営に戻るという事になっている。隣を見るとリニアが変形しながら右腕から砲弾やレーザーを撃ちっぱなしで、前を向くとパンダ少女のユウファイが塹壕や敵の砲撃範囲を見極めながら前進を続けている。

塹壕、砲弾や爆撃を防ぐには必要不可欠な物である。イトラは「前線には出たく無いデチュね。」と思いながら放浪熱の再利用可能なクールタイムを見てふと気づいた。

土魔法の砲撃で微妙に地面のテクスチャがえぐれている、ではその地面の耐久度を見てみると、減ってる。

「リニア、地面の耐久度減ってないデチュか?」と隣に立つ砲兵へ尋ねると。「あれー!?本当だ!ダンジョンって床って壊せたの!?」と言う事は私だけの表示がバグっている訳ではないみたいだ。

リニアのすぐ後ろでは観戦武官として来たというルナーンがその発言を聞いて「エハッ!」っと言いながら笑い顔を作った。どういうことデチュかね。

「ミット、ダンジョンの床や壁の耐久力が減ってるデチュ。これはどういう事か分かるデチュか?」と私は忙しいだろうギルマスに尋ねる前にその一個下の階級であるサブマスのミットに尋ねると。

「え!?それってダンジョンメイクがONになってるってことじゃない!イトラでかしたー!」と言った後に、「ルサ!敵がダンジョンメイクモードに入った!壁をぶち破るか床を抜く事が出来るわ。」と外交の為の通信で忙しいギルドマスターを無理やり前線へ意識を連れ戻す。

「あ、本当だ。ダン、木馬で床は抜けない?」とルサミナは隣でマップを見合わせながら顔面をしかめていたライカンスロープに尋ねると、「木馬で床抜きは無理だ。このゲームは射角による破壊計算が物理エンジンに入っていて木馬砲は真下に撃てないから効果は薄い。それに工兵は土魔法持ちの方が良いだろうが、ラットマンは少ないんだろ?」と狼男は聞いてくるが、そもそも従軍するラットマンがその種族を選択した人からは少ないのである。

小動物の3匹組みのキャラクターを選択して戦争に出たがるプレイヤーなんているものかなあ。


「うーん、ドワーフはどれだけいる?」「このレイド、ドワーフも少ないんだよ。」「となると床抜きは厳しいか。」「抜いた所で敵に挟撃を受けないか?」「味方の復帰地点はダンジョンの出口に配置しているけど、寡兵かへいになった場合は挟撃されたら終わり。それにダンジョンメイクONになったって事は敵は増築か奇襲の準備をしている可能性が高いわ。」

「偵察を後ろにも出すか、現状随伴歩兵と砲撃は飽和状態だから壁抜きと通常侵攻の二部隊に分けて攻めるのも手だぞ。」

「それって木馬の維持は出来るの?1フロアに4台出すなら昨日の大戦より霊炉と資材を使うのよね?」「それはそうだ、そこはスポンサーのご機嫌次第だな。ルナーン武官、アルマース武官、サトリ殿。物資の支援を追加要請してもよろしいか?」とダンは観戦武官達に尋ねる。

「当初は霊炉16個とランク3以上の木材と金属が各々で8000ずつ必要だったんですよね。それが1.5倍以上に増える、ウチからは金属と霊炉2と竜炉2を提供しますよ。」と素早くゴーストのルナーン観戦武官が資材の提供を約束する。このゴーストは支援に対する全権委任を受けているらしいので打てば響く反応が来る。

それに対して黄金のシロッコとユニグロから送られた武官からは「少々お時間を下さい。」と本部と連絡を開始する。

この作戦は特殊作戦な為にライブ中継して支援を求める訳にもいかないし、一部公開にした所で海洋ギルドとエルフ達がもっと協力的になる訳では無い。なぜなら彼等はホームを失っていないのだから。

「故郷を失ってから大事さに気づくって馬鹿デチュよね。」と私はつい愚痴ると、「うら若き乙女にしょっぱな戦争に出て祖国防衛しろって普通言えないじゃん?」とリニアは首を横に一回点させて相槌を付くがそりゃごもっともだと思った。



「ダンジョンマスター、彼女達に一番良いラストダンジョンを奢ってやって下さい。」

「おや、ビータさんおかえりなさい。地下10階までは仕上げておきますがいずれここも放棄します、よろしいのですね?」とオークのバッシーさんがメガネをくいっと上げながら尋ねる。

「いつも苦労おかけします。バッシーさんの力作がこんな形で崩れるのは遺憾ですが、込み入った事情がありまして。」

「いえ、こういうのは私の趣味ですから引き受けているだけです、ビータさんは前線や外交で魔王らしく振舞ってて下さい。」

と安全帽とツルハシを抱えたバッシーさんはオークやトロル達を引き連れ会議室の奥に作られた宝物庫の更に奥へ消えていった。

「お兄さん、マロンちゃんはしばらく安静にして貰います。」とジノーがログインしながら俺の右隣に並び溜め息を付く。

「先輩の良いトコ見てみたい。」といつの間にか最前線から戻ったロドリコがくるくると回りながら俺の左側に付いた。

「ロド、ベータ1の終了は今夜の0時で間違いないな?」と俺は念を入れる。

「うっす、長い戦いの始まりっすよ。カロリーメイトとオムツは用意したっすか?」

「いや、流石にそれは無いわ。」「ナメプっすね。」

「私はこのままマロンちゃんの部屋に泊まりますね。」

「え!?僕もお泊りしにいきたいっす!パジャマパーティーとかしましょう!夢だったんすよ!」

「いや、絶対に来るなよ。というかジノーもちゃんと家に帰れよ。」

「いえ、魔王の腹心として残りますよ、お兄さん。最近はお兄さんの悪い所しか見れてませんからね。」

「じゃあ、勇者達を蹴散らしにいくっすよ魔王様先輩!」

「勇者の相手も楽じゃないな、さて行くか。」

俺はこの会議室とダンジョンマスターに最後の別れをした。

・節約

筆者が子供の頃は電気をつけっぱなしにしたり水道の蛇口を閉めなかったり水を無駄に使ったりした花火を買い込んで手榴弾にして川に投げ込むといった節約の出来ない子でしたが、独り立ちをしてからは異様に節約家となりました。親の苦労子知らずとはよく言いますが、電気と水道代は子供の立場でも浪費出来てしまうので、皆さん気をつけてください。節約したら浮いたそのお金で株でも買いましょう。


ちなみに幼少時代の一番の浪費というか失敗談が、パソコンをネットに繋いでたらウィルスにかかってダイヤルQ2に接続されしばらく気づかずに後日NTTから請求が34万円来た事でした。

当時15歳だった筆者は親に34万円という借金を背負った為にそれが心のトゲとして残り、高校に入ったらすぐにバイトを始めました。結果は学問よりバイトとネットゲームと文庫本に明け暮れる日々となり、借金完済後には現代的なネットゲーマーがADSLが来る頃に誕生した次第であります。


・フルオート家電

既に現実でも進んでいますが、規格統一や事故発生時における保障と保険問題及び量産化が進んでいないので日本では馴染み薄いサービス。これは我々が生きている内に達成される未来技術だと思います。


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