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ギルマスワークス!外伝.戦場の花を捕まえて  作者: 真宮蔵人
人外魔境に咲く花
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B027.好色翼人女

「このアホタン!そんなレベルとベベしょってなんで前線にでーへん!」と隣から銃座で共にドラゴンを迎撃していた栗毛髪のネーチャンにいきなり怒鳴られた。


彼女もこの惨状に怒りや遣る瀬無さを募り始めていたのだろう、確かに銃座は連射後のクールタイムが少々長いので1プレイヤー2銃座をうまく回した方が効率良く戦える。しかし、一人二銃座を彼女が使うとなると、もし不慮の事故が起こり銃座担当ガンナーが倒れた場合には銃座による砲撃という拠点防衛最大のメリットに大きな混乱もしくは時間差ディレイが発生してしまう。

前線に出ろとは言われたが君はまだレベル1に見える、ドラゴンブレスやハーピーの奇襲で倒れない可能性は高くないか。しかし、彼女には自信があるのだろう、俺から奪った銃座を連射して尽くしてはまた隣の銃座に素早く戻って射撃を開始している。

ああ、こいつサブキャラだな、でもレベル1なんだよな。と悩んだ末に俺はヘヴシンキ西門上の端に立ち、門を叩き続けるスケルトンの軍勢を見下ろし、光神信仰魔法の『集中光』を乱発させる、ダークストーカーラインを持つスケルトンにこの魔法はとてもよく効く、奴等は突如降り注ぐ天からの光によりスタンと大ダメージを受け狼狽する動きを見せた、スケルトンも中身は人間だからうろたえる、死を恐れない設定であるアンデットの特性台無しだな。

スケルトン達はその脅威的な魔法使いである俺に対し矢や暗黒魔法と氷神信仰魔法を応射してくる。

俺はこの攻撃に対し盾を構え一身に受け持つ、目的は俺の攻撃に集中する敵を少しずつ誘導し後ろの銃座に座るガンナーへ誘われた敵集団への射線を通してやる為だ。

スケルトン達が銃座の射程外から内側まで誘われたらそこへ間に髪を容れずガンナーのお姉ちゃんから射撃が飛んで来る、これはネットゲームにおける防衛戦では基本な戦術だ。


更にドラゴン達からのファイアブレスも後ろから時折吹付けられる、体が炎に包まれるエフェクトが視界に写るが、俺は光神魔法の『日差し』『光の翼』をEPと相談しながら展開し、回復と囮役に徹する。

これだけ働けばあの姉ちゃんも文句はなかろう、でも銃座の方がアライメントポイント稼げるんだよなあ。こっちは本当に損な役回りだ、かといって気の強い女は怒ると怖いから「AP欲しいから銃座返して」なんて言える筈も無い。

正直に言うとスケルトンからの攻撃は暗黒魔法と武装スキルラインの無い矢の攻撃、つまり闇属性と矢の小攻撃か強攻撃しか来ないのでこちらの装備とスキルが対スケルトンに全振りしている状況ではあまり脅威ではない。闇属性を減衰するエンチャント防具、刺突属性に強い防具プレートメイル、なかなか良い質のガスマスクは最近では必須アイテムで、予備防具には藤甲すら用意してある。

藤甲は火属性が来たらかなりピンチになるのでPvEでしか使わない、上空からのファイアブレス怖いし。

「そろそろつらいな。」と矢と暗黒と氷の嵐に向かい独り呟くと。

「バギーラ、待たせたな!」と港の方角から仲間達が助けにきてくれた様だ、ヘヴシンキは西に門がある以外は全て海や大湖で囲まれているので制海権のある覇王軍には守り易い地形だが、今回はいつもより攻撃に意図を感じる、無論それは上空から街への破壊活動がメインだ。

「ガストラフェテス、もう死ぬかと思ったぞ。」と俺は軽口を叩き城門上の端から少し下がる。後ろで銃座からを敵を狂った様に撃ちまくるお姉ちゃんもまだ元気そうだ、彼女は俺の回復魔法圏内だったしな。

よし、仲間が集まってくるなら仕切り直しは容易い、俺はまた城門上の端に立ち、スケルトンを見下ろしながら「バッチコイヤオラー!」と啖呵たんかを切って自慢の盾を片手杖で打ち叩いた。



城門の上に金髪のノースマン男がヌッと出てきたかと思ったらめっちゃ痛い光魔法連発してくるんだよ。しかもこいつサブかピュアか分からないがタンクだ、そもそもノースマンは大体タンクだ。更に言えばノースマンはEP消費特化型まほうとっかとかSP消費特化型ぶつりとっかとか攻撃方法も選びやすい人間種族では汎用性が高めな方だ。

「おいぃ!俺等暗黒魔法くらいしか基本的に遠距離攻撃ないんDeathけどお!」

「しかも敵からの集中光めっちゃ痛いぼーん。」

「暗黒魔法全然通らないぞあいつ、というかヘヴシンキ攻めるといつもいるよなあいつ。」

「馬鹿骨!ノースマン相手に氷神魔法使ってどうする!めっちゃ耐性あるぞあいつら!」

「あのタンクを追うな!敵銃座の射線に入るぞ!」

「なぁ、スケルトンで弓使う意味なくね?」「Lv20になるまではあんまり意味ないぼん。」


ギルド骨骨骨の回線は元々統制が無かった為に、今のお祭り騒ぎでは更に混線している。

俺はメインVCをグループチャットに切り替え、ギルドチャットの音量を下げる。

「なあ松本SAN?」「どうした、シャンコぼんぼん。」と俺は相棒サブギルマスのスケルトンへ基本的な疑問を問いかける。

「もしもだ、今回で宿敵の都市が陥落したとしたら俺等はどうやってそれを維持するんDeath?」

その疑問に対して機械神信仰魔法を機械的に城門へぶつけ続けるスケルトンの松本は首を少しカラリと傾けてから「制海権が覇王軍に取られている以上、港町の制圧維持は不可能だぼん。だから都市を破壊する事に専念するという選択をしたあのドラゴンの考えは正解だぼんね。」と応える。

「まぁ、死の権化みたいな俺等が言うのもあれだけど、都市が燃えるって感慨深いDeathな。」

「そうだぼんね、本当に古いムービーか歴史資料でしかもう見ない光景だぼん。」

「そうなるとノースマンの封印は不可能Deathよね?」「でもノースマンの序盤は地獄になるぼん。」

「ああ、ノースマンでゲーム開始即スケルトンのゲリラ攻撃を受け、戦闘不能からまたホームにリスポーンして何度も死に戻る現象が起こるのDeathか。」

「うん、そうなるとファーストキャラでこれからノースマンを選ぶプレイヤーは死に戻りゲーにより引退不可避だぼん。」

「うーん、なんかそういうのって作戦名無かったDeathか?」

「焦土作戦に近い様だけど微妙だぼんね。でも、どこかでそんなコメントをSympaxiで見たぼんね。『心の焦土作戦』だったかな。」

「ぐぐったらエルフギルドのギルマスのコメントが出てきた。」

「あそこは世俗がないとエルフ性が相対的に維持出来ないからそういうのは嫌うぼん。」

「お前妙に詳しいDeathな、つまりブランド価値を維持する為に世俗が必要なのDeathか、エルフは。」

「ぼんぼん。」と相棒は短く相槌を打った後に攻城兵器をヘヴシンキの門へぶっぱなす。


『バッチコイヤオラー!』と城門の上で沈む気配の無いノースマンマジックタンクが挑発行為をしてくるが、街の門がもう少しで破れるので構ってられない。スケルトンはストイックなのだ、不死者であり感情とか無いのだ。

というのはまぁ勿論嘘だ、スケルトンなんてマニアックな種族を選ぶ人間は大体頭おかしい。選ぶ奴はローパーの次におかしいと言われているくらいだが、その昔流行ったスケルトン主人公のラノベの影響かスケルトン主人公は大有りらしいけど、やっぱりマニアックDeathよね。

上空では相変わらずドラゴンが一撃離脱攻撃で街の防衛力を弱め、勝ち馬乗りに来たハーピーの集団は嬉々として上空から既に市街戦を繰り広げている。

ハーピー達のまとめ役は『おしちぃ』というハーピー女だが、頭もハーピーであるのでその攻撃方法は散漫だ。

「おーい!ハーピー!もっと各個撃破とか城門の防衛妨害とかしねえのDeathかよー、お前等の呪歌は飾りものかー!」とゾーンチャットで呼びかけるも、「いまいいとこなんだゎー。」とまったく取り合わない、鳥だけに。



眼下では白人さん系の美男達が苦難の顔を作り、協力し合いスケルトンやわたしたちを撃退しようとしている。あら、かわいらしい少年がハーピーにトドメを刺されそうだ!と思ったらそこへ逞しいタンクだろうノースマンが庇いに入り命を救う。

「あのシチュ萌えるわぁ。」とわたしはつい呟いちゃう。

今度は城門の上でスケルトンの攻撃によりハリネズミの様な姿になり続けて銃座の射程範囲へ敵を誘い込む金髪のノースマン戦士。ああいい、ガンナーが男の子だったら最高だけど確認しに近寄ると銃弾が怖いから寄れないのよねえ。

いーわー、創作意欲が捗る!現実では絶対に味わえない地獄がここにある。そこから生み出される勇気と愛と物語、ただし美男同士に限る。夏の本頑張らないと!

それに正直今回ゎ戦争とかどうでもいいしー、ただ美男の苦悶する顔が見たいだけだし。

ハーピーは最初友達いっぱいいたけど、なんかもうあんまりこの辺に残ってないし。オトコでも作ったのかな?それよりノースマンと海の民の戦い見てる方が楽しいょ。だって美男ばっかりだもん。

ゾーンチャットを聞いていると「ヘヴシンキは萌えているか?」みたいな事いわれてたけど萌え萌えだよ。

ただー問題ゎー、この街滅ぼしちゃうって言うらしいことなのー。…そうなるとノースマン、つまりイケメン減るじゃん!やばいじゃん!ノースマン頑張ってよ!うーん、なにか考えないと駄目?


『おーい!ハーピー!もっと各個撃破とか城門の防衛妨害とかしねえのDeathかよー、お前等の呪歌は飾りものかー!』

とほねほね軍団から急かされてるけどー、ほねほねキショイし、イケメンとほねほねだったらフツーイケメンを取るよね、そうだ!



『えーとー、街の中の制圧する方法思い付いたからーここはゎたしらはーぴーに任せて。』とゾーンVCで通信が入る。

「ハーピーがそんな脳みそ持ってるっすかね。」とロドリコの評価は辛辣しんらつだが、それには俺も同意見だ。「エリーン、どう思う?」と俺は妹に尋ねると、「嘘の声だと思うよー。」と優秀なイモウトセンサーは別アプローチで同じ解答を導き出す。

妹のエリーンはかなり馬鹿だが野生的というか人間的というか勘が鋭い時がある、小さい頃から俺達は論理は俺、感性は妹担当とコンビで生活してきたのでお互いを支えあってきた、妹曰く俺はちょっと危なっかしいらしいが、俺から見ると妹も危なっかしい。兄妹による相互監視と分業はうまくいっていた。

そこへ更に悪知恵特化のロドリコと大人の人達が加わり、メンタル面ではかなり攻守バランスが取れているチームが今である。


ネットゲームにおいては個人より集団戦が重要とされているが、それには技量は勿論、メンタルケアや別視点の確保も必要になる。という話を以前のギルマスであるカラシさんから聞いた。ただ、最強を手にした人物が突如引退した場合は行った人と残った人のどちらが勝者なのかは未だに分からないとも呟いていた。

「嘘でやすなら、スケルトンに主導権渡した方がいいんじゃないでやすか?」とアレキシが無難な選択を提示してくる。現状、空爆専門の我々に陸上制圧のプランは無い。

ヘヴシンキは半島型の為に今スケルトン達が集結している門前も余裕で戦艦砲撃の射程に入るので穴を掘り進んでの土竜攻めも期待できない、そもそも海の民には優秀な揚陸隊もいると聞く。

「ハーピーが嘘を付く理由があるなら、その結果を見てからでもいいんじゃないか…。何も我々が火中の栗を拾うこともあるまい…。」とナイトウィンドさんは大人の見解。

「では、決定ですね。」と影の薄い魔王様が裁可を下す。貴女が居なくても決定するけどな。


骨ギルドとは回線がゾーンでしか繋がっていないのでゾーンVCで連絡を行う。

「こちら竜軍、グランダボーンへ、ハーピーターンは信用出来ないが任せて様子見を提示、送れ。」

「こちらグランダボーンDeath!竜軍へ、当方も同意見Deathが打開策なしDeath。送れ。」

「竜軍了解、後は野となれ山となれ、終わる。」


「なぁ、なんで軍隊っぽい通信なの?」とレオさんがこのVCのやり取りに疑問を持つが、これはマギラ2から受け継がれている通信方法なのでその点はよく知らない。

すると、「ああ、それ親父が始めた習慣っすよ。」とロドリコがその疑問に解答を示すがちょっと複雑な心境。

俺ってあの人に毒されていたんだろうか薬になっていたのだろうか未だに分からない。


・雑談

世間では駄目な子扱いされているFPSのBF1で一番最初のキャンペーンに主人公達がバタバタ倒れて行き視点が変わっていく演出いいよね。いい。と友人と話が通じたので視点変更回になりました。

群像劇と言えなくもないが、個人的にはサウンドノベルゲーの街のザッピングシステムに近くなった気はした。当初の目的大失敗。

所で筆者はBF1とBFHLとSWバトルフロントがここ数年のFPSでは大好きですが、世間に駄作扱いされて悲しい。

理由は「こいつらなりきりゲーでおもしろいFPSじゃねえ。」みたいな評価を受けているが。安西先生、なりきりFPSがしたいです。

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