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ギルマスワークス!外伝.戦場の花を捕まえて  作者: 真宮蔵人
人外魔境に咲く花
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B019.スカイバードバード

「無難かつ正しい決断だったと思うよ。」

ギルマスのエールートさんからお褒めの言葉だろう労いを受けた。

気のいい冒険者達と別れた私はエルフの里であるグリーンジャイアント大森林の頭に当たる要塞に戻り、収穫の上がりをギルド倉庫に納品したり、あのダンジョンの地図削除を見届け人の前で行う。

敵の機密情報が漏洩するとこちらが困る、妙な状況で手間もかかりますが仕方ありません。

「サトリ、君があの戦力で地下三階まで案内したという事を知った人達が君を案内人に指名したいというオファーが続々来ているが、どうする?」とギルマスが目に見えた残酷物語を私に突きつけて来ますが。

「全部お断りして下さい。そんな毎回奇策と駆け引きがうまく引き出せる人間でもないんです、私は。」と私は恐らく偉業の部類だったらしいガイドの仕事で得た全て名声を拒否活動に使いました。

「そういえばマイルズが悔しがっていたな、案内人としてはお前が今やトップだからな。」

「一日で出来た名声なんて薄い物ですよ、それで禍根が出来るなら私はそれを投げ捨てます。」


「サトリちゃーん。」「おいサトリ、あのスワンプマンは見かけたか?」と仲間のエルフ達が私を囲むように質問攻めにしてきます。そんな中で「所で触手共はどうやって封じたんだ?」と物語の核心に触れる事を言われると私はギクリとして顔を強張らせてしまった様で「サトリちゃんが困ってるからよしなよ。」と仲良しエルフのメルちゃん、センチメルちゃんがフォローをしてくれます。

「私の口からは言えません、動画は撮っていますからギルマスの許可が下ればお見せしますが…もう二度と使えない手だと思います。」

その発言を聞いた仲間達は残念そうに「あー!あいつら本当に何がしたいんだよ!いつも邪魔ばかりする!勝負じゃなくて邪魔をだよ!」とマイルズさんが彼等のドツボにハマっている様なので、私なりのアドバイスを送る事にしました。

「彼等、ローパーだと思って挑むからいけないんです。人間だと思って接すれば勝てますよ?」と。


睡眠時間を短くして無理やり起きると寿命が減るという説があるから長生きしたいならあんまり無理な目覚ましは使うなよ、と以前のギルマスがよく言ってたな。「おにいちゃーんお風呂入ってご飯だよー。」と妹がドアを激しくサンサン七拍子でノックしてくるが寝起きなのでそれを笑う事も出来ない。

起こして貰うのを頼んでおいて、起こされたら怒る人、そんな人間にはなりたくないので俺は心を殺してゾンビの様に着替えを手に持ちながらドアを開けてゾンビの様な動きで風呂場を目指す、階段から落ちそうになった時に浮上キーを探したのは秘密だ、人間の体って本当に不便だな。

不便な体で思い出したが、機械の体にする手術は近年確立しつつあるらしい、だがお小遣いで出来るもんでも保険も利く物でもないから俺の人生には無縁かもしれないなあ。空を自由に飛びたいなー。はぁいネットゲームー!

ぶくぶくと風呂場で沈みかける、風呂の中で寝落ちして死んだ人は結構いるらしいのでこれは結構笑えない。

しかし、俺はここで死ぬ訳にはいかない。まだ考えられぬ未知の架空世界が俺を呼んでいるからな。と風呂場から出ながらバスタオルで体を拭くと唐突に妹が脱衣所に突入してくる。これは逆ラッキースケベイベントかと思えば、以前スリムフォンを片手に「もみっちゃんが参考資料用にお兄ちゃんの裸が見たい。って言ってた!」と言いながら録画モードにしていた前科があるので俺はくるりと反転し背中を見せる、そう男は背中で語る者だ「頼むから出て行け。」とな。

「あ、今日はシャンプー置きにきただけだから撮らないよ。」と言いながら戸棚にマイシャンプーを置きに来たらしい。今日はって所が怖い。

夕飯は相変わらず両親にゆっくり食べろと言われながら済ませようとする、これも以前のギルマスにオススメできないと言われた。「一度1分以内で定食を残さず食い終われと迫られた事がある、勿論味噌汁もご飯もアツアツだ。どうやって食べたかと言うと熱い物に容赦なく冷水をかけて流し込んだ。記録は42秒で完食、それ以後の人生は食事はゆっくり食べる事が大事だと学んだ。」とまたどうでもいい体験談を話してくれた事があったがそんな状況に俺はならないだろうと信じたい。とはいえ、ネットゲーマーは食事を済ませるのが速いという統計があるとかないとか。


睡眠、風呂、食事。100年くらい前の人から見ると超絶贅沢なこの行為も現代っこからすると煩わしい作業の一つである。昔の恵まれない人にネットゲー与えたらどうなるんだろうな。と思いを馳せながら俺はまた魔王軍の尖兵に舞い戻る。

「戻りました。」「ただいまー。」「おかえりなさい。」「おかかー。」「おかえりでやんす。」と暖かく迎え入れてくれる仲間達の状況を見ると大体が戦闘中である。勿論他のプレイヤーを襲っているのだろう、コアタイムも始まりですからね。

そんな中で俺は提案をする、単調な殺戮や他人のドラマでは無く、自分の冒険を作ろう!と思いながら。

「湖の方旅行しませんか?」と募集をかける。すると「アタイはここの血の海でいいさ!」やら「水中種族でダンジョン篭りもどうかと思っていたしな…。」「私も効率はここが一番でしょうけど、旅もしたいかなーって。」と意見は割りと分かれる。結果、ア・ヨグとマリッドの姉御二人とダージリンさんが居残りで他は旅行に付き合ってくれるらしい。姉御達が付いてこなかった理由はPvPマニアなのもあるが、自キャラ重量を気にしているからだとも思う。その点は至らないというかどうしようもない、姉御達が加わると移動は徒歩になるからなあ。ちょっと寂しい。


「では、空旅で行って来ます。」「おう、土産話期待してるぞ。」「あちきは高い所が苦手でありんすえ。いってらっしゃいな。」と見送られ、天魔飛行部隊は半日以上ぶりに空へ羽ばたいて行った。

制空権ははっきりいって魔王軍が優位である、北へ向かう道中でゴーストや死神、竜人の上位種が散発的に空路に当たって交戦となるが、空中で相手になる敵はまずいない。しかし、油断や挑発行為はしない様にする為に空路は出来るだけ戦闘を避ける方角で進む。

覇王軍の領域の西にトロルやドワーフ、ハーピーのスタート地点である山脈の真上が安全な空路であると思ったが、ハーピーの里と言われている山脈の北側、大湖の畔の上空で何やら戦闘が行われている。

魔王軍側はハーピーの上位種と背中にはマーマンだろう生き物を乗せて敵の竜人や死神と空中戦を繰り広げている。加勢に加わろうかと思いながらその方向に向かうと、敵の竜人と死神が一瞬で蒸発する様にMPが減り地に墜ちていった。

こいつらヤバイ奴やろなと思ったら案の定ハーピーの上位種はハッチマン。背中に乗ってるマーマンはなんと名前がSevenscharと表示されている。心に七つの傷を持つ男、こいつも3に来ちゃったかあ。

「ハッチさんじゃないですか、がりるんさんとのフライングヌードルモンスターコンビが解消になったら次は舟盛りコンビですか。」

「ギョギョ、お兄ちゃんでギョザルか!」とマーマンが俺を見て叫ぶが「俺に魚類の家族はいない。」と一応返事はしてやる。

「やあ少年、随分マニアックな変異先にしたみたいじゃないか。下法竜、何かメリットがあるかい?」といつも楽器を持っている変人ギルドの中ではまだ話が通じる部類の人はハープをポロロンと鳴らしながら返答に困る質問を投げてくる。

下法竜、魔法が強い、基本人型、ドラゴンにもなれる。別に強くない。

「メリット無いですけど、あえていうならホラ!」と俺は自棄になって人型の姿に変身する。

「おお、お姉ちゃんでギョざる!」「ドラゴンから人型に変異って弱体化じゃないかな少年?」とハッチさんは容赦が無い事を言うがこの人は割りとロマン派である為。

「まぁ、かわいいは正義、いい言葉だよね。」と俺の意図した事と違う反応をしてくるも悪くは受け取らない。

「先輩、その姿だと浮力下がるんで戻って貰えないっすかね。」とロドリコはレオさんを牽引しながらエーテルの力で飛行状態を維持しながら抗議する。

「しかし、もったいないですよね。人型になるとパワーアップする設定とか無いんですよね。」

「うーん、当たり判定が小さくなる?」

「まぁ、竜が人になって強化されるってファンタジー話もあんまりないですしね。」

「竜と人間のハーフがパワーアップはあるよね。」「お兄ちゃんのお子さんに期待だね。」

「その時はせめて性別は男に戻したいがな、でもメスドラゴンってかっこいいからなあ。」

「俺っちももう少しで変異するでやすから、邪竜になったらかっこよくなれるでやすかね。」

「アレキシさんの結果を見てから俺もリスペックかな、下法竜で強いプレイを考えるか、悩ましいんですよ。」

「そうか、少年も大変だな、所で。」「どうしたんですか?」

「湖に行くなら注意した方がいいぞ、水中は水中でまた戦闘ルールが違うみたいだからな。」

「ギョ兄ちゃんは亜竜系だから水に引きこまれたらやばいから気をつけてね!」と具体性のないアドバイスを受ける。


大湖は湖神ザイツァンニャンという商売と交易と平和の神様の加護がある土地だ、一見するとのどかな光景なのだが、水中では激しい戦闘が行われているらしい。水中に城やダンジョンもあるとか。

「海や湖や川の中は専用種族同士でデスマッチが続いているらしい…。」

「平和の神様のお膝元台無しですね。」

「もし戦闘になって水中に逃げられたらどうするんですか?」

「私の水魔法で水中呼吸が出来る様になる、これで不利にはなるが一応水中戦も出来るが…。」

「出来るが、ですね。」「出来れば避けたいでやすね。」「観光なんだよ!ラブアンドピースだよ!」

「お前あれだけダンジョンに侵入してきたプレイヤー倒しておいてよく言うわ。」

・雑談、マイシャンプー

筆者は男所帯の育ちであるので生活用品も全てストイックであった。現在もそうなのであるが、人生において一番重要な生活用品は何かと言われれば即答するのがパソコンマウスとシャンプーだと思う。特にシャンプーはリンスのいらないアレを若い頃に家族と共有して使っていたが、肌に合わない為にフケは出ないもののめっちゃ頭痒かった。家を出て独立した時にシャンプーによって全然頭の痒みや抜け毛が違うんやなと気づいたが、これは10代のうちから気づけば良かったなと思う。

人生やり直せるならどうする?A.シャンプー選びを重視する。

お陰で今は痒みも無くふさふさです。

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