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ギルマスワークス!外伝.戦場の花を捕まえて  作者: 真宮蔵人
人外魔境に咲く花
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B005.日没から夜明けまで

「ゾーンチャットで聞いてみましょうよ。」とジノーは無難な解決策を提示した。

知りたい情報は三つ、回復魔法の在り処とFoEという存在と生産キャラについてである。

愛微笑は相変わらずギルドメンバーを募集しているので、混線を避ける為に言いだしっぺのジノーが尋ねることになった。

ゾーンチャットからはすぐに応答が有った、曰く。

FOEはワールドボスとは違いMAP上を徘徊する準ボスといった強力な敵勢力であるらしい。

確かにエルブンスカウツはソロや1グループだと敗北は確定だったからな、ワールドボスはもっと強いのか。

回復魔法については、血神と光神の神像が存在するらしい。ただし、光神は一回覇王軍でキャラを作った人がマップ中央の覇王軍首都のやや南で見つけた、という情報である為に入手は厳しい。

血神はスワンプマンの沼の南西で見つけたという事なので、過去作の性能や位置を考えると血神信仰が良いだろう。

生産についてはゴーレムとマミーが専用スキル持ちらしいが、その2種族のみが生産キャラとは考えられないとゾーンチャットが議論で包まれる。


情報の対価としてジノーは天空神と策神の神像位置を提供し、一同はまたスワンプマンの沼を目指す。

今回の空旅は天空神組が信仰Lv2を取得した為に快適な空の旅となった。

天空神Lv2スキルはエーテルクラフト、EPを使用して空を飛ぶという序盤にしては強すぎませんかという能力である。

マミーのロドリコがフワーっと羽も無しに空を浮き上がるのはシュールな光景であった。


大森林グリーンジャイアントより北の大河を越え、狼の森を抜ける、北東には雷鳴の轟きと陰鬱なスワンプマンの沼地が広がり、北西には西洋風な城が建っている。

これもまた陰鬱なその城の周囲には巨大な蝙蝠が飛び交い、地面には案山子スケアクロウか串刺しの死体かが森の木々の様に生え揃っている。

「ザ・吸血鬼の城っすね。」「ここまでベタだとぐうの音もでねえわな。」

「血神神像はあったけど。」

液体を周囲に浮かばせる女神の神像はあったけど、

その周囲にはいかにも吸血鬼ですといった黒服の人型が多数殴り合いをしている。

「ファイトクラブかなんかでやすかね。」

「ヴァンパイアとスワンプマンの文字通り血みどろの戦いだろうな…。」

「想像するだけで馬鹿馬鹿しい争いですな。」

「ファイアーブレスで一掃出来ない?」

「変身したスワンプマンにも当たり判定が出るからフレンドリーファイアは避けたいな。」

「では打ち合わせ通りやるしかないっすね。」


打ち合わせといっても、上空からまずは俺とアレキシが急降下した直後に竜の咆哮を使用し敵を恐怖状態にしてから他のメンバーが神像に祈りして信仰を獲得するだけである。

お祈りの時間は約2秒、時間稼げるかな。

空から落ちるように地面を目指し、俺とアレキシはドカンと派手な着陸と同時に『グウオオオオ!』と竜の咆哮を上げる。

突然のドラゴン乱入によりファイトクラブは一時解散になるかと思えば、敵やスワンプマン達は驚きはしているものの、状態変化の恐慌状態に陥らない。

「先輩、こいつら不死者っすよ!耐性あるみたいっす!」「仕方ない!急いでお祈りを!」

「畜生め!ほーらドラゴンでやすよーもっと驚けでやんす!」とアレキシが大声で吸血鬼達を威嚇するが、どちらかというと畜生はお前である。


血神の信仰を最優先で取るべき人物は3人、タンク職から漏れた愛微笑とナイトウィンドとバッシー。

レオは策神のままか血神を取るかで悩んでいるようだ。

彼等を守る様に他のメンバーが吸血鬼達の攻撃からの盾となる、吸血鬼達はファイトクラブで戦い慣れしていたのかすぐに俺達を囲むように距離を詰め、その牙と特殊な魔法により我々の妨害を図ろうとする。

だが、周囲のスワンプマン達も加勢のつもりか、俺やアレキシの姿に変装を開始し亜竜だらけにし始める。騙まし討ちにするよりも味方の強そうな固体をマネて戦うという作戦は十分ありだしな。


「ち、人型が減ったぞ!」と吸血鬼の一人が呟いたのを聞いた。

なるほど、吸血鬼は誘惑か人食いのスキルらしきものを所持しているのか。

しかし、今回は相性が良くても数の都合上で大きく攻撃に出る事は出来ない。

「信仰取れましたか!?」と俺は飛びかかってくる吸血鬼を爪ではじきながら背中越しに尋ねると。

「ありがとう少年、もういいぞ…撤退だ。」とナイトさんから報告が来る。

「吸血鬼頑丈でやんすね!」「もういい、そのまま南東へ逃げるよ!」

と一同は吸血鬼の群れから離れ南東を目指す、追撃してくる吸血鬼をジノーとバッシーの魔法が足止めをする。

「血神信仰Lv1増血細胞です!」と愛微笑が回復スキルを発動させてくれる。

増血って幽体とかゴーレムは回復するのだろうかと俺は思いながら殿しんがりを務める。


陰鬱な空の下から日差し暖かい草原地帯に出ると吸血鬼達がピタリと草原の手前で動きを止めた。

何?おんも嫌いなの?と思っていたら。

「ヴァンパイアのスキルに暗いところで能力が上がるってのがあるよお兄ちゃん。」と吸血鬼に化けていたエリーンが説明をしてくれる。

「あいつら異様に硬いと思ったらそういうことか。」

「こちらもあっちも脱落ゼロだったからな…暗闇で強い種族がいるのも覚えておこう…。」

「んじゃー早く逃げるっすよ。もう少しでゲーム内の夜が来るっすよ。所で先輩。」

「何かねロドリコ君。」「このお姉さん誰っすかね。」と横を見ると知らないお姉さんが居た。

「あちきは血神信仰欲しくてタイミング見計らって待ってたら、貴方達が来たからそのままノリで付いて着ちゃったけどこんにちは。」

と肌がやや緑色で下半身が茨だらけの根が蠢き髪の毛がハイビスカスみたいな色のお姉さんが挨拶をしてきた。

「こんにちは、アラクネ?のお姉さん、これも何かの縁ですからウチのギルドに入りませんか?」と愛微笑は一に勧誘、二に勧誘という姿勢を崩さない。

「いいわよぉ、あちきはア・ヨグと申しりゃんせ、ヨグと呼んで欲しいわあ。しかし、なるほどね。妙な集団だと思ったらギルドだったのねぇ。」

「Lvはおいくつですか?」「リアルLvは秘密でありんすが、このキャラはLv8どすえ。」

「Lvたけえ!、こっちは最大でもLv7なので頼りにしますね。」

「うーん?メスドラゴンなのに声がちょっとボーイッシュ、ミステリアスな子ね。」

と、この人も人外マニアか、なんでドラゴンの性別なんて一発で分かるんだよ。

「そこには触れないで下さい。」「そう、色々あるわよねえ。」「笑い話っすけどね。」


新たな同行者が増えて大所帯になってきたが、次の目標は大事である。

「あ、すんませんが俺っちも天空神を信仰したいんでそっちに移動して貰えますかね。」とアレキシの発言に合わせて「私も天空がいいなあ、なんちゃって。」と愛微笑もおずおずと手を挙げて提案してきた。

その願いに従い狼の森を徒歩で進むこと数分。

「UFOでやんすな。」「UFOねぇ。」「どう見てもUFOですね。」

狼の森の中に鎮座する大理石の神像を前にすると感想は皆同じである。

「所で愛ちゃんはなんで血神様からこっちにしようと思うのー?」

とエリーンは俺達の疑問をド直球に聞いてくれてこれはありがたい。

「えと、バッシーさんとナイトさんはヒーラーでいけるじゃないですか?」「ふむふむ」

「そうなると後一人必要だとしてもヨグさんが加入してくれたじゃないですか。」

「10人グループでヒーラー3か、無難っちゃ無難だな。」

「タンクはマリッド姉さんとレオの旦那方っすかね。」

そこでモジモジとしながら愛微笑は呟く。

「私も空飛びたいなあ…って駄目ですか?」「うーん。」

「オイラはなんでもいいよ?ゴブリンは器用貧乏みたいだからな。」

「種族スキルを聞く限りデビルは回復向きだが。」

「好きなの取ればいいんだよ!困ったらお兄ちゃんがなんとかしてくれる。」

「ドラゴンヒーラーは無いと思うんだよなあ。」「少年も大変だな…。」

「という訳で転向しちゃいます。お祈りー。」と言いながら愛微笑はUFOに向かって祈りを捧げた。


「おお、地面に足が付かないで飛べる様になりましたよ!」と愛微笑は嬉しそうに悪魔の羽を羽ばたかせる。

「狙撃には注意しろよ、墜落死はあるみたいだからな。」

「しかし、やっと各々のロールが見えてきたな…。」「そうですね、新しいロールも増えましたが。」

「亜竜は強いが戦闘職というよりも乗り物としての価値が高いな。俺は大翼と信仰にスキルを振った。」

「ちょっと肩透かしでやんすが、その使い方が正解みたいでやすね。俺っちもそれに振りやしたよ。」

「そうなると、次はDPSの底上げだな…。」

「クエストとか無いんでしょうかねえ。」

「そんな事より大事な事があるぞ。」

「なんすか先輩、効率や冒険より大事な物なんて…。」

と駄目人間筆頭のロドリコは反論をするが、俺はそんな筋金入り共を諭すように言う。

「時計を見ろよ、既に0時を越えたが明日もあるんだ、今日はもう休もうぜ。」と教えてやると。

「明日?サボってゲームするに決まってるじゃないっすか。」と平然と言うロドリコに俺は鉤爪パンチを食らわせた。

・設定

天空神 アダムズロフ 飛行魔法及び飛行妨害の魔法を取得します。

Lv1 揚力。飛行ユニットの上昇時にボーナス。ユニットのジャンプや落下時に滞空時間を得る。

Lv2 エーテルクラフト EPを使用して浮遊します。

Lv3 悪天抵抗 悪天候に抵抗。


血神 パッシルージュ 味方を少しずつ癒す魔法等を覚えます。

Lv1 増血細胞 周囲20m以内の味方で一番体力の低い対象を徐々に回復します。

Lv2 血煙 煙幕を張ります。

Lv3 血清止血 毒や出血状態を回復します。


策神 ペリバルトケー 敵へ挑発や看破、グループの補助魔法を主体とします。

Lv1 囮作戦 敵のターゲットをひきつけます、射程25m

Lv2 円陣 グループの防御力を上げ、移動力を下げます。

Lv3 看破 敵の一部スキルを無効化します。


ア・ヨグ 一人称はあちき、口調がおかしいが実力は高い。

アラクネLv1

森林魔法Lv1 森林魔法を覚えます。

毒生物Lv1 毒攻撃スキル取得及び毒薬を精製します

薬草Lv1 味方を癒す薬草を精製します。

人食いLv1 人型の敵にボーナス及び吸収攻撃が追加されます。

誘惑Lv1 人間種からの攻撃に防御ボーナスを得る等の効果があります。

信仰魔法Lv2血神

変異先

マンイーター→フロウラ(攻撃特化)

エンジェルトランペッタ→九薬呪師(薬草特化)



ヴァンパイア

暗黒魔法 闇属性の魔法を覚えます。

幻惑魔法 敵に幻惑の魔法を使います。周囲と同化しステルス能力を得ます。

ダークストーカー ダンジョン内や夜、悪天候時にステータス向上。

人食い 人型の敵にボーナス及び吸収攻撃が追加されます。

不死者 状態変化に耐性を得ます。

変異先

ディープブラッド→ナイトマスター(スキル特化)

ダムピールー→クルースニク(不死者を頑健へ、人食いを武装へ変更)


・大森林グリーンジャイアント

ワールドの南東に位置する大森林、森林種族の出身地は大体ここ。

上空やワールドマップから見るとその広大な森林が殺人現場のチョークの様な人の形になっているのが分かる、シルフの村やエルフの村の本棚には生命の巨人が倒れた時に出来た森林だと書かれた本があったか。

巨人の首にある位置に策神の神像があり、巨人の頭にあたる森はエルフの里らしい。

左腕の南にオークの里。巨人のへそ辺りにシルフの村がある、名前もそのまま巨人のヘソ。

右足に当たる場所にアラクネの森があるとア・ヨグさんは語る。

シルフとエルフがなぜか敵対関係になっている理由は単純に森の奪い合いとのこと。

アラクネの森は『毒池肉林』という魔境な為にエルフもシルフも近寄らないらしい。


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