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ギルマスワークス!外伝.戦場の花を捕まえて  作者: 真宮蔵人
花束を掲げて
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A017.トラビアーン

村の区画についてはジノーとエリーンのプランをそのまま使って、周囲をギルメンが好き勝手増築する事に決定したらしい。まぁどうせ後で揉めるだろうなと俺は思いつつ二体目のデストロイヤーエーテロイドの作成にかかる。


ロドリコにキャラクターをチェンジしたコラーダは工房でキメラの作成をしている、キメラの作成には召喚スキルと料理スキルが必要になるのでロドリコのスキル構成にピッタリマッチする。


デストロイヤーエーテロイド作成は金属加工とエンチャントスキルが必要だ。こいつの見た目はただの大きな鉄球なのだが、敵を見つけるとゴロゴロと転がりながら移動し、敵が射程内に入ると半人型へ変形して元素魔法を手からぶっぱなす、お前何処かの映画かゲームでいたよな。というゴーレムだ。

性能は鈍重で近接攻撃が多いゴーレム系の中では一番優秀だと言われている、問題は作成に使う鉄と宝石の量が多いという所だが、ストーンゴーレムやウッドゴーレムは思考ルーチンの都合上で山賊相手に完封される為に無人防衛システムとしてはエーテロイドの方が優れる。


ロドリコは石造りの工房内で大釜を使い、謎の赤いデロっとした物を混ぜている。エリーンがそれを見に来た時には「グロイから見ない方がいいっすよ。」と止めに入ったが、エリーンは「ハヤシライスが食べれなくなった。」と一言残して家の建築へ戻っていった。


ロドリコは大釜の中身を骨の入った獣型の石棺へ流し込み、召喚魔法を使用する。すると見た目は鋭い角の生えた四本足の獣型だが、外見が肉のプディングみたいな獣が完成。

その光景を見に来た俺は「多頭タイプじゃなくて純粋なデミアニマルか。」と尋ねたが「純キメラはコスパ悪いから今度っすね。完成品の見た目がグロイんで先輩、後で裁縫スキルで外見を加工しといて下さい。」と言いながら次のキメラの作成に掛かる。


入村希望者のギルメン達は各々で資源を確保しに行ったらしいので、小高い丘の上ではエリーンとジノーのみが家の建築を進めている。


俺はキメラの加工、キメラの外見は鹿みたいな毛皮にするとツギハギになって怖いからふさふさトナカイタイプにするべきかなと思いながらキメラ1号とエーテロイド2体と子犬に囲まれ俺は作業をしている。


その途中で、丘の周囲で丁度平地に戻る位置の辺りで外壁だと思われる建造物が建ち始めた、物は丸太のトゲが外へ向けて多数飛び出している戦乱の時代によくあるアレである、更にそのトゲの下には空堀まで構築し始めた。


ああいう効率的な悪乗りをする奴は今回の入村者では二人くらいしかいない、黙々と凶悪な外見と防御力を持つ外壁を作り続ける奴等は案の定、がりるんとSIVAさんだった。がりるんはいつもの獣人小の姿で半裸にバシネット兜の格好だが、SIVAさんは珍しく青髪美人の女エルフのキャラで来たようだ。


「はい、そこ。その凶悪建築物の許可は副村長に得ましたか?」と俺は問いかけると、二人は顔を見合わせた後に「でも強いぞ、スパイク防壁に地雷付き空掘り。」空堀の底に地雷まで埋めるつもりだったのか。

「後は有刺鉄線も欲しいな。」「将来的にはこれが村落の最強スタイルなのでは?」とこいつらは効率こそがベストという姿勢を崩す気が無いというか、この村の要望点にすら気づいてない。


俺は「副村長、こちらへ。」とチャットでエリーンを呼び出す。

「駄目です、可愛くない。」と案の定に副村長は効率厨二人へ対し駄目出しをした。

そう言われた二人は酷くうろたえて相談し始めた。「おい、可愛い防壁ってなんだよ。」「分からん気はしないでもないが、防御力が落ちるぞ。」

相談し合った二人は「折半、折半。」と言いながら可愛くて強固な防壁についての交渉を副村長と相談し始めた。

「まずは壁はこの上がアーチになってるこの木目の壁がいいなあ。」「おい、それご家庭用の垣根の類じゃないか。」「せめて空堀と地雷だけは採用して下さい。」「見た目が良いなら内側に石壁を更に巡らせるタイプにしないとあっさり落城しますぜ。」とこいつらはここを村ではなく城だと思っているらしい。


「外装は木目でお洒落な垣根、内側に石壁、空堀、地雷採用。」と俺はまとめた内容を口にすると「うひゃあ、縛りプレイの村作りとかマニアック過ぎる。」と言いながら、がりるんとSIVAさんは資材集めに走っていった。


そこへ更に資源集めから戻ってきたギルメンが「工業地区を作りたい。今工房がある位置に建てても良いか?」とか「さっきSIVA達が作ってた壁の東に農園を作っておくぞ。」等、ハウジング遊びの要素から大きく逸脱し始めている。まぁ、家は確かに一瞬で作れますから、産業重視したい気持ちは分からないでもないです。


「お兄ちゃーん、家が出来たよー。」と丘の上から副村長が呼んでいらっしゃるので、ロドリコと俺はそちらへ向かう。

丘の上には外見だけはまともな二階建ての木造家屋が二軒完成していた。

「内装はまだだけど、お兄さん達も家造りしないんですか?」とジノーは基本的な質問をしてくるが、それに俺はロドリコへ顎で「見せてやれ」と言う様に合図を送る。


ロドリコは少し頷き、家が一軒建ちそうな空き地の前に立つと、まずは土台をサクサクっと作成し、その後に基本設計図とは色の違う設計図を手から広げる様に一振りすると。見事な木造建築物が一瞬で完成した。

「「はエー・・・」」とマヌケ顔でその一瞬の建築技を見た初心者二人は放心する。

「中身も結構作りこんでるっすよ、現実よりも良い部屋っす。」と言いながらその一夜城ならぬ一瞬家の細かく彫刻がされたドアの中に3人を案内する。


内装は実に少女趣味とファンタジーの融合した様な物だった。若草色の絨毯、暖かい光を放つ暖炉、窓際に置いてある木彫りの装飾品、柱時計が時を刻む音、安楽椅子とその上に座るクマのぬいぐるみ、そのすぐ横にあるテーブルの上にはチェス盤が無造作にコマを乗せる。

様々な瓶詰めが並んだ黒檀のキッチン。

二階にはマホガニー材で統一されたデスク付きの書斎と大きめなベッドとハウスコアがある寝室、そこに並ぶ様々なぬいぐるみ。

廊下の奥には天井裏へ通じるはしごがあり、それを登ると埃と日差しが優しく調和する物置となっていて、差し込む太陽光が無造作に置かれた宝石や魔石をキラキラと輝かせている。


流石にこの作り込みには俺も驚いた、ハウジングはアドオンソフトを使えば実際に建築しなくても、オフラインのデータ上で作成した物を登録設計図から一瞬で用意する事は出来るので、俺も必要コストの材料を持っていれば一瞬で家を建てれる。しかし、細かいハウジングには膨大な時間がかかる。


「ロドちゃんすごい!」「流石にこれは…。」とエリーンとジノーは驚嘆しているが、正直俺も驚いている。所で、

「これ作るのに何時間かかった?」と俺はこの作り込みの本質について言及すると。

「130時間くらいっすね。」と平然とした顔で答えた、130時間もあれば要塞都市一個作れるよ。


それに続けて俺も一瞬で隣に家を建てたが、中へ案内すると女子勢の落胆の溜め息が聞こえてきた。

「お兄さん、この部屋の中心にある石の部屋はなんですか?」

「そりゃ勿論コアルームだ、そこを固めるのは基本だろ。」

「お兄ちゃん、キッチンや寝室がないよー?」

「キッチンは一階に3つ並んだ焚き火があるだろ?寝室はコアルーム内にある寝袋があるからいい。」

「ドアとナンバーロックが多すぎて雰囲気台無しじゃありませんか?」

「これが一番防御力の高い家なんだぜ。」と俺は弁明するも、女子三人はヒソヒソと話し合い。

「お兄さんに家作りさせちゃ駄目みたいですね。」「将来お兄ちゃんのお嫁さんが大変だよ。」「センスまるっきりないっすね。」と批判されるも、俺だって以前ソロでハウジングして何度も家を壊されて出した答えがこれだったんだ、畜生山賊め。


4件の家が丘の上に建つと周囲には大きく包むような外壁予定地と、西には工業地区と南には要塞、東には田園が作られ始めている。中には家を建て始めている人もいるが、何度も建てては崩したりとエリーンやジノーと同じ初心者らしい苦境に立っているらしい。


エリーンは家の内装よりも副村長として村の可愛い可愛くない判定の巡回をして貰い、ジノーには鉄の作り方等を教えながら俺は火薬の作成に取り掛かる。

表のワールドでは火薬は人竜協定内の禁止条約により使用は出来ないが、フェーダワールドでは使用が無制限である。特に人間相手には容赦のない地雷や爆弾、てつはう等への火薬利用が行われている。ただし、銃や砲弾は存在しない。理由は魔法とエンチャントされた矢と威力が変わらない為らしい。


地雷は罠スキルと金属加工か木工が必要になる、これはマニアックなスキル構成な為に、SIVAさんのサブキャラエルフが担当して量産する事になった。

がりるんは物凄い速さで外壁の板と外堀を作っているが、あのペースだと石壁の建築に間に合わないかもしれないな、と思いながらフィルモアより借り受けた硝石と、工房で生産された硫黄と木炭を混ぜながら考える。皆が眠る時間より前に最低限の防衛網は完成させなければならない。


エーテロイド2体、キメラ6体が完成、これでペアプレイヤーくらいの襲撃なら十分対処できる。そこへ巡回から戻ったエリーンと助手のジノーを呼び出して。「子犬とお別れの時だよ。」と二人へ告げる。


「「え!?」」と困惑する二人を尻目に、俺は子犬へ貯蔵していた肉を大量に食わせる。子犬はもりもりと肉を食べて体が肥大化する。その結果、立派なブチハイエナと狼の様な元子犬が誕生した。

「「か、かわいくなくなった…」」と二人から落胆されるが仕方ない、戦力だもん。

「犬はスカウトとして優秀だし、負けそうになったら逃げるルーチンを持つから便利なんだぞ。」と俺は可愛くなくなった子犬達の弁明をする。

「エーテロイド2体で遠距離攻撃、キメラ6体の突撃隊、番犬2匹の斥候部隊。これが村を自動で守る最低限の警備力だ。」と俺は可愛くなくなった犬達になでるモーションをすると、犬達は尻尾を振って答えた。


その時、俺達の家の四件の間にある魔術警鐘が鳴り響いた。

「ロド、襲撃か?」と俺は尋ねると「うっす、南東から山賊らしいっすね。」と西から走りより俺達と合流し、一同は敵が来たらしい南東へ向かった。


「ひゃっはーー!水だー!」「ひやあー!首を置いてけー!」「ひゃは!?あんなにでかい規模の村だったっけ!?」と三人の山賊が叫びながらこちらへ突撃を開始してくるも、こちらには実戦投入されるばかりのゴーレムとキメラと番犬と戦いなれたギルメンが多数である。

それらの集団が一挙に丘の下から近づく山賊達へ突撃を開始する。


その戦力差を前に「あ、ちょっと、なし、やっぱ帰るわ!」と山賊は叫びながら引き返すも、エリーンとジノーには実戦経験を積んで欲しいので全速力で突撃を加える。

「ヒャッハー!蹂躙されるー!」と山賊は最後までプレイスタイルを貫きながらもあっさりボコボコにされ倒れた。

ギルメン達が手早く山賊の死体から資源をはぎとっている、フェーダワールドでは装備のドロップは低確率で落ちるが、資材は丸々落とすので戦闘不能になった山賊からは資源が得られる場合が多い。


「こいつ石材なんて待ってますよ。」とSIVAさんがウキウキしながら言うと。

がりるんは「トラビアーン。」と言いながらその石材を受け取り防壁の作成に戻っていった。


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