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ギルマスワークス!外伝.戦場の花を捕まえて  作者: 真宮蔵人
花束を掲げて
33/95

A016.私が村長だそうです。

「家がない!!」と学業から開放され帰宅し、自室ベッドの上でHMDをかぶろうとした俺に妹は唐突に部屋へ押しかけて来て言い放った。だったらお前が今いる場所はどこなんだよ。


「ここ、俺達の家。ここ、俺の部屋?動揺あんだスタン?」いかんな、ロドリコジョークがうつったか。

その発言に対しオチは分かっていても妹は「ちーがーうー!」といいながら首を振り。

「ニッチナ村の家が無くなってるの!」と説明をしてくれるが。

「それを聞きたかった、貴方に出来ますかね、村の維持。」と言いながら妹を手で払うモーションをしマギラ2の世界へログインをする。

去り際の妹から「お兄ちゃんのハガー!暴力市長!」と罵られるが、市長俺だったんだ。いや、村長じゃねえの?


顔認識、簡易虹彩認証パス。ログイン地点、フェーダワールド、ギルド永久凍土支配下都市フィルモア。

ログイン後にギルドチャットで所属している2ギルドに挨拶を済ませて、エリーンとジノーとコラーダの位置を確認する。

3人共既に村(仮)に到着していたので、俺はすぐサブキャラに姿を変えて、転送施設よりニッチナ村(仮)の監視塔へ転送する。


展望台より周囲確認、銃眼より戦術スキル曳航弾を投下し、壁に張り付いてる敵がいない事を確認してから監視塔のドア抜ける。これくらい用心深く出入りをしないとこの重要施設は守れない。


辺りを見回すと、コラーダが石造りの貯蔵庫の前でしゃがみこんでいる、近寄ってみると。

「んー、塔は無傷っすけどロックハックの履歴が5件。こっちの倉庫はピッキング形跡が無いっすけど、爆破を試みた形跡はありで今それの修理中っす。」と何も言わないで報告をしてくれる。こいつの良い所ってこういうとこだよな。とは思う。


「プロの仕業だな。しかし、塔のドアが割られなかったのは運が良い。ナンバーの変更だけは毎日しておこう。」と俺は小高い場所の、ジノーとエリーンの家の跡地にある木の燃えカスを眺めながら呟いた。


「酷い…。」「あんまりです…。」と夢の残骸の前に悲しみ暮れる少女二人と言うのは絵になるな、こういう状況が好きな人は多いんだろう。だから家が燃えてしまったのだろうか。

「まぁ、いいじゃないか。また木材集めてくるし、そもそも立地が悪かったから。再開発すべきだよ、うん。」と明るく励ますつもりで声を掛ける。


「なんでこんな酷い事をするんですか?人は性善説ではないのでしょうか。」と意外とジノーが一番傷ついている様だが、そこへちゃんと現実を突きつける、愛の精神教育だよ。

「公園の砂場で素晴らしい砂の城を作った、次の日にそれは残っているだろうか?もしそれが壊れていたらそれは人の手か雨のしずくだろうか。そこを責めるより、次は壊れない物を作るか守るしかないだろう、そこが重要なんだ。」


このゲームは自由度の高さはギルマス曰く『上の下』との評価だが、自由より外にある都合の良いシステムは多い。家の防衛方法とシステム、二人にはそれをこれから学んで貰おう。


「お兄ちゃん、どうすればいいの?」とエリーンは涙目で訴えてくるが、たとえ獣人の容姿になろうとも、その泣き顔は妹のそれであった。うーむ、正解を口にしても理解されるか難しい所なんだよな。

仕方ない。


「まず、村の区画を定めて防壁を作る、防壁は木材でも良いが最終的には石材が好ましい。」

「ああ、家から作るのが間違いだったんですね。」とジノーは打てば響くが。

「デザインや間取り、土地の使い勝手を学ぶにはこの残骸になった家は必要経費だ、問題ない。」

「マイホーム一号は犠牲になったのかー。」と、妹は馬鹿だがここまでは理解出来ると思う。


「防壁と門、次に必要なのは警備力だ。」

「フィルモアの様に衛兵さんだらけにするんですか?」「あれはちょっと可愛く無いよね。」

と女子二人にはあの都市防衛計画は不人気の様だ、これはギルマスに伝えておこう。


「いや、衛兵は維持がちょっと面倒なんだ、代わりに番犬かキメラとゴーレムを配置しようと思う。」

「お兄ちゃん、それって可愛い?」と妹が尋ねてくるが、可愛い村はモチベーション維持に必要なのだろうか。

「キメラとゴーレムのレシピ次第ではまともなデザインはあるよ、うん。」可愛いのは知らないけどな。

「それじゃー、番犬のわんわんをいっぱい置けば良い村になるんじゃないかな!」と妹が悪くない手を言い出すが、デメリットはある。


「番犬は維持費に『肉』がかかる、これは今まで狩りをして手に入れた分で数匹分は大丈夫だけど、犬が多すぎると肉確保に苦労するから、出来るだけゴーレムや草食のキメラと分散して配置したい。」

「はーい、先生。番犬ちゃんとキメラちゃんとゴーレムさんはどうやって連れてくるんですかー?」とエリーンが手を挙げて質問してくる。

「番犬は野生のを捕まえて調教するか、既に番犬を置いてある村や都市から子犬を貰って育てるか、番犬をそのまま分けて貰う。今回はウチのギルドから子犬を貰おうと思う。」


「キメラとゴーレムは生産スキルが無いと用意出来ない。案外、表世界よりフェーダの方が生産系スキルは生かされるんだよ。」と言い終わると俺は肉球の両手をパンと叩き。

「村の間取りと都市計画を二人で考えてくれ、俺達にはやる事があるんだ。」と言いながら俺はコラーダの方へ駆け戻っていった。丘の上には『落書きアドオン』に図を描いて唸りあう二人が残された。


「物資の状況は?」と俺は尋ねると「かまどが4つ全部破損、それはいいけれど。昨日のログアウト時点で確保出来たのは鉄440個、木炭4000個、宝石もいくつか出てるからゴーレムは数体作れるけど、ガチ山賊が攻めて来たらあっさり沈む戦力っすね。」と新しい石造りの施設を作りながらコラーダは答える。

「後、かまどを守る為の工房を今作ってるっすけど、石材が足んねっす。」と、速攻で滅ぼされない村づくりの基本にぶち当たった。


「今日中に石材の確保と守備隊の用意か。もしくは倉庫に溜め込み篭るか、だな。」

「夜勤明けハイテンションの火付け山賊には既に位置がバレてますから、次は岩の倉庫も突破されるかもです。鉄製倉庫にします?」と尋ねてくるが、それだと日産の鉄440個の量だと今日中に鉄の倉庫作成には鉄が足りない。


「岩の倉庫を二重壁にして、デストロイヤーエーテロイド2体、キメラ6体、番犬2-3匹を今日中に用意し警鐘も備えよう。後は周辺のゴリラが助けに来てくれるのを願うくらいだな。」

「そっすね、ゴリラ防衛網の突破を4人以上でするのはまず無理っすから、1-3人の火付けマニア山賊を追い払うか膠着こうちゃく状態に持ち込む戦力があればいっすねえ。」とコラーダは言いながら工房を完成させ、ナンバーロック式のカギを岩戸に備え付けた。冷静に考えると岩のドアにナンバーロックってシュール。


コラーダにはキメラ作成の為にキャラクターチェンジをして貰い、その間に俺は石材と鉄鉱石を確保する為に西にある旧ダークエルフの山里を目指す。今の俺は戦闘能力皆無の生産キャラなので今ここで山賊に襲われれば悪くない確率でお陀仏だし、村の丘で唸っている二人も奇襲攻撃を受ければ倒されてしまうだろう。


恐らく、今この時点が一番の山場なのだ。

「素直にギルメンに護衛頼めば良かったかなー。」と呟くも、今更ハウジングや村づくりを助けてくれる人はいるのかな、と思い駄目元でギルドチャットに「村作ってます。」と流したら、意外と興味を持つ人が多かった。

大体の人が「ソロで家建てようとしたけど、山賊にすぐ焼かれたり倒される。」といったエリーンやジノーの様な悲しみを受けてトラウマになった人が多いそうだ。


その反響に対して「でも、位置はゴリシマ領ですから、長く続かないかもしれませんよ。」と念を押しておいたが。「一度の夢でもいいから、せめて完成させてから灰になってほしい。」と入村希望者?が出始めた。


おいおいおいおい、と俺は思いながら石材収集を切り上げ急ぎ村の位置へ戻る。

案の定、村に戻ると既に人だかりが出来ていた、その人だかりの中からトロル女のチビパンさんが俺の方に「よぉっ!」と何かを腕に抱えながら声を掛けて来た。

「チビパンさんまで来るとは思いませんでしたよ。」と俺は驚きチビパンさんの腕の中にある物を見つめた。

「村を作るんだってな、祝いの為に副都マラーナから番犬の子犬を二匹持ってきたよ。」と、こちらが次にしようとしていた事を先回りして用意してくれた。

「ありがとうございます。おーい、エリーン、ジノー。子犬が来たぞー。」と叫び伝えると。

人だかりに困惑するエリーンとジノーがこちらへ駆け寄ってきた。

「お兄さん、人多くないですか。」「あ、子犬だ!かわいい!」と困惑と喜びの声を上げる。


「お兄さん、村の都市計画を作ったのですが。元々4人用の村だったので、もう使えない計画ですか?」と落書き帳に描かれた区画と防壁の見取り図を見せてくる。

それを周囲のギルメン達も顔を覗かせてから囁きあう。


「農場がねえな。」「工房と倉庫の位置まで柵を広げたほうがいいんじゃないか?」「山賊がくるとしたら?」「恐らく南、永久凍土領を通って来るだろうな、ウチのギルドの方が防衛網が甘い。」「この4軒を町の中心にして南側を要塞化、北西方角に監視塔を増やして東はゴリラ任せでいいんじゃね?」「衛兵は使えんからキメラとゴーレムの増産だな。」「生産キャラで来た奴いるのか?」「門は取りあえず、不便になるだろうが東のみに設置するべきだろ。」


とガチで都市計画に参加する気である。

そこへチビパンさんが「で、誰がこの状況を仕切る村長なんだ?」とニヤけた顔で尋ねてくるが、立ち上げの時から居た女3人は同時に無言で俺を指差した。


「私が村長だそうです。」と俺はデストロイヤーエーテロイドの一体目を作りながら答えた。

設定

・フィルモアの衛兵防衛システム

フェーダワールドの衛兵は金貨で雇えるが法外な額である。

フェーダワールドには週に一度、勢力変更が可能になる他に、表世界からの物資の持ち込み(ミラーリング)が可能である。

ギルド永久凍土はギルド銀行口座への無利息預金がメンバーに求められており、メンバーの預金で集中した金貨を週に一度フェーダワールドへコピーし、そのコピー金貨にて大量の衛兵を雇っている。

他の大手ギルドでこのシステムを採用している場所は少ない。理由はゲームまで出納管理をしたいという人間が出ない為と、NPC銀行では利息が付く為である。

一度コピーされた金貨はコピー済み属性が付くために一週間はコピー不能になる。マネーロンダリングは対策済みらしい。

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