A014.お腹減ったら本気出す。
レイドグループは最後のボスへ向かい走り抜ける、このゲームのレイドクエストダンジョンは大体4ボスで終わりなので、次がラスボスだろうとは皆も同じ見解だ。
しかし、気になる事が一つある。廃人ギルド、ノーザンライツからの参加メンバー3人が初見であるとは言っていない所だ。こいつらはテストサーバにも情報源があると言われている奴等なのでアップデート適用直後にクリアしていてもおかしくは無いはずだ。
単純に遊び目的か何かの意図があるのだろうか。もし、あのギルド内で攻略チームからあぶれたとしても、ハッチマンやSevenchar程の重鎮がはずされる訳が無いが、そこへ言及するメンバーはレイド内にはいない。
がりるんさんは兎も角、他の二人は口が硬そうか話が通じなさそうだからな、取りあえずは目の前の敵をタンクとして引き付けよう。
道中の敵は更に種類が変わる、1つのダンジョンでこれだけ雑魚モンスターが変化するのは珍しい。
次に現れたのは『地底人(仮)』『マンイーター(没)』『マーメイド(没)』『シルフ(仮)』と名前表示のされたモンスター達であり、これらはこのゲーム中には今まで出てきていない敵だ。
「なんだろ、今更普通っぽいけど(仮)とかってなんだろう。」と俺と同じ様な感想を持つ味方が囁きあった。
そこへギルマスとキールさんが説明をくれる。「こいつら没案のキャラだよ、このゲームのアルファテスト辺りの頃にコンセプトデザインで見た奴等だ。」「マギラ3にはモンスタープレイというシステムがあるらしいが、それで使用出来る種族の一部でもあるな。」とわざわざ教えてくれる。
果て神は本当にフリーダムだな、過去に神様選挙で再選した事が無いからそれに対するてこ入れのダンジョンなんじゃないかと思えてくる。
地底人は二足歩行をするモグラの様な外見で、地面からいきなり飛び出て鋭い爪で攻撃をしかけるトラップ型の敵。
マンイーターは上半身が女性で下半身が薔薇の茨の様な根がうねうねと蠢いている、その茨から繰り出される範囲攻撃がえぐいダメージを出してくる、固定ダメージか防御力貫通が恐らく付与されているのだろう。
マーメイドは見たまま人魚そのもので、AoEスタン攻撃を頻繁に使用してくる。
シルフは羽の生えた小柄なエルフだが、敵に対して補助魔法を使用している様だ。シルフに集中攻撃を加えようとするとその素早い動きで近接攻撃からはうまく逃げ回る。
どれを優先に倒せば良いと言われれば、恐らくマーメイドかマンイーターだろう。問題は、敵全ての雑魚が挑発でターゲットを引き受けてもあまり意味が無いタイプだという所だ。
マーメイドとマンイーターを処理しても地底人とシルフが残る、地底人は地面から出た所を叩けば良いが、シルフの方はわざわざ地形トラップであるスノーノイズの雪崩の方に逃げるので、巻き込まれるのを恐れた近接職は悔しそうに足踏みをする。
「モンスターはダンジョンの地形ダメージ食らわないとはいえ、あれはちょっと汚いですね。」とにょっきり大臣が素直な感想を口にするが同感だ、難しい難易度と汚い難易度はまったく別物だからな。
シルフのストレス攻撃を乗り越え、一同は最後のボスへ通じるであろうワープポータルを発見し皆がそれに入る。
眩い光に包まれて視界が戻った時には、周囲が何も無い空間の広間というか島みたいな場所へ転送された。その島の中央には巨大な人や悪魔の苦悶の顔が彫刻された白い門、名前表示は『終焉の門』。それを囲むように6つの人間用の大きさの門が島の隅に等間隔で立っていた。
小さい門にはそれぞれ、1、2、3、4、5、6と北から見て時計回りに数字が刻まれている。
各々にメンバーが囁き合う、考えられる事はいくつもあるが、初見なのでこれといった意見は出ない。
「ギミックはあの門か、とりあえず中央の門にMPバーがあるからあれをぶっ壊せば勝ちだろう。突撃準備。」とギルマスは言い、各々は補助魔法で仲間を強化する。
「ほれ、突撃。」というギルマスの合図と共に全員が一斉に敵の大門へ攻撃を開始。
『常命の者よ、我の』ボコボコボコと一同はボスの決め台詞も聞かず一斉に全力でボスを殴り始める。
しかし、その直後に周囲の6門が白く輝き始め、メンバーの姿が数名その場から小さな門へ引きずられるように吸い込まれて行った。
「ひゃああああ!」「えええー!?」「わっ!」とジノー、エリーン、デビルの少女等が門一個に対し一人が吸い込まれて行く。よりにもよって熟練者以外が吸い込まれていく、その理由はなんだ?
「分断ギミックか、一番厄介なパターンだ。」とギルマスは舌打ちをし「跳び、チビパン、小さい門を調べろ。吸い込まれた奴は現状報告せよ。」と、まずは調査の指示を出す。
この時点でボスの一発クリアはほぼ諦めたと見える。しかし、ギミックを理解出来なければ同じボスで数時間も拘束される状況なんて何回も見てきたのだ、全滅覚悟で調査をするのは苦渋の決断だが必要経費。
吸い込まれた人間より報告が入る「えと、なんか敵がいる迷路に飛ばされました。飛ばされた足元にはシナジーで『門の鍵を拾う』と表示されたので拾っておきました。」
「モンスターちょっと強いです。ソロだと全然進めないかもしれません。」
そこへチビパンさんと跳び陽炎さんが「カラシ、小さい門は後から入れるみたいだよ。」「マスター、門内には迷路がありマップ確認した所、吸い込まれた人のマーカーを遠くに確認しました。」と報告を追加する。
そういうギミックか、なんとなくオチは読めた。しかし、敵のボスは今まで道中に出た雑魚敵を召喚しながら応戦するも、そのMPはもう20%を削れている。ギミック発動までで押し切れれば良いだろうが、そうもいかないだろうなあ。
案の定、ボスのMPが30%を切った辺りで大ボスの門が。
『時間切れだ!』と喋り、パカーっと突然開く、直後に俺の視界が白に染まった。その光で皆、倒れた。
「はい、全滅1からの作戦タイム。」ギルマスのこの声に今回は多数の挙手がはいはーいと上がった。
「んじゃ、まずデビっこの報告を聞こうか。」とギルマスが言うとデビル少女は一度深呼吸をした後に
「吸い込まれた後にはシナジーで鍵を拾えまして、ゲート開放まで残り2分と表示が出ました。帰り道は迷路になっていて、更にソロの支援職では勝てない敵がいます。以上です。」と言い後ろに下がった。
「救助隊が必要になるのか?」「その雑魚と戦わずに一人で迷路を踏破できないもんかな。」「鍵は小さい門を閉める為の物だろうな。」と口々に議論が始まる。
「んじゃ、次に吸い込まれる条件で気づいた者はいるか?」いう言葉にキールさんが手を挙げて。
「これは私の勘だが、初心者や一部の人間はタンクや支援スキルを信じない癖があるのか、あまり密集して戦わない。視界確保の問題かもしれないが、つまり皆から離れて戦う癖がある、そこがさっき吸い込まれた人物の共通点だと思う。」
というキールさんらしい慧眼を聞いて周囲は、ほぅと納得の声を上げる、確かにそういう事故はよく聞いたことがある。
「つまり、6つの門に近いプレイヤーを吸い込んでいた、という事か。」ふむむ、と一同は納得をする。
「6つの門へ吸い込まれるのはソロで逃げ切れる奴か、救助隊を選抜する必要があるな。」
「大ボスとそいつの召喚雑魚自体の攻撃力はどうだった?」とギルマスが半裸バシネットに尋ねると。
「それほどでもない。」とSevencharはマッスルポーズで答えた。
「んじゃ次はタンクだけ残して吸い込まれた奴以外全員で救助に向かうか。」
「!!?」とSevencharに一瞬動揺じみた動きが見えたが、こいつも意表を突かれるってあるんだな。
「それよりもカラシ。」「なんだねキール君。」「吸い込まれる人間を優先に人選した方が良い。」
「そうか、戦術、音楽、暗闘、天然、元素で移動速度か安全性を確保出来る奴が吸い込まれるべきか。」
うーん、と少しギルマスは考えてから「2分か。」と呟き。「キール、跳び、B太、マリッド嬢、大臣、がりるん、その6名は門に吸い込まれるように位置取りをしてくれ。」という発言で指名された人々は「まかせろー!」と言い合うが、一人跳び陽炎さんの表情が暗い、というか真っ青だ。
ギルマスは跳びさんを全面的に信頼しているが、一つ問題点があるのを忘れている。それを自分から言い出せるか跳びさん、勇気を出してください!
「マスター・・・」と跳び陽炎は小さく呟く。「どうしたー?」とギルマスが応じる所を見ると明らかにその跳びさんの短所を忘れている。
「私、めっちゃ方向音痴だから迷路とか無理です…」とご本人は正直に言った、ギルド最強戦士の一角である跳びさんがそれを言い出すのはプライドよりもギルマスの顔を潰したく無い点を考えたからであろう。偉いなあ。
「あー、すまん。お前さんのは重症だったな…。」とギルマスは頭を掻きながら代わりの生贄をメンバーを見回し考える。
ギルマスの視線が通るのは、その視線は一瞬コラーダを通ってからギルマスは軽く首を振った、それを見てコラーダは少しムッとして「私が行きます。」と立候補した。コラーダは暗闘と天然と戦術のスキルを持ち、このギミックでは最適の能力を保有しているはずなのに、最初の人選ではずされた理由はなんだろう、こいつも迷子スキル持ちか?
「うむぅ、んじゃその6人に吸い込まれて貰おう、問題は吸い込まれる役の全員が近接攻撃よりだから、その6名より外側には絶対他のメンバーは出ないことだ、出たら全滅だと思え。なんだ、大縄跳びらしくなってきたじゃないか。」とギルマスはニヤリとサディスティックな笑いを浮かべた。
「救助隊はそうだな、DPSの二人ペアで動いてもらおう。タンクとバード二人は大ボスを引き付ける。」
俺の遭難に対する救助隊はエリーンとジノーに決定した。明らかに人選ミスというか二次遭難確定だと思うのだが、ギルマス的にはそれでも良いのだろう。恐らく迷路の難易度を確認する為にわざと優秀なチームと劣っているチームを作ったのだ、あの人がやりそうな実験だが、情報確保としては正しい。
そうなると大ボスに対するダメージソースが大幅に減るので、次回の挑戦も情報収集の為に捨てゲーになる事は確定だ。
「まずは位置取りをして攻撃開始!」とギルマスの号令と共に全員が今度は位置取りを意識して戦う。吸い込まれる役は小さい門の位置に近く、その救助隊はその人物より大ボスに近寄り攻撃を開始する。
ボスのMPが5%を削った辺りで小さい6つの門が迷宮に人を捕らえると分かった、門に生贄の6人が吸い込まれたのを確認したら、救助組みはその小さい門へ突入し迷宮へ消える手はずだが。
その頃の俺は迷宮の最奥で鍵を拾っている所だ。さてと、マップ画面を一瞬確認すると一応マップは存在する。これでマップなしのダークゾーン迷宮だった場合は2分なんてとても無理だろう。マップをミニマップモードにし画面へ常時表示設定し出口を目指すことにする、
出口の位置にはエリーンとジノーのカーソルが発生したので何処へ向かえば良いか一瞬で分かる、もし二人がこなかったら出口が分からないだろうマップの作りをしている。マップもギミックに含めたのか、と俺は思いながら戦術スキルを二つ発動させ迷路を突き抜ける。
道中の雑魚モンスターである『迷宮予備兵』という人型の敵はタンクの自分には問題なく撒くことが出来た。救助を待つ、これは間違いなく悪手である。なにせ2分しかない。更に迷路はカラーリングが一色なので遠近感覚や曲がり角が物凄い分かり難い。
ただ、俺は迷路は苦手ではない。何度か行き止まりに当たってはしまったが、あっさりとエリーンとジノーへ合流。しかし、道中のモンスターが予備兵と書かれている意味はなんだろう。
「お兄ちゃん、助けに来たよ。」と悠長に話しかけてくる妹を残念だが俺は考え事をしながらスルーして出口へ走り抜ける。「お兄さん待って!」「お兄ちゃーん!」と救助組みが俺の後ろから必死で付いてくる。これで一つ判明した点があった。
案の定ドン臭いエリーンは快走する俺に付いてこれず、自分が来たはずの道に迷い「ふえええん!お兄ちゃーん!」とマジ泣きする時の声を上げてるが残り時間が無い。それに別の意図もある「許せ妹!来世でまた会おう!」と言いながら俺はジノーと共に必死で出口まで走る。
出口突破、直後にジノーが続く。門の前ではシナジーコマンド『門を閉める』が発動したので、俺は躊躇無くまだ迷宮を彷徨う妹ごと門を閉じる。
振り返ると、にょっきり大臣、キールのチームが既に脱出済みで門を閉めようとしたり、それも終わっているのか既にボスや召喚雑魚への攻撃を開始している。
脱出まで後は3チーム、がりるんとマリッドさんとコラーダのチームだ。時間は恐らく残り15秒程度しかない。
やはり、あいつ迷子属性あったのかなと思いながら自分担当の小さい門を背中にしボスへ攻撃を加え始めると。がりるんとコラーダとそのチームが門から抜け出した後に門を閉じにかかった。しかし、その直後にまた画面が白い光で覆われた。
「マリッドちゃんチーム再編成、と。」とギルマスは容赦なく失敗の原因を口にするが、わざと軽いノリで済まそうとしているのが分かる。
マリッドさんも「いやぁ、申し訳ない。」と笑顔を作って誤魔化す、この人もたいしたもんだな。
「んじゃ代走、誰が行く?」とギルマスは口にすると、半裸トロルバードのハッチマンが手を挙げこう言った「お腹減ったから代わり走るね。」と。
「やはりノーザンは既に攻略済みだったのか?」とギルマスが尋ねると「サーバ解放後1時間で挑戦してたんよ。」とあっさりとした答えを口にする。
問題は「後、最後にもう1ギミックあるから楽しみにするといいよ。迷路で詰まるのは時間の無駄。」と嫌な発言を口にする。
「ふむ、他に意見はあるか?」とギルマスは見回すので俺は挙手をして
「救助隊は出口に一瞬現れれば吸い込まれた人の出口が分かるので救助自体なしでボスを叩いたほうがいいのではないでしょうか?」と発言すると、半裸の変態マスク共三人がくるっとこっちを向いた、兜やマスクでその表情は分からないが、とても嫌な視線だ。
「ふむ、よし、それで次いってみよう!」とまたボスへの挑戦が始まった。
二度目の迷路だけあって今度は時間的に余裕を持って脱出は出来た、迷路に一瞬後から入った救助隊の妹は「お兄ちゃんのバカ!」と言いながら迷路からすぐに出て行った。まずはそれでいい、ボスを優先して叩いてくれ。しかし、迷路の形が前回と同じなのが救いだ。
迷路から出て小さい門の鍵をすぐに閉めると、大体同じタイミングで迷路を脱出してきたらしく、鍵しめ後にボスへの攻撃を開始するチームが見られる。
ただし、がりるんとハッチマンチームの迷路からの戻りがギリギリだった。
吸い込まれてから2分はそろそろだ、と思った頃にボスが『ぐぬぬぅ!やりおるな!』と喋り全体即死攻撃は発生せず、また『迷宮に囚われるがよい!』とボスの声を聞きながら迷路へ吸い込まれて行った。
パターン入ったかなーと思った迷路脱出3回目にして、ボスの残りMPが20%を切った時にその異変は訪れた。
『迷宮より出でよ、奴等を殺せ!』というボスの声を共に、6つの小さな門からワラワラと『迷宮予備兵』が湧いて出てきたのだ。
その敵だらけの光景を見た一人は「やーい引っかかった。」と小さく呟いた、がりるん知っていたのか。
戦闘は大乱戦になった。
だが、敵がほぼ出てこない門も2つあった、がりるんとハッチマンが担当した門である。これであいつらがギリギリまで門から出てこなかった理由と俺に対する視線の意味が分かった。
恐らく救助隊は本当に必要で、その役割はこのタイミングで出てくる迷路内の雑魚掃除が仕事の掃除隊になるはずだったのだろう。
なので、俺の後ろの門からはエリーンやジノーがまったく雑魚に手を付けていない為、ワラワラと『迷宮予備兵』が出てくる。全力で迷路を逃げ切れば時間が結構余ったのはそういう意味か。
失敗したか、と下唇を噛みながら雑魚に出来るだけ挑発スキルを入れて一身にターゲットを背負う、するとハッチマンが珍しく人に指示をする様な発言をした。この人は基本的に人の流れに任せるタイプの人だと思っていたのだが、よほど空腹だったのだろう。
「範囲CCするからボスに単体攻撃だけで集中して。」と言うや否や運命神魔法によるCCを展開、それに合わせて味方も単体攻撃でボスを追い込みにかかる、CC解除まで後15秒。その間に削りきれるか?
15%、13%、11%、9%、硬い、CCがもうそろそろ切れてしまうという所でSevencharによる盾ウルティメットスキルの『グレートウォール』と戦術スキル『方陣』による防御効果がグループメンバーを格段に強固にする。
Sevencharの発動するグレートウォールが切れると、俺もそれに繋ぐようにグレートウォールを発動させる。
7%、5%、3%、ジノーやエリーンもダメージが軽減されたとはいえ、敵からの範囲攻撃や挑発漏れにより雑魚からの攻撃により戦闘不能に陥る。2%、メンバーの半数がもう倒れた。敵MP残り1%、もはや立つのはSevencharと俺とオークの戦士と跳び陽炎さんのみ。MP0%ボスは崩れても、雑魚がすぐに消えない、ここで雑魚の攻撃により倒れたらここまでの時間が水泡に帰す。
『グゴゴゴ!常命の者め!我はいつかこの世界を塗り替えて見せるぞ!』というボスの捨て台詞と共に雑魚敵も消滅し、空が爆発する様に青色へ晴れ変わった。
その青空の下で、22人の倒れる味方の中で最後に立つのは俺と半裸の変態だけであった。
『実績が解除されました。果ての防人』
『実績が解除されました。12柱神話の証人』実績解除で新しいコスチューム追加か。
「やったねお兄ちゃん!」とSevencharがハイタッチのモーションを取ってくるが、これには俺も嫌々ながらもハイタッチで返す、こいつがいなかったらもう数時間はクリアにかかっただろう。
「お兄ちゃん私もー!」と言いながらエリーンも立ち上がりハイタッチのモーションを取るが、それをSevencharに横から「ウェーイ!」と言いながらハイタッチを取られる。
「2全滅でクリアしたのは良い方ですよ。」とハッチマンが起き上がり楽器を奏で出した。
「さて、クエスト報告とアイテムチェックの時間だな。それが終われば解散じゃ。お疲れ様でした。」
とギルマスは閉めの言葉を口にした。その後は雑談とアイテムのオークションや交換会が行われた。
「所要時間は4時間強か、初見にしてはまぁまぁだな。」「ファーミングするにしてもギミックの説明と理解出来るかによってメンバーが制限されてしまうダンジョンですねえ。」「最近のMMOにしては難易度高いよこれ。」「まったくカジュアルさは無いな、しかも24人必要だし。」「この装備集めたいから誰か交換してくれ。」
「いや、でもまだこれのハード難易度があるんだぜ?」という誰かの呟きに一同は顔を背けた。




