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ギルマスワークス!外伝.戦場の花を捕まえて  作者: 真宮蔵人
戦場の花を捕まえて
15/95

015.バカイェスゥ

「インパクチ!」とロドリコが妙な叫びを上げて山神信仰魔法の自己拡散範囲(PBAoE)を自分と密着しながら敵を巻き込むように連打する、無論自分にもフレンドリーファイアとしてダメージは食らうが気にしない。ロドリコを中心に魔法による石つぶてが嵐の様に飛び回る。


自分はロドリコを守るようにして敵2体へ挑発スキルを使用し魔術師の方を集中して攻撃する。

魔術師は魔力操作スキルを上げれば詠唱妨害を無効化でき、そこから回復スキルやダメージシールド魔法を展開出来て生き残れるが、そもそも魔法職は防具が布になり易いので柔らかい。

特に刺突属性100%の愛刀『スズメバチ』はダメージ減衰が無く敵に通る。

ロドリコもそれに合わせて格闘武器を斬撃のクローや衝撃のメリケンサックではなく刺突属性爪のバグナウへきっちり持ち替えて戦っている。


今現在、暗黒鏡面世界フェーダワールドの東方草原帝国で自分達は山賊と戦っている。

山賊側にもこちらが山賊に見えるだろうからなんとも言えないが相手のキャラ名下にあるギルド表示は『全てはFになれよ』。

こいつらはどことも同盟を組まない大手フェーダワールド専用ギルド、話はゴリラ以上に通じない。

なぜならこいつ等は勧悪プレイスタイルだ、一言目には「ヒャッハー!」と二言目には「水だー!種モミと首をおいてけー!」と言いながら襲ってくる。

その点、他の大手PvPギルドのゴリラ達は『動物的な人間』のプレイスタイルなので結構きまぐれらしい。負けそうな時に命乞いの発言やモーションをすると『勝利の踊り』を散々踊った後に見逃してくれる場合もあるとかないとか。


「ロド!今だ!」「うっす、いっけー!コンギスター!」ロドリコがウォーデン最強スキルである複合スキルの『象兵突撃』を発動させる、コンギスタは象の名前らしい。

効果は自身から直線20m線上範囲被弾者にノックダウン3.5秒と大ダメージ。

既にCCあしどめ系が掛かっている敵に対し更に250%ダメージを加える、追い討ち最強スキルの一角だと言われている。ただし攻撃属性が『兵器ダメージ』らしいので正面から対策を取られると弱い。


その攻撃を受けた敵の二人の内、ノックダウンした山賊魔術師へは自分はダウン中への処刑スキルである片手武器の『介錯』とロドリコは格闘の『エルボウ』を決めようとした。

しかし、もう一人のダウンを回避した山賊戦士から両手剣100スキル『巻き上げ』(敵単体へ『放心』2秒を与え更に相手の武器(盾以外)を5秒使用不能にする。)を自分に使用しこれをくらう。


敵戦士が得物の両手斧をスズメバチを絡める取るようにしてくるりと回し、そしてキィン!と得物を頭上に掲げると自分の愛刀スズメバチが手を離れ天に向かって飛んでいく。

油断した、これはちょっとまずい。


しかし、そこへロドリコが「歯ぁ食いしばれ先輩!」と言いながら格闘スキル30『張り手』(味方の状態変化3つとEPSP回復)を自分に使用し武装解除と放心の状態変化を消しにかかる。


この間に2秒もかかっていない、ロドリコの反応速度には本当恐ろしいものを感じる。

敵魔術師のスタン時間は残り1.5秒弱、ささっと二人でエルボウと介錯を入れる。

これで倒しきらなかったものの魔術師のMPモチベーションポイントは既に残り50%を切っているのでロドリコはMP減少時に対する処刑スキル『かかと落とし』を連打し自分は片手武器スキルの『必殺旋風剣』で追い込みをかける。


すごいどうでもいい話だが、この『必殺旋風剣』。発動するとプレイヤーの登録していた肉声、つまり自分の声も同時に発動できる様になっている。デフォルトでは「イヤアアア!」という叫び声をキャプチャーしていた肉声から合成して出力する設定になっているので、初見だと発動して叫ぶ方もそれを受ける方もめっちゃビビるドッキリギミックを搭載しているが、無論自分は既に消音設定での発動にしている。

チビパンさんが片手杖でこれを発動させてみんなで大爆笑した事もあったな。


敵片割れの戦闘不能まであと少しという所でダウンから回復した魔術師は戦士からのポーション投擲を受けて持ち直し、時空信仰100ウルティメットスキル『タイムエスケープ』(立ち位置と3種MPEPSPを10秒前に戻す。)を使用し全快を果たす。


そして、残りの戦士が挑発時間切れ後に発生する挑発に対する耐性を持っている状態になり、戦術スキルの乾坤一擲を発動してからのウルティメット両手武器スキルの『遠心回転撃』をロドリコに決めようとしたがその瞬間ロドリコが目の前からふと消えた、天然スキル90の『高飛び』で敵戦士をまたぐ様にして裏へ回ったのだ。

敵の乾坤が乗ったULTSkillえんしんかいてんげきはそのまま正面にいた自分に向けて発動されるがこれを普通に盾スキル『逸らす』で軽減、必殺の一撃がカキィン!と十手に当たり火花散る、重い一撃をゲーム越しでも感じる分かる。


戦士の背後と魔術師の正面を取ったロドリコは魔術師と戦士を巻き込んで山神信仰スキルの地震撃を発動し敵二人を3秒間『フラフラ』状態にする、状態変化『フラフラ』は移動不能と詠唱不能の効果のみ。


戦術スキルの乾坤一擲は次の攻撃ダメージUP次の被ダメージ50%UPという効果だ、そして地震撃にはダメージがないので乾坤のデメリットはまだ戦士に残る。

敵のフラフラ中にこちらも乾坤一擲を発動、敵戦士の方が打破パージを使用しソードダンス系を発動しようとするだろうがもう遅い。

乾坤一擲の乗った片手武器ウルティメットスキル『連撃』を弱体化した戦士に向かって加える、それで敵の戦士は革装備基本のDPS職だったので瀕死になり、直後ロドリコの容赦ない背後からのかかと落とし連打キャンセルを受けて戦闘不能。


片膝をつき倒れた戦士を見て思う。定石とは逆になったが、あんたらの博打負けだな。

「ロド、よくやった。」勝ちは確定した、まだ生きている残り魔術師は既に死んでいる者と認識する。

「うっす、こっちの連携勝ちっすね。じゃあ、魔術師さん、死のうか。」とロドリコはサディスティックな笑顔を浮かべて生き残った魔術師をタコ殴りにし始めた。

あれは女の子がしちゃいけない顔と行動だなぁ。

魔術師は「ヒィ!」と言いながら必死に時空魔法と暗闘スキルを使い逃れようとしているがお前の相手は追撃が十八番オハコなウォーデンだ、諦めて倒れろ。


真っ白に燃え尽きた表示の敵戦士と敵魔術師が憎々しげな表情をしながら横たわっている。

「ロド、敵に位置がばれた、正面からはもう無理だから迂回して副都ノヴォハン首都デイハンの間に回りこみゾーンチャットを流そう。」

「うっす先輩、東方はボク達のホームグラウンドっすからね、余裕で逃げ切れるっす。」

フェーダの東方草原帝国への進入は楽であった。

なぜなら東方は西側と北がギルド『インペリアル苦労する』の統治下で東と南側が『全てはFになれよ』が統治している。

三国史で例えると越から嫌がらせを受けている呉の状態になっている。

ただ、双方人口が多いのでお互いに浸透攻撃という名の下の山賊プレイが横行している。


道中で4人以上の山賊を見たら全力で逃げ、一人二人の山賊に対しては戦いを挑み、3人の山賊には少し戦って勝てそうなら倒す、駄目そうなら逃げる。

今の所こちら側コンビは無敗である、最強では無いだろうけど自分が強いという自信はあるんだ。


なぜ目標からそれて山賊と戦うかと言うと、ロドリコが「先輩!戦いましょう!それがこのゲームの売りっすよ!」と目を輝かせながら山賊を観察していたからだ。

リスクは避けたいがロドリコの願いも無碍には出来ないしな、自分を試したいという気持ちが無い訳でも無い。何より、ロドリコとのコンビプレイが最近楽しい。


裏東方の旅路は前回の様に列強の介入も無く果たし状の宣伝は終わった、これで裏の三国も回ったがとなると最後に残るは…

「皇帝城の周辺っすね。」とロドリコがぽつりと呟いた、その言葉は少し寂しそうに聞こえたのは気のせいだろうか、二人は思い思い嫌々な気持ちで騎乗生物に跨り世界の中心へと向かった。

この旅がこの小さな物語を終える旅だとは、自分はこの時思いもしなかった。


皇帝城、そこは恐ろしい数の防衛NPCと堅牢な門に守られている。外壁は水掘りで囲まれ敵の突撃を妨害し、その厳粛さと神々しさの交わったデザインと黒い石材は怪しい光を放っている。


皇帝城の城主ギルドは掲げられた大旗。青と紫とうす緑色の流れる様なオーロラマークから分かる通り『ノーザンライツ』である、このギルドと自分達のギルド『永久凍土』は同盟しているはずなので、防衛NPCからの攻撃を受けず、その城を攻略する事も出来ず。

安全だ、ここは安全な場所だと自分に言い聞かせる。


仁王像の様に直立する防衛ゴーレムの脇を堂々と通り過ぎ壮麗な門をくぐった、その先にはこれもまた美しくも怪しい本丸へ続く中庭がありそれを進む、ゾーンチャットをするだけ以外にも目的があるので城主ギルドのプレイヤーを見回し捜す。


ふとラグを感じた、その瞬間にスッと周囲を数人のプレイヤー達が自分達を囲んでいた。

水着、腰みの、変なパンツといった半裸の格好に鳥頭兜バシネットヘルムやペスト医師マスクを被りマントを羽織っているその異相、彼等のチームユニフォーム。

種族は3国の偏りなくダークエルフもコビットもストライダー等の東方外の種族も入り乱れている、ゲーム中最強ギルド『ノーザンライツ』。

横でロドリコがプルプルと怯える素振りを見せる、これは演技ではないだろう、生理的嫌悪かトラウマなのか?


異相の狂人達から一人が語りかけてくる。トロルバードのハッチマン、サブギルドマスターだ。

「果たし状の人よ、この来訪に我々は歓迎をする。我々もゲームの長命を願う者達なり。イベントのバックアップはしたいが、恐らく君が知りたいだろう情報を渡すには条件がある。」

ギルマスや幹部の人達に話を聞いていたが、このギルドでニンゲンの話が通じて偉いのはこいつくらいであるらしい。

「そこまでお見通しか、さすがにおかしいと思うんだよ色々と、そして三国で一番情報を持っているのはあんた達だ、教えてもらいたい。『コラーダは引退か別キャラプレイ中か?』だ」

「その質問を答えるには条件を達して欲しい。」


心に力を入れろ、踏みとどまれ、受け入れろ、全てを。

決意の発声「その条件の説明をして欲しい。」

クックックと周囲から含み笑いが聞こえてくる。

「我等の内一人と戦い『良い勝負』をするかギルドに加入するかだ、ギルドに加入は学校卒業後か大学卒業後の空手形でも構わない。これは約束プロミスだ。加入後は給与福利厚生社員旅行ボーナス付きだ。」

「自分は約束を守る主義だ、守れるか分からない約束は出来ない、決闘の方を選ばせて頂きたい。」


ハッチマンはその答えに「ホウ!」と呟き「では、君とえにしのある者を決闘相手としよう。Sevenchar、揉んでやれ。」

そう呼ばれたノーマッドの巨漢マッチョ変人が「お兄ちゃんでおじゃるか?」と周囲から進み出た。

Sevenchar、自称『心に七つの傷を持つ男』、こいつはタンクとして有名だがDPSも出す手強い相手だ。

戦闘相性はこいつが魔法型じゃないと思うから悪くはない、良い戦いをしろ?前提としてこっちが勝つと思っていない自信だな。


「では、」と周囲の中から更に一人進み出てくる、『天帝☆黄龍』ノーザンのギルマスで現皇帝だ。

こいつは妙に威圧感があるからつい身構えてしまう、自分の顔に畏怖が浮かぶのを自覚する。

「やめてお兄ちゃん、その人は私達の!」とSevencharが叫ぶ、何なんだよ。


黄龍はそのボケか分からない発言を無視し

「宣誓!我々はスポーツマンヒップにモッコリ!正々堂々と戦うことを誓います!ファイ!」と叫んだ。


<Sevencharが決闘を挑んできました。>

<承諾>

恐らくこれまでで最大の戦いが始まる、相手はコラーダよりも強いだろう『普通』を辞めた『人間達』だ。


「相手してやるよお兄ちゃん!ヒップのYou!ビルドアーップ!!」と叫びながら敵はセルフBuffをかけ始めた、こちらも強化魔法と戦神魔法を自身へ掛け、終わる直後に十手によるシールドチャージ!あっさり逸らされる!こちらの攻撃を容易くはじきながらSevencharは叫んだ。


「心の傷第一章!家族が幼子の俺一人を駐車場の車中に放置して遊びに行った時の話!」<ビゴーン>

わざわざ効果音様のMP3データをショートカットマクロに入れているのかよ、変人は考えることが分からん。


敵は重武装タンク型、吸血スキル持ちを考慮してスズメバチをサブ武器のファイアブランドに持ち変え攻め懸ける!自分の攻撃手段は攻撃力向上セット装備と強化魔法と強化ポーションによる片手武器スキルが頼みだ、トリッキーな攻撃はまったくと言って良いほど持っていないが、この道を信じて戦う。相手との相性とタイプと動きを読めと自分に言い聞かせる。


「第二章!犬を飼い始め、最初はチヤホヤしていた家族が後に飽きて俺と親父だけで死ぬまで面倒を看た話!」

敵は片手武器だけのタンクと思っていたが時々両手武器に持ち替え重い攻撃を繰り出してくる。それを逸らしたり片手武器スキル『ディフレクト』を交互に使用し凌ぎきる、高級ポーションは既に連打モードにしていて在庫は500個ある、敵も狂気じみた構成と準備はしているだろう。

敵は吸血鬼スキルを所持していない様に見えるのでメイン武器を愛刀スズメバチへ持ち直す。


「第三章!公園で変なおじさんに付きまとわれた話!」

投擲はお互いに持っているらしく、毒をぶつけようにもお互いの『キャッチ』スキルにより意味を成さない。敵が両手スキル100の『巻き上げ』を発動させたがこれを食らう訳にはいかない、緊急回避ドッジで後方へ下がり直後にシールドチャージ!しかし敵もこちらの回避行動を見た瞬間に盾に武器を持ち変えてこちらのチャージをまた盾で逸らす。

直後にストライクキャンセルにより削ろうとすると敵は素早い武器持ち替えで両手武器スキル『ソードダンス』で反撃のDot(持続ダメージ)をこちらに与える。


Buffが切れる、お互い同時に後方へ緊急回避ドッジし補助魔法を掛けなおす。これは強化魔法戦士の紳士協定と呼ばれている現象だ。


長い…戦い。


「第六章!祖父母の遺品に大人の玩具があった時!」

「お前のジジババスケベ夫婦~!」と周囲から野次が飛んでくる、こいつはなんでこんなに余裕があるんだ?この辺りから自分の体が重くなっている気がしてきた。


例え廃人と言えどこちらも装備はレジェンダリーとレリックで固めていてそれ以上の装備は存在し無い、戦闘経験もリアル学業があるとは言え青春の大半打ち込んで鍛えた技量だ。


削れろ!削れろ!力尽きろ!倒れてくれ!

モチベがみるみる内に削れる敵は「まんたーんドリンク!」と叫びながらアクアビッテを使用した、これで敵はほぼ全快しまた仕切りなおしになる、こちらのアクアビッテはとっくに使用済みだ。こちらのリソースが危うい!


その瞬間こちらのモチベが50%を一瞬切った、その瞬間にバシネット越しでも敵がニヤリと笑ったのがわかった。

「今だ!ジーザスビーム!」と敵が叫んだ瞬間にその手から神々しい光線が自分に向かってぶつかってくる。

光神信仰100スキルで処刑スキル、モチベポイントが50%以下の時に300%の魔法大ダメージを与える大技!まずい、ドッジを2回連続使用しこのビームをやり過ごす、これで自分のモチベとスタミナが激減する。

ジリ貧に追い込まれた、しかしどうやってあのタイミングを見切った?

しかもこいつは光神の有用スキルを今まで一度も出していなかったぞ?

完璧な不意打ちだ、強化魔法のダメージシールドを張りながらポーションをモチベ回復主体に切り替える。

詰みが見えてくる、畜生、畜生…。


「第七章!満員電車で痴漢冤罪を食らってダッシュで逃げ切った話!」

それでも守りには出来るだけ回らない、敵からの致命打だけ逸らし攻撃を緩めない、ストライクキャンセルストライク!ここで逃げてはいけない。戦って死のう、ゲームのみで許される男の本懐だ。


突然「果たし状の人、後ポーションいくつ?」と獣人のまろいサザンクロス氏が尋ねてきた。

その声に合わせて敵であるSevencharが後ろに下がり仕切り直しの時間をくれる。

「110本だ。」ブラフをしても仕方ない、正直に答えると「フム」とハッチマンが呟き「そこまで、良い勝負だったよ、たいしたもんだ。」という言葉に合わせて敵はチャキリと剣を収めた。


ゲーム中とはいえ、どっと安堵か疲労か分からない大きな溜め息が出てしまう。今恐らく自分の顔色は真っ青だろう、このゲームは顔面の血色もキャプチャーされ反映されるので相手には丸見えだ。

「約束だ、条件は果たしたぞ、教えてくれ。コラーダは今どうなっている?」

すると黄龍がすっと出てきて自分に向かって変な事を呟いた。


「太陽の忘却、ヘラジカの角兜、ナイアガラの滝登り、電気蝶、グーグルアースの終わり、これらの夢は見たか?」と謎の電波発言をした後にいきなりセキセイインコみたいに首をくるくると回転させる様なモーションを連打しだした、うわ気持ち悪い。


「「うわ!気持ち悪い!!」」「気持ち悪いっす。」「誰か止めさせろ」「ハッチャン何笑ってんだよ。」「りゅーちゃん、あんまり人間離れした行動は謹んでね?」


笑い終わった後にハッチマンは「まず、質問よりも君は違和感を覚えたはずだ、具体的に言うと動きが重くなっていて相手がまったく動きにミスが無かったとか。」

「そっちのカラクリも教えてくれるのか?企業秘密だろ?」

「いや、君があまりにも必死だったので知っておいて欲しかったんだ。実は我々は全員周囲で武器防具をすごい速さで切り替えて意図的に決闘をラグくしていた。サーバーに負荷を与えていたんだよ、意図的にね。」

「スポーツマンヒップは何処にいった?」

「内視鏡カメラに奪われたよ。」

「ハッチャンそれ笑えない。」

「後はね、ノーザンライツは回線もプロバイダもゲームに最適化されてるのよ、このゲームで一番Pingつうしんそくどが有利になる回線を世界中から選んでいる、後はパソコンスペックとHMDが皆ハイスペックだ、これで既に一般人より1.3倍は強い。」

それは子供身分の自分に出来る範囲の話ではない、どうしろというのだこの不平等な世界。


「少年、重要なのは上辺を取り繕いその下で地道な努力を地を舐めてでも積み上げ勝ち上がる事だ、これは歳を取ればわかる。」

「つまり、子供は大人に勝てないという事か?」

「子供の強みもある、これが君の知りたかった質問の答えの一つだよ。」と意味深い言葉を発した。

続けてハッチマンは「コラーダ嬢の接続情報アイピーはゲーム内にある。つまり引退もしていないし毎日サブキャラでログインしてるよ。あ、ネットコードの解析はBAN対象だからこれは内密にね。」

とハッチマンはヘルメットの前で人差し指を口元に当てて『しーっ』っとするモーションを取った。

「まぁ、BANされてもすぐに立ち直すがね。」と周囲の者が呼応する。


「少年、君の果たし状の旅は最初からコラーダ嬢は知っているだろうし、ここまで来て戦ったのはある真相を知っていればまったくの無駄足だったんよ。」とハッチマンがハハッと笑う。

周囲の怪人達が口々に、「可愛そうに。」「もてあそばれてるんでありんす。」「随分と遠まわしなネタだったな。」と同情の声を上げる。

うるさい、そんな気はしてたんだ。これが全て茶番なんじゃないかとは思っていたんだ!


そんなざわめきの中でロドリコがとてもとても悲痛で大きな声を叫んだ!

「バカ言えっす!そこには先輩とボクの旅があったんすよ!無駄じゃないんだからあ!」


伝説

・スポーツマンヒップにモッコリ事件

筆者が自衛官だった頃の話である。とある大会の宣誓をする時に罰ゲームらしく「スポーツマンヒップにモッコリ!」と言われる様に指示されたらしい。

宣誓した人間はその後に「訂正!」と言ってしまいお偉方にヒップモッコリがバレてしまった。

筆者は関係者に事件の詳細を聞き回った所「あの時、訂正しなければバレなかったのにな。」と専任士長達は口を揃えて言った。

元ネタはボキャブラやTIMより前から有った気がするんだけど、どうなんだろ。


雑談

Q.もしかしてセカイケイですか?A.エドと言われれば筆者も戦地調停士と答えますよ。

黄龍は人間じゃないです。

後2話で一章終了予定です。


Sevencharこころにななつのきずをもつおとこ レース:ノーマッド男

光神信仰100 強化魔法100 両手武器100 片手武器100 盾100 耐性100 投擲100 天然60 錬金90 トータルスキル850


10/10 改定 こっそりMOBにヨグの姉御を潜ませた。

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