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破壊機械~白銀の四肢と世界の記憶~  作者: 祭 竜之介
黒騎士団篇
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【お帰り《ウェルカム・ホーム》】3

 目を開けたマモル。彼がそこから体を起こすまでの動きはなんの抵抗もなく選択したかのような機械的なまでの自然さだった。

 昨日の夜、コーヒーを体に染み渡らせしばらく夜風に当たってると、コーヒーに含まれる効果とは真逆の落ち着きを覚え、家に入った。自室のベッドには既に大の字になり占領しいたアカリがいたが、構うことなく隣に横たわった。無意識であるアカリによって直ぐにマモルは抱き枕にされたが、そのまま特に抵抗もせずに眠りにつくのだった。

 そうして今日。時刻を確認すれば7時6分を表示していた。決して早起きという時刻ではないが、健全な朝の時刻。倦怠感もなく目覚ましもなしに完全に意識は覚醒している。そして脳も最初からかなり良い調子で活動していた。さしあたって、脳が真っ先に取り込んだ情報は、嗅覚だった。

          ★

「お、おはよう。」

『おはようございます、守様』

「あ、お早う御座います!守さん!」

台所まで降りてきたマモル。目の前には紺色スクール水着姿のサンカ、白いスクール水着姿のアカリがどちらも桃色のエプロンを上に着て料理をしていた。しかも配給できるだけの業務用寸胴鍋や人一人入るほどの大きさの中華鍋を使った料理だった。

「なにやってるんだ?二人とも。」

料理をしているのは明らかだが、量が理にかなっていなかった。明らかに三人分ではない。

「あぁ、これですか!この中華鍋にはカニチャーハンが6割り方、そちらの寸胴鍋にはワンタンスープが8割り方作り終わってます!」

「ほうほう、それで?」

『食材を提供してくださったそうなので、下の方々にも配ろうと思い大量に作りました。』

「ああ、なるほどね。」

『腕がなりましたよ。こうして多くの料理は最近では作らないので。料理バトルのしがいがありました。』

「はい!私も楽しかったです!」

顔を見合せ、笑顔の二人。マモルも「そっか」と笑いかけながらエプロンをかけていく。三人での共同作業から始まる朝となった。

 眠い目を擦りながらカイトが台所へ顔を出す頃には、既に二品は完成しており、マモル、サンカ、アカリは外へ出る格好に着替えている。

「兄貴、姉さん、お出掛けですかぁ?」

「はい、ちょっと下で配給をしてきます。机にはサラダも付いたお料理をおいてありますので。」

「わかりました、ふぁあ…。今日はノノ様のライブ映像をもう一度みますね。」

「お、おう。相変わらず好きなんだな。」

『では、先に荷物を積むエレベーターの拡張部品を取りつけてきますね。』

          ★

 マモル、サンカ、アカリの三人は寸胴鍋と中華鍋を運びエレベーターで下る。

 その際、サンカとアカリは特に張り合うでもなく、次回は近くのショッピングモールでの服装を選ぶ約束をしていた。マモルから見ても、打ち解けた雰囲気であった。

 銀の川に降り立ち、持ってきた食品を広げ朝食の準備をするサンカとアカリ。マモルはその間皆を集めようと周囲へ声をかける。

「おーい!黒騎士団の団員達!朝食持ってきたぞ~!」

いくつかの仮説テントからちらほらと顔を出す人々、しかし、ここで違和感を覚え、再度辺りを見渡し一人一人の顔を確認する。

「あれ?男共は?」

「あぁ、ナナさん含め、戦闘員の方々は全員朝早くに熊狩りにいきましたよ!」

近場にいた子供の団員が説明をする。マモルから見て、テントから顔を出したのが女性や年配、子供ばかりだったことに大しての説明だった。

「熊?」

「はい!山にでる熊を狩りに行くそうなので、今日の夜には帰ってきますよ。うまく行けば熊鍋です。」

「昨日はカニで、今日は熊か。」

どちらも団員の腹を満たすには十分な収穫である。自分が作り上げた義手を備えるハジメがいればなんの問題もなく狩ることができるだろうと確信するマモルだった。ともかく、そうして男手が少なくなった今、残された団員は子供同士で遊んだり年配や女性は衣装の簡単なほつれなどを治していた。

「まだ朝食は食べていなかったので、ありがとうございます!」

「おう、あっちで二人が炊き出しの準備してるから、行ってこい。」

「はーい!お皿とか準備します!」

走り出しマモルの横を通過した団員をちょっと待ってくれと静止を促す。

振り返り、なんですかと言う子供団員。マモルには尋ねておくことがあった。

「咲は熊狩りには参加してるのか?今はいない?」

「いいえ、咲様は近くの洞窟に温泉を見つけたので、御一人でそこへ行きました。………なんかちょっとピリピリしてましたよ?」

「ピリピリ?」

「はい。あ!咲様は長風呂が基本なので、もう2時間ほど経ってますが、まだいるはずです!」

では!と、子供団員は再び走り出した。

「へぇ、長風呂だなぁ。じゃあ、朝食を持って行ってやろうか。」

洞窟の心辺りはあったマモル。恐らくついこの前までサンカが寝床としていた場所だろう。

        ★

(うーん、まさかあいつが此処にいるとは。)

湯船のどこかで雫が跳ねる音が響く。鍾乳石の多く存在するこの洞窟では常にどこかで音色が響いていた。

 サキは周辺調査で見つけたこの洞窟内の温泉に浸かっていた。簡易的に石で囲われただけの溜め池のような浴槽だが、それでも長身のサキの義足(あし)は伸ばせ、肩まで浸かることができる広さだ。ついでに大人ならあと一人、子供なら二人くらいつれてきても問題はないくらいだ。温度も熱めが好みの彼女を満足させられる出来だ。温泉に関しては何一つ文句がない。

 よって、彼女の胸に(つか)える感覚は別の理由によるものだった。

(男共がいっていた、守と暮らしているという"サンカ"という人間…あれは。)

「おーい!サキ~いるか~?」

「!」

洞窟の入り口の方で声が聞こえた。奥行きは十分にあり、浴槽と脱衣所も布で区切られているため、除き見ることは出来ないであろうが、それでも声は反響しすぐそばで聴こえるようだった。

「守か!?わるいな、今直ぐ出るからちょっと待ってろ!」

「あぁ、いや、気にするな!三花達が朝食を作ったから運んだだけだ!」

すぐ帰るから!と言うが早いか、手近な壁際に備え付けられた作業机に朝食の乗ったプレートを乗せると、すぐに方向転換。出ていこうとする。

「待って!」

あと一歩で外と言うところでマモルの脚は止められた。

(また、サンカか……男共もでれでれと物腰柔らかい少女に浮かれやがって。)

そうして頬を膨らませるサキは、いつの間にか立ち上がり。浴槽の縁に手をかけていた。身体は留まらず、そのまま脚を動かし浴槽を出始める。

「少し話そう。昨日のこと、私なりに考えてみたん――ダッ!?」

歩きだし、三、四歩濡れた床を歩いた時だ。バランスを崩し、盛大な破裂音をたててサキは転げた。

 普段の彼女には絶対にあり得ない失態だ。常に気を張り、注意深く周囲の様子を観察するのが日課の彼女にとって、考えなしに動いた結果の滅多にない痛みだった。

「大丈夫か!?サキ!!」

そして、マモルというこの男もサキが大事に至ることはないであろうと頭では確信していながら、動かずには居られない人物だった。

「へ…?」

上目遣いで浮かべた涙を片手は拭い、もう片方は床に。膝から(ぎそく)は左右に広げる所謂女の子座り。水に濡れ艶やかな金と黒の混ざった髪は、腰より長く床にながれる。アカリより大きな両房はすすり泣きながら揺れる肩と連動して上下に弾む。色濃い乳頭は陥没で――――と此処まで目に焼き付けておきながら始めてマモルは目を伏せた。が、もう遅い。

 サキは既に顔の中央から紅潮が左右へ走り、胸郭は空気を取り込みきっていた。

 反響する音の逃げ場はマモルの背後。耳が張り裂けそうな甲高い音は谷中に響いていたと後のサンカは語った。

          ★

 マモルは、実を言うとこの展開を予感していなかった訳ではなかった。昨夜のサンカとアカリの奉仕バトルの一件に続いての風呂場で事故は避けたかったのだが、いざサキに声をかけてみれば呼び止められ、この様である。

「さ、サキ…ごめん。ほんっとうにゴメン。」

背中には湯船とは違った感触。柔らかいがハリと若干の筋肉質な感触があった。

 互いに狭くない余裕のある浴槽の中央にあえて固まり、体育座り。マモルの耳ではスンスンと鼻をすするサキの声が聞こえる。

「いいよ、お前がそういうやつだって、しってっから。」

「そ、そういう!?」

怪我をしていないかの確認を体に覗く奴だと思われてるのか!?そんなつもりは全くなかったけど…!

「怪我をしそうな奴を前に、体がかってに動くのがお前だって、わかってるから。」

そうしてフォローをしている間にも、何度か鼻をすすっていた。マモルはサキの理解にほっとし、意識を湯船へと向けた。

 ひとしきり叫んだあと、鼻をすすり、涙目を拭いながら、マモルに励まされるサキ。その際に両房がこれでもかと揺れていたが、それよりマモルは女の子を泣かせてしまった同様と焦りで気にしていられなかった。とにかく、マモルに頭を撫でられながら、少しずつ調子を取り戻していったサキは、静かに指先を湯船へと向けた。

『え、っと。連れてけばいいのか?』

首を横に数回降る。ふてくされた子供のようだ。

『えっと……。』

次の言葉が出ないマモルだが、サキは待たずに言葉にする。

『入れ…。』

『はi……ん?』

『お前も入れ。ちょっと付き合え。』

鼻声でいう彼女の眼は確固とした意志が感じられた。

 そうして今である。マモルとしてはこのような強引な混浴は、ここ最近頻繁に起こり、心情的には少しなれてきていた。それを思えば、とマモルは背後の背中を覗く。

 ほぼ男所帯といっても良い団の内部。そんな中で生活している以上はこうした事態はあり得る話だと思ってるマモルだが、現に目の前の彼女は酷く動揺していた。普段が豪胆な態度なだけに、今の小さくなったサキは女の子のそれでとても愛らしい。

「…サキ……ひょっとして、こういうの…初?」

「…当たり前だ。いつもこんな風に男共がいない隙に堪能するし、居たとしても護衛が…"あいつ"がいるからなぁ。」

だから長風呂の癖が付いたし、それなりに楽しんでいた。

「それに、もし覗いたら半ごろs…それなりに制裁を加えていたから。」

「へ、へぇ……。」

(くそっ……こいつには色々初めてをとられすぎだ!)

いじいじと睨むように視線を背中へ送った。

         ★

「おの…俺…そろそろ出ていってもいいか?」

「いや、ちょっとまて。お前には聞きたいこともしっかりあったんだよ。」

あ、そうなのか。マモルは既に体にありったけ熱が溜まっているが、もう少し耐えることにはした。

「朝方、熊狩り行く連中が話してたんだが、お前の同行者にサンカって奴がいるだろ?」

「あぁ、もしかして知り合い?」

「…そいつは、漆黒の髪色で、赤眼の能力持ち、四肢に包帯を巻いた奴か?」

「そうだけど、……知り合いか?」

「あぁ、知ってる。"暗黒天女"として暗部では有名だった。」

「そうなんだ。」

ふーんと、さして興味もなさげに天井を見つめるマモル。タイミングを見計らって鍾乳石のから水滴が頬にこぼれた。

「そうなんだ、って!?今ちょっと重要なこと言っただろ!?私が暗部出身のこととか、サンカの異名とか!」

「うん、そうだな。」

お前…と、未だ呑気な態度のマモルに呆れるサキ。ため息を付くと、サキも上へ顔を動かす。

「サンカは…いや、赤眼を手元に置いていると言うことは、その一個人で大体規模の戦力を持っているのも等しいんだぞ。」

「そうなのか…」

「あぁ、異種眼の持ち主のなかでも、赤眼は己の肉体の限界を越えて行使する暴力の権現みたいなものだ。」

「うん、知ってる。」

それ故に、彼女たちの役割は必然的に暗殺や人体実験などの、所謂闇の部分に限れるようになってしまうのだった。

「でも、それでもさ。三花は三花で、咲は咲だぞ?」

「…。(そうだった。こいつはこう言う考えをする奴だった…)」

なら、私にも考えがある。静かに立ち上がり、ゆっくりと振り返る。

 水音と背中の感触の変化から、サキの動きを知ったマモル。反射的に首は動く。視界に裸体が写る前に、両頬に手を当てられる。

「な…ど、どうした?」

顔を見ることで確信したサキ。マモルは全く理解していなかった。赤眼という戦力を持っていることへの危険性を。

「そんな、己の危険もわからないような奴には教えてやる。女らしくなれと言われた私がどうなるか、後悔させてやる。」

舌を這わせ、唇を潤す。それは威嚇にも似た警告だった。

「………。」

「な、なんか言えよ。」

「じゃぁ、一言だけ。"ありがとうな"。」

「……。(……くそっ。お見通しかよ。)」

馬鹿馬鹿しい。静かにマモルの両頬から手を離し、振り返るサキ。

 マモルは理解した風に眼を閉じた。これまでのサキの表情の底にある演技臭さと、そして、不馴れな妖艶さでもごまかせない手の震え。ここで狼狽えるマモルではなかった。そして肝に銘じる。サンカを手元に置くということの危険性を。

「本当は、お前には私の団にはいって、私と共に移動しながらの生活を望んでたんだ。そうすれば、今まで通り家族で暮らせるだろ。」

「うん。そうかもな。それも言いかもな。……でも、それだと、双子を守れないんだよ。」

「ん?…あぁ、(びゃく)から聞いてるよ。自慢の妹なんだってな。」

「あぁ、多分相談すれば二人とも付いてきてくれる。でも、それだとあいつらの帰る家は守れないだろ?」

 マモルの愛する双子の姉妹である琴音と心音は過去に一度、帰る家を失っている。それは黒騎士団の子供たちも同じであろうが、それでも彼らと違い、姉妹にはマモルたちの暮らす家という帰るべき場所を得ていた。休みにはこちらに顔を出す無邪気な笑顔を、マモルは家の内装と共に思い出す。誰に貸すでもなく、そこを守るのがマモルの使命のひとつとなっていた。

「だから、出ていくことはできない。いまは双子だけじゃなく、それこそ三花や快人が、ハカセがいる。守りきるよ、俺は。」

誓える。家族を、そして自身を、守りきると。

「そっか、頭でっかちめ。」

「そうだな。その辺はハカセにも言われたよ。」

          ★

 脱衣所にて手早く水滴を拭ったマモル。カーテンの役割を果たす布越しに話し掛ける。

「そう言えば、三花には挨拶するのか?聞いた感じ、知り合いだろ?」

「いや、挨拶はしないでおく。相手は私のことは、知らないだろうしな。」

「…?」

「悪い。暗部でのことは、師匠のこと以外思い出したくないんだ。」

「師匠?がいるのか?」

布越しに首肯して見せた。浴槽の縁に胸を預け、顎を乗せる。

「あぁ、私に生きる術と、生活の色んなことを教えてくれた人だ。」

「そっか。」

服に頭を通しながら。サキの落ち着いたような、どこか嬉しそうな声に耳を傾ける。

「記憶も朧気な位小さい時から育ててもらっていた……思い返せば、異性に裸を見られるのは、あのときが最後だったなあ。」

後半へ行くにつれ、言葉に怒気が加算されていた。今現在布越しでは、鋭いさっきのある視線がマモルへと向けられていた。

「す、すまん。俺は記憶力はほぼないから、そのうち……わす……れ……」

言葉にすると、霧が晴れるように鮮明にサキの裸体が浮かんでくる。

「忘れるんだよなぁ!?ちゃんと忘れるよなぁ!?」

カーテンをずらし、サキは体にタオルを巻いた状態で勢いよく出てきた。

「この状態は恥ずかしくねえからいいんだよ。」

「それもどうかと思うがな…?」

マモルがそそくさと脱衣所を出ることで、今度はサキが着替えることになった。

           ★

 始めてあったときと同様の槍兵装備を身に纏い出てきたサキ。よし!と気合いをひとつ込め、始めてあったとき同様の団長然とした落ち着き払った態度でようやく洞窟を出ることになった。

「私はまだ、人を導く団の長としても未熟だ。だからもう暫くはこの"団長の真似事"で人を導く。…でも、たまにはお前に相談するよ。一人では悩まない。」

「おう!いつでも歓迎だ!」

机の上に二人が作った料理が食べてくれよ!とマモルは手を振りつつ、洞窟から離れる。

 机にはプレートの上に二つの加熱式弁当箱がおいてあった。

 ヒモを引き、蓋をあけ、中の物を口にいれる。

「………うまい。」

 マモルが緊急事態はありつつもなんとか配達を終えもどってくると、既に配膳は終わっていた。

 それどころか、何故かサンカは和気あいあいと女性団員の修繕部隊に混ざり器用に裁縫を披露している。何故かアカリは簡易的に作った机に座る子供団員に勉強をおしえている。どちらも部外者という浮いた雰囲気はなく、すっかり団に馴染んでいた。

「アカリ…本当に教えるのうまいよな。」

机の上にある課題は、子供の年齢と成長速度に合わせた一人一人のレベルにあったものだった。

『わ!守様!おかえりなさい。はい。子供に教えるの楽しいですが、この子達の思考は少し偏りがありますね。厳密には黒茨咲という方の教えが教育の端にありますね。私は出来れば、一から教えて見るのが理想ですね。』

「ほーん。…叶うと良いな、それ!」

『はい!』

「サンカは、手先もなかなか器用だよな!」

針を通す流れがはやく、縫い目も一定。機械的なまでの完成度だった。

「あ、守さん、あぁ……いいえ、私は裁縫と料理くらいしかできないですよ?」

「そうか?」

「はい。何せ裁縫も料理も、人を解剖して覚えたので。」

「ほーん。そうなのか。」

少し遠くにて、机でアカリから出された課題に取り組む子供の何人かが黒髪のお姉さん…こわい?などと震えていた。

          ★

 それから3日。特に大きな事件は起きず過ぎていった。依頼をこなしつつ、サキとハジメと度々メール連絡をしながらマモルは過ごす。サキとアカリはできるだけ下に降り交流を深め、時々カイトもアカリの授業に混ざりながら勉強会に参加した(カイトは依頼をこなしていたので周りと差はある)。食材を使ったパーティは1日一回は行われ、その度にマモル一行も駆り出され、付き合わされることになった。マモルにはとって気がかりだったサンカとサキの絡みは残念ながら叶うことはなかった。

「あ、もしもし?ハカセ?お疲れさま!」

黒騎士団とマモル一行との交流が深まる中、突然電話は掛かってきた。夕日が沈みかけた19時を7分過ぎての事だった。

『マモルン!悪いんだけどッ!ある程度の材料やパーツもって、皆と一緒に今から言う場所来て!!』

「え?」

それはマモルからしても珍しく、ハカセの焦りが伺える内容だった。


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