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破壊機械~白銀の四肢と世界の記憶~  作者: 祭 竜之介
黒騎士団篇
41/48

【非現実能力《チート・アビリティ》】1

 一面赤、赤、赤、赤。しかし空は灰か厚すぎる雲なのか真っ黒になっていた。遠くのほうでは火山が幾度も噴火している。マモルとしてはなぜか翼竜が飛んでいる仕様なのは追及しないでおきたい。

 地を染める血のような赤い地面、しかしその全てがそうではなく割れた地面から垣間見えるのは地を赤く染めるに足る紅い溶岩。それは橙色のようにもなっており、輝いている。熱量も容赦なく、立つ二人の体温を急激に温めていく。

 滴る両者の汗。ヘルムの下に笑い顔を作りつつ、サキは3日前のことを思い出す。

          ★

 鼻歌を歌いながら、団員の依頼達成報告を待つサキ。そこに来た通知は珍しく――――いや、同盟を組んで初となる赤の団・火炎団(フレイムレッド)のコウエンからのものだった。

「よう。こうして個人通話は初めてだな。赤囲?」

『ああ、俺様は正直、あんまり話したくはないがな』

「ん?なぜ?」

『………私怨』

子供か!?

 言わんとすることは分からないでもなかった。彼らはついこの前まで戦争をしていたのだ。それを白の計らいで無理やり停戦させられた。サキもそうだが、たまったものじゃない。それを思えば、私怨というのはどの団も少なからずあるだろう。こうまで堂々と、露骨に暴露する人間もいないが。

「それより要件を言えよ。わたしらも暇じゃねー。」

『そうかよ。まあ、言ってみるだけ言うけどよ。』

受話器の奥で何度も深呼吸をする音がした。

(いや、そこまでわたしらが嫌いかよ…まあ、負け方が負け方だったしな。わたしらからしたら勝ち方か。)

 やがて深呼吸は止み、受話器の向こうで『よし!』と決意を決めた声がした。

『お前らは、その内シロの計らいで守に会うだろ。』

「ん?ああ、まあな。そいつに会いたがってるやつもいるし、多分、シロの口ぶりからして会わせてくれるんだろうよ。」

2か月前にあった四色組の臨時会議。会場は主に白の領地内で行われるため、各地に居た団長達は急いで集まったが、唯一コウエンは「めんどいから」という理由でボーガンを派遣していた。その会議の内容の中、サキはビャクヤに質問をした。「お前らの領地内にマモルがいるだろ」と。

『その会議ではなんでマモルを名指しだったのか未だに理由は分からないが。もし会うとしたらあいつが興味を持ったらでいいが、一度お前は闘ってみればいいぞ。』

「?なぜ?」

『そこであいつの“強さ”を知れる。多分お前も、驚くぞ。』

「…。」

最後、「驚くぞ」という口調。顔が見れる機能にしていたら、おそらくは笑顔があっただろう。それくらいわかりやすく明るい声になった。自慢げ、というにふさわしい。

 その声からも分かる喜々とした態度、そこでサキはこう考える。果たしてそのマモルという人物は、この自意識の塊のようなコウエンをここまで変えるほどの人物なのだろうか?少なくとも、サキと戦った時のコウエンは負けたとしてもそんな風に笑顔になれるほど、爽やかな負けは味わっていなかっただろう。

 だから、聞く。

「……そいつは、強かったか?」

『ああ、強かった。完膚なきまでに、負けた。』

「そうか…。」

そうか、そうかとしか言えなかった。負けた事態はどうであれ、コウエンのその時感じた感情を読み取ることはできなかったから。

『多分あいつは、親の仇でも笑顔で救おうとする。赤の他人ですら涙をほっとけないだろう。』

「…。」

そんな人間、いるのだろうか?サキは疑問に思うが、ここで質問をしても意味がない。

『だから、お前も戦うなら覚悟しとけよ。あいつの良いところは他人の内側が分かるとこだが、それが逆に悪いところでもあるからな。』

「…。かも、な、」

一応、覚悟しておこう。コウエンの心をも変えることができる、そんな“危険人物”がいることに。

          ★

「さあ!やろうか!!」

ヘルムの下の目を光らせ、真っすぐにマモルを見る。視線の先のマモルは―――――半目でこちらを睨んでいた。

「えぇ…えええ…」

いかにも面倒くさそう、と言いたげに唸っていた。

「な、なんだよ。」

そんな目をされるいわれはないぞ…。

「なんか…なあ」

いかにも乗り気じゃない様子のマモル。足元の小石を溶岩の中に向けて蹴り、噴きあがる様子をしゃがんで観察している。

「おい…おい?なんで…そんな態度?」

「なんかさあ、お前さあ…」

煮え切らないマモル。ブツブツ言っている間にも目線はサキの服装に目を向けている。

 鳥のくちばしを模したような真っ黒な鉄製ヘルム。同色の鉤爪のような指先にガントレット、膝と足全体にも薄くはあるが鎧が装備されてる。胸、腰にかけても鎧はあるし、大した装飾は見られない。堅実な槍兵装備だ。

「……まあ、いいか。本当はこの3日以内にもう少し知る予定だったが…」

つぶやく、独り言のように。まるでサキには目もくれず、自分の世界に入っているようだ。

「?」

「おい。咲」

ようやく口を開いたが、そこには問い詰めるような、責めるような視線を孕んでいた。

「お、おう」

なに緊張してんだ!?つーかこの改めて言います感は何だ!?サキは頬を強張らせる。

「お前、あの部屋とかは自分の部屋ってことでいいのか?」

唐突な日常会話のような質問。マモルの意図が全く分からなかった。

「あ、ああ。そうだぞ。あそこで普段寝泊まりしている。」

「そっか…。」

残念さを隠そうとしない。部屋には、壁一面に武器が掛けられていた。職業柄観察を得意とするマモルだからわかったが、壁にはハジメの使うマモルの製作した専用弾倉もあった。あそこはまるで武器庫が主な役割であり、そのついでにサキが使っているような場所だった。要は生活感がまるでなかったのだ。その部屋を見たとき、団員やハジメが口にしていた「心配事」の意味が理解できた気がした。

「…部屋もそうだったが、その装備…全くお前らしさがない!」

「!」

ここへきて、初めてサキの顔色が変わった。目を見開き、冷や汗を流す。

 今現在サキが着ている装備にしても、彼女が住んでいる部屋にしてもそうだ。装備は堅実な槍兵装備―――槍兵として軽量、シンプルかつ最速の動きを可能にした装備だった。しかし、それらにはまるで女の子らしさなどなく、彼女(サキ)らしさなど――臨むべくもなかった。

『あいつの良いところは他人の内側が分かるとこだが、それが逆に悪いところでもあるからな。』

コウエンがそう言っていたのを思い出したサキ。そして考える。(コウエンは…果たして何を見透かされた!?)のか、と。

 不愉快な話だが、マモルのその一言は確信を突いていた。そしてサキが一番気にしており、団員がオブラートに包んでいたことでもあった。それを初対面の彼が言う、これが皮肉でなくてなんという?

「…わたしらしさ、ね。」

いくらでも考えたことだ。どうすれば自分らしくいられるのか。そもそも自分らしいというのは何だ?

「…いくら考えても、見つかんねーんだよ…。」

だから。だからだからだからだからだからだからだからだからだからだから…!!

「戦ってわからせてくれよ!!」

2丁の拳銃を召還。照準を合わせ、引き金を引く。―――――――――――()のように。

          ★

 既に首元にゴーグルを召還していたマモル。すぐに目元に移すと、義足に向かってきた弾を避けるために後方へ飛び、一回転。背中の筋肉痛が響く。

「イテテ。俺、あんまし闘いに慣れてないんだけど?」

「それでも避けれるだけの実力あるじゃねーか。なら、問題ないだろーが!」

いや、あるだろう。本業はカガクシャだっての!?

「…まあいいや。(よかねーけど)とにかく、また叩けばいいんだな!!」

言うが早いか、地を蹴る。二、三度蹴る間に距離は縮まったがその間、マモルはある装備を召還していた。

 そして、目で追える速さで近づいてきたマモルに対し、サキの方は動揺していなかった。

「ま、やっぱ近づくよな!」

お世辞にもマモルが遠距離戦が得意な人物には見えなかったサキ。予想通りだと頬が上がる。

 そして、懐にまで入って来たマモルに対し次に行った行動は、地雷の召還だった。

「!!(これって!)」

後方に跳躍。初めの位置よりもさらに2mほど距離を開ける。何とか地雷が感知する前に、事なきを得る。

「流石に対処は完璧か、やるじゃねえか!」

素直な称賛を送るサキ。そこにいるのは嬉しそうに歯を見せる悪戯好きの団長だった。

「ああ、“見たことあれば”な。なにせ初戦闘の時の攻撃のされ方だ、さすがに記憶に新しいな。」

これは、今までのこの一連の運びはコウエンの戦略と合致していた。流石はコウエンと同じ団長の一角というべきか、多数武器召還の速さはすさまじかった。しかしそれよりマモルが気になったのは、彼女の性格だった。

(白夜の手紙呼んだときは、ただのパフォーマンスだと思ってたが…さっきまでの態度は…)

 振り返る。「それでも避けれるだけの実力あるじゃねーか。なら、問題ないだろーが!」「ま、やっぱ近づくよな!」…うん、似せてんな。マモルはそう結論づけた。戦闘開始から背景に垣間見えるのは荒々しく大げさな激怒を見せるコウエンの戦闘形態(バトルスタイル)だった。

 サキの特技を身に染みてわかったマモル。それを察してか、彼女は小さく笑い声を出す。

「ふふん。んで、お前は手足になに着けてんだ?」

指摘と同時に、指をさすサキ。指の先は、マモルの四肢をさしていた。そこにはマモルが走り出すと同時に召還していた義肢の手首足首にはめられた黒い金属の輪があった。

「ん?ああこれ。ハンデ、というか規制?」

「なぜに疑問形だ?」

規制というのは間違いではない。マモルのはめている輪は見た目以上に重い。今付けている四つの金属パーツだけでマモル自身の体重の半分を占めている。

 単純な重力まで再現する破壊戦争の世界ではそれは文字通り枷になっている。

「ほう。舐めている…わけじゃないようだな。」

マモル本人の目は至って真剣。技量を測るような余裕も見られない。今は互いに緊張感を持ちながら底を探りあっているといった状況だ。が、そこで解せないのがマモルの枷だ。探るうえでその装備は邪魔にしかならない。

「これにはまあ、俺の訓練がてらって感じだ、意味はあんまりないから気にしないでくれ。」

「そうかよ。じゃあ、わたしは少し本気出すわ。」

マモルが枷を科すのに対しこちらはあくまで容赦はしない、そう言う意味も込めて、二丁拳銃を解いたサキ。代わりに手のひらを背後にもっていくと、今度は瞬時に黒一色のランスを召還した。目線も態度も何もかもが真剣だ。

「いいか。いろんな武器を持ち出すのは団長の中じゃあせいぜい紅炎くらいだ。それ以外の団長は大体が専用の何かを持っている。わたしはランスがそうだ。」

「ほう。」

「じゃ、いくぜ!」

獲物を狙う鷹のような視線、戦闘開始はここからだった。

          ★

 背後、腰回り、そして体側右側を縦方向に一回ずつ回した後、左手で長い柄の中間を持ち、構える。ここまでを高速で行い、眼光と意識をマモルへと向ける。

「お、おお。凄い槍さばきだが…意味はあるのか?」

いつだったか、白城団主催に異国間パーティーに参加されたときそういうパフォーマンスを見ているマモル。確かに動きは派手だが、戦闘においてはあまり意味のある行為には見えない、そう感じている。それは槍を操るサキも同じようで、本人も首をひねっている。

「さあな。わたしにそういうことを教えてくれる師匠が居たわけじゃないし、な。わたしが戦って強かった奴の見様見真似だよ。」

「へえ…(ここでも他人の真似か…。)」

「もっとも、この武器はわたしらのカガク班がわたし専用に作ってくれたもんでな。その分エグくなってるぜ!」

「エグく!?」

やけに物騒な言い回しだった。しかし、直後にその言葉が的を射ていることを理解する。

「ああ!こんな感じだッ!」

ランスの柄を両手に持ち、周りを大回りで走りだすマモルに照準を合わせる。同時にサキは右目に照準器(スカウター)を召還、それが赤外線通信によりランスの機能の一部に命令を送る。

 ランスの先端が僅かに展開、三つに裂くように開くと電子音とともに光が集束。それがどういった攻撃で、何をするのか想像できた。

「!ビーム兵器かよ!?」

「そういうことだ!シュート!!」

 ビーム兵器は、何も珍しいものではない。少なくともカガク時代どころか、2000年代前半には既に原型は整っていた。それが2200年になる頃にはエリアアメリカで一家にビーム拳銃一丁の流れが整いつつあった。ビームの種類は何種類かある。今回のサキの放ったのは周辺の空気中に漂う電子を集め、一気に放出。空気砲の光速版というイメージが適切な、僅かな光のみ目視できるというものだ。

「うお!!」

右から襲う光の集束砲。それを膝のみを残し、そこから上を限界まで逸らせた状態で避ける様は、背が地面から僅か10cmほどしか離れていないパントマイムのようになるマモルだった。

 光はその後、真っすぐに数キロ離れた火山に向かっていき、数秒後に大爆炎をマモルたちに届かせるが、マモルはその直前まで必死に上半身を起こしていた。

「おお!今の避けれるのな!」

後日背筋が筋肉痛になるのを覚悟しつつ、背を向けると、真っ赤な半円を描いた火山があった。

「ああ。構造を見て、それが集束砲だと理解できた。その場合、弾は直線にしか進めないのが鉄則だ。」

「正解だ。つまりそれを避けるのは、タイミングさえ分かってれば簡単だってことだ。」

ま、“シュート”ってヒント出してたしな。

 あくまで音声認識にしていたためしょうがないことだったが、しかしサキの合図から放たれているタイミングを見切れても、届くまではコンマ8秒の差しかない。それでもあの体制で動けたのはなぜか、サキには理解できなかったはずだ。

 が、タネはある。マモルは正確にはサキの合図である「シュート」という発音を見切っていたのではなく、集束砲は電子集束と放出の切り替えまでにコンマ2秒ほどの差が生じる。結果、マモルがそれを見切りさらに届くまでには1秒ほど時間がある。慣性に身を任せあとは背筋と両義足のバランス操作を誤らなければ、何度サキが撃ってきても当たらない自信があった。

(つっても、これには俺が高速で動いているのが前提になるし、なにより今当たらなかったものを何発も撃つとは……!)

考えている間にも、サキは次の準備をしていた。正確にはスカウターを外し、ランスの柄と三角錐の境にあるダイヤルを回す。途端にランスの裂け目は広がり、三枚の花びらのように開かれると、中から六個の大口径と一八個の小口径を持つ銃口が出現、それぞれがビームのための集束を開始していた。

「………え?」

これには驚きの声が上がるマモル。

 三枚の内の二つを固定器代わりに地面に突き立てる。そうして上空を向く一本の槍の部品の隣で不敵に笑うのは、先ほどまで「お前らしくない」という言葉に動揺していた少女だ。

「これ喰らって生きてたら、少しは夜のことも考えてやるよ。」

「夜って何のこと「シュート!!」だああああああああああああああああああ!!」

放たれた計24のビーム。走っていないマモルにはこれから全力で義肢を(フル)稼働させて避けなければならない。そのためには―――――マモルは、笑った。

 数秒後。攻撃数は増えたが集束量が落ちたために射程も伸びていなかったビームは、したがってマモルの居るはずの位置で爆散した。地面から噴き出す溶岩を巻き込んだ爆散、例えビームが当たっていなかったとしてもそちらで人体に影響を及ばすようになっていた。

「……終わりか?意外と呆気ねーな。」

直後

「だからさあ…。」

「!!」

「まずはさあ、その口調から直してみないか?なんか無理してる感があっていただけないんだか!?」

声は、サキの右側真横から聞こえた。

「ふぅ~~。」

深呼吸をしながら、頬を流れる汗を服で拭う。義肢の枷は全て外れていた。その上で、マモルは全力の超加速。背中に多少の岩石が当たったようで、焼け焦げた煙が背後から漂う。

「避けたのか…今の?」

「あぁ…。イッテ…。背中アツッ!」

これもいいか、とマモルは上半身の服を解く。呼吸はいよいよ整い、マモルも準備万端だ。

「さあてと、じゃあ、反撃します―――――よ!」

走った。サキからすれば、瞬きの間に目の前に入って来た感覚になる。

「んな!」

異常なほどの速度はコウエンから聞き及んでいた。が、いざ体感してみると確かにこれは人類では敵わないと実感できた。

「そお――りゃ!!」

胸鎧の隙間を突くように、左わき腹から義手が浸入。腰のベルトにもう片方の義手を入れる「ヒニャッ!?」などと不覚にも声が漏れるが、そんなことを気にする前にサキは投げ飛ばされた。上空10m。鎧が重い分かかる重圧には運が良ければ気絶の分岐点、下手をしたら全身に激痛が走ったまましばらく最悪の気分を味わうことになる。

 果たして、その後のサキは――――――。

          ★

 先ほどとは立ち位置が逆になり、煙の中を観察する立場になったマモル。

 やがて、真っ黒な煙の中から僅かに影を確認できる。ヨロヨロとではあるが少しづつ立ち上がるサキ。

「お、生きてたか。」

それにしても。

「ちょっとは可愛い声も出せるじゃん。ま、いいかその調子その調子!」

「……。」

おやおや。無言ですか。

 投げ飛ばされても手放さなかったランスを横に振り、煙を払うサキ。ヘルムの下は、口をつむぎ耳から鼻にかけてを真っ赤にした羞恥の表情になっていた。それが何を意味するのか、マモルには察しがついていた。

「わ、悪かったよ。ちょっとデリカシーなかった」

投げ飛ばしやすそうな場所をすぐに見つける必要があったため、相手の不快感を考慮していなかった。そのため、わずかな隙間があったのを咄嗟に見切るしかなかった。

「お前も女の子だよな。そりゃ恥ずかしい場所もあるだろうぜ。」

「!」

しかし、フォローのために言ったその一言が、ついにサキの癇に障った。

(……なんだこれ?かんっぜんに手加減されたよなあ。痛い、きつい、だるい、気持ち悪い……楽しい?いや、そんなわけないわな。)

自身でも不思議でたまらならないのだが、顔は笑っている。幸いヘルムで見えない角度だろうから、マモルに悟られることは無いだろう。その上で思う。

(んだよこれ、楽しいじゃねーか。)

全く勝てない。勝てる構図が浮かばない―――――――今のままでは。

「いーぜ。気に入ったよ。使う、使うぜ。チート…非現実能力を!!」

「ち、チート…」

半歩、後方に義足を動かす。どこか気圧されるような圧を感じた。

「いくぜ!!」

ヘルムの隙間から僅かにその鋭い眼光が覗いた。

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