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白の物語  作者: 甘味しゃど
第五章 静寂 ???.
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第九節

 目の前に立つ、強大な力。

 身体が炎上しながらも、その立ち尽くす様はある種の強大な圧力になっていた。


 が。


 ボロッ……

「!?」

 シャドウが見たのは、ゾンビの体が崩れ始めていたところだった。

「……、」

 ゾンビは、もう動かない。

 体がボロボロと、崩れ始めていたのだ。

 きっと、これが奴の第二の生の最期なのだろう。


 ただ、シャドウは無様だとは思わなかった。

 自分たちに立ち向かい、挑みかかってくる雄姿は忘れることはない。


 彼には何か理由があったのだろうか、

 彼には何か目的があったのだろうか、

 その理由はもう問うこともできないだろう。


「……、」

「……シャドウ?」

「終わったよ」

「え、あ……」

 ルナも、その最期となるゾンビの姿を目にしていた。

 既に、腕も足もボロボロに崩れかけていた。

 きっと、その体にはもう魂は入っていないのだろう。

「……、」

 シャドウは、ただそれが、崩れ落ちるまで見ていた。

 敵だった、強敵だった。

 だが、彼はどんな敵にでもその戦う理由があると知っていた。現世で戦う者たちが、それぞれ抱える理由がある事を知っていた。

 だから、そんな彼らを侮辱することは、きっとしない。

 強くあり続け、その目的のために過去から築き上げた奴を侮辱せず、今はその最期を唯見届けよう、そう、彼は誓っていた。


 灰が残り、肉は消えた。

 長いような戦いが終わった。

 ただその結末は、劇的でも、感動的でもなく。


 ―――ただ、静かに終わったのだった。

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