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白の物語  作者: 甘味しゃど
第五章 静寂 ???.
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第四節

 バギィッ!!

 ゾンビが地面を踏みぬき、勢いよく走り出す。


 パンッ!  パンッ!  パンッ!

 それと同時に、乾いた音と共に銃弾が発射される。閃光の出来たその銃弾はどうやら魔術の類の弾丸らしく、青い閃光が敵を狙う。

 だが、相手は聖人だ。

 それもゾンビという難点もあった。

 例え銃弾を喰らっても痛みはなく、寸分減速を測れる程度だった。


 ガスッ!  ガスッ!

 と、ゾンビの体を削る。

 だがその勢いは留まる事なく彼女へと近づいていた。

「十分だ」

 落下する。

 シャドウの体が、ゾンビめがけてその上空から落下してきたのだ。

「―――ッッ!?」

 ナイフを深々と胴体に刺し込み、その勢いのまま地面へと押し潰す。

 だが、グオンッとゾンビの腕がシャドウの襟元を掴むと、上下逆転させるかのように半回転を入れて彼を地面に叩きつけた。


 ドゴォッ!!

「ガハッ!?」

 ゾンビの攻撃は止まない。

 振り上げた拳の腕には、筋肉が再生しつつあった。

 その膨張した筋肉と共に、振りかざされた腕が彼の腹部めがけて炸裂した。


 ドゴォォォォンッッ!!

 ……静まり返った。

 銀霊シャドウに、蟹股でのしかかっていたゾンビだったが、ルナが直後に見たものはゾンビの下にはシャドウがおらず、ただ大きな穴が空いているに過ぎなかった。

「……ッッ!!?」

 グワリッと、瞳孔が開くほどに彼女は大きく目を見開いていた。

 どうなったか解らなかったが、その状況に少しづつ脳が追いつき始める。

 そして、放った解答は呆気なくも非情なものであった。

(……ケタ違い…!!)

 力が圧倒的であった。

 速さが圧倒的であった。

 その存在が、余りにも規格外であった。


 希望も光もない。

 ここから始まるのは、絶望的な悲劇の幕開けだと……そう思わざる得なかった。

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