表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/17

第二話(光と暗闇のなかで)

アズミと出会ったその夜、ぼくは部屋でパソコンの前にいた。


《ギター大好き!!の集まり》


ぼくは、そのチャットルームの常連で、そこでみんなとギターを演奏したり、近況をログで話し合ったりしていた。

『つぎ、わたしが弾いてもいい?(´・ω・)ノ』

『ドゾー』

『コージと一緒に弾くよ?』

『おkですー』

ハンドルネーム:saya_xxxとkoji2000は、ここでカップルになり、一緒に住んでいる。

二人は、サヤとコージと呼ばれていた。

『888888』

演奏が終わると、みんなで拍手した。

『つぎ、誰?』

『ぼく、いいですかー?』とkenta404(ケンタ)が書き込んでくる。

ケンタがラブソングを弾き語り始めたので、

『彼氏ほしーよ〜・゜(*つд<*)゜・。』とmilk_hime701(ミルク)が泣いた。


そのとき、サヤがぼくにそっとプライベートメッセージを送ってきた。

『亮平。ミルクが誘ってるよ』

『なんだよ、それー』

『ミルク、こないだ亮平に会ってみたいって言ってたから』

『あいつ、誰にでもそう言うんじゃないか?』

『それはないでしょ』

『そうかな』

『でも、オフ会したら絶対来るよ、あの子』

『オフの予定あるの?』

『ないけどwww』

サヤがにやっと笑うのが想像できた。

『でもさ、亮平の胸の痛み、カノジョできたら消えるかもよ?』


ぼくは、アズミのことを思ってドキッとした。


『彼女がいるいないは関係ないってば;;』

『でもモトカノと別れたときからなんでしょ?その痛み』

『モトカノのことはもう忘れた』

『チャンスなのにー』

『チャンスじゃないよ』

『どして?会えば気が変わるかもよ?』


いや、いまのぼくにそれはない。


『サヤとコージみたいに、誰もが上手くいくわけじゃないだろ』

『イヤイヤ。。それがね(´;ω・`)』

『なんかあるの?』

『コージ、誰かと浮気してるって噂あんの。。』

『まさかー。嘘だろ』

『ならいいケド』


そのとき、ケンタの弾き語りが終わり、みんなで8888と拍手した。

『いいね〜』

『+。Σd(・∀・)゜+。・.。*イイ☆』

『アリガト━━(@゜∇゜@)━━━゜♪゜』

次々ログが流れていく。

『よかったよー>ケンタ』とぼくも書き込んだ。

ラブソング…、カノジョか…。

アズミとは、また病院でばったり会えるんだろうか。


『――さて、ぼくもがんばって練習しよっと』

『あれ?落ちるんですか>亮平』

『うん、明日早いからな』

ぼくは、嘘をついた。

さっきから、胸の痛みが、ズキズキとひどくなり始めていたのだ。


***


ぼくは、胸の痛みと格闘していた。

ズキンズキンズキン…。

苦しい。誰か、助けてくれ。

でも、誰もぼくの苦しみをわかってくれる人なんていない。

ぼくは、テーブルにあったRを飲んだ。

これだけが、ぼくの痛みを2・3時間癒してくれる薬だった。


「――薬物依存ってやつ?」


アズミの言葉が思い出される。そうかも知れない。

そのとき、深夜だというのに、ケータイが鳴った。

「R、足りてます?余ってますけど…」

「いくら?」

「10粒8000円ではどうですか〜?」

電話の相手は、見も知らぬ女の子だ。精神科関係のチャットルームで偶然知り合った。

「高いな」

「え〜、そうですか〜?」

「いま足りてるから要らないよ」

「じゃ、また今度ですねー」

電話の相手は用がすむとすぐ切った。希薄な関係だ…。

ぼくは、寝返りを打ちつつ、いろんなことを考えた。

将来のこと。

ぼくは本来、IT関連企業に勤めていたが、それもいまは就労できない状態だった。

さらに一錠睡眠薬を飲んで、何度も寝返りを打ったあげく、ぼくはついに近所のコンビニへ行くことにした。

「眠れないときは、少し動いた方がいいんだ…」

コンビニへ着くと、ぼくは慣れた足取りで、雑誌コーナーへ向かった。


すると、そこには――、

奇跡のように、

アズミの姿があった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ