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小学生の日常  作者: 里雪怜菜
第一章、一学期。
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1、新学期。


新学期。新しいクラス、新しい教室、新しい友達、新しい教科書・・・新しい生活が始まり、心おどる時。・・・が、普通だと思う。でも、私にとっては全く楽しくない・・・どころか嫌だとさえおもっている。

 その理由は・・・

「うぅ・・・」

 長くもなくだからといって短くもない校長先生の話が終わり、学年ごとに集まる。その後、担任の先生とそのクラスが言われて、その先生が一人づつ生徒の名前を読んでいく。そして、その後教室にむかう。

 そこまではいい。

 問題はその後。先生が出席番号の早い人を連れて新しい教科書を取りに行っているその間。

「はぁ・・・。」

 周りに聞こえないようにため息をつく。そして再び周りを見渡して顔を下に向ける。

 そう、私はクラスが変わるごとに机を男子に囲まれる。何もしていないのに、怖い男子に机を囲まれるので、ただ顔を下に向けるしかない。

「ねえねえ、つきみざとさん。」

 そして、なぜか声をかけられる。その上、名前を間違えられる。

「やまなしです・・・。」

 毎年のことながら、そんなに私の名前が珍しいのかな。出席番号が最後のほうなのに『つきみざと』はおかしいと思うから私の周りの周りを囲むのかな・・・でも、どうせ少ししたら先生が出席をとるから、その時に分かるのに・・・。

 ちなみにこの少女の姓は地球の衛生の月に、東方見聞録の見に里長の里で月見里(やまなし)。たしかに、珍しい名前である。しかし、男子はこの名前の珍しさに群がってくるのではない。そもそも名前の読み方を知りたいからであれば、男子だけというのもおかしい。

 実はこの小学生は子役顔負けの美少女で、もちろん男子は、この少女がかわいいから声をかけてるのであって決して名字が珍しいからではない。

しかし、この少女は四年間そのことに全く気づいてない。

ついでに言うと、月見里風の名前が呼ばれ、この少女が呼ばれたクラス・・・一組の先生のところに言った瞬間一組男子が喜び、他のクラスの男子が落ち込み、一部を除いた女子が露骨に顔をしかめたのは言うまでもない。

 閑話休題。

「はーい、どいてどいて~。」

 男子机包囲網の一角が崩れる。

「ほら、じゃま男子。さっさとどっかいけ。」

 そして、そこから、一人の女子が周りの男子を言葉通りけちらす。

「あっき~。」

 親友の姿を見て、ようやく安心し、顔を上げる。

「よっす。また同じクラスだな。」

 彼女の名前は鶴峰秋、通称『あっき~』。一年生からずっと同じクラスの大親友で、いつも怖い男子から守ってくれる心強い人。

 ちなみに、月見里がその美貌によって一部の女子に嫌われているのに対し、秋峰もやはりその性格で一部の女子に嫌われている。

 閑話休題。

「てかさ、私が同じクラスだってわかってるんだからさ、すぐ来ればいいのに。」

 あっき~は、私と身長もほとんど変わらないのに、なぜか喧嘩がすっごく強く、男子複数人を相手にして勝ったこともある。だから、あっき~のところに行けば男子はよってこない・・・とは思うけど、

「いつも行こうと思うんだけど・・・その前によってくるんだよ。」

「ったく、あいつらめ。一発ぶちのめしてやろうか。」

「いや・・・そこまでしなくていいよ。」

 未だ遠まきにジロジロ見てくる男子に本当に殴りかかろうとするあっきーを一生懸命止める。

 そもそも、さっき思いっきり蹴飛ばしてたし。

「ふーん・・・。それにしても、毎年も毎年すごいな。」

 あっき~がひとごとのように笑いながら言う。まぁ、たしかに・・・他人事だけどさ。

「うん・・・けど、この名字ってそんなに珍しいのかな。」

 一瞬あっきーの顔が固まる・・・

「うーん。まぁ・・・私も風ちゃん以外でこの名前聞いたことないからそうなのかもね。」

・・・と思ったけどどうやら気のせいだったらしい。

「・・・鈍感・・・」

「ん?なんかいった?。」

 あっき~が何か言ったような気がしたので聞いてみる。

「いや・・・別に。」

 また私の聞き間違いだったらしい。

 「それにしても・・・なんでこう、長い間。自分のことが分からいのかなぁ・・・。」と鶴峰が、ぼっそとつぶやいたことを聞いた人は誰もいなかった。

 そして、また。「月見里さん・・・」と、後ろ方の席からじっと見つめている男子がいたことにも、誰も気づいていなかった。



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