4日目
4日目。今日は姉貴が来ている。
「紹介するよ。境姉さんだ」
「初めまして、柊沢 楓です」
「・・・・・・」
「あ、悪い。姉さん、無口なんだ」
「絶境」
俺は疑問符を浮かべた。
「お姉さんの名前、糸色 境だから絶境。因みに望くんは絶望ね」
ピキッ!─姉さんの堪忍袋の緒が切れた。
「柊沢 楓とか言ったかしら?喧嘩売ってんのかっ、ああ!?」
そう言って姉さんは楓の胸倉を掴んだ。
「あの、放して下さい」
「ウッセーッ、ぶっ殺すぞ!」
絶境が絶叫した。
「まあ、怖い」
「姉さん、やめてくれないか?」
しかし姉貴は言う事を聞かない。
「てか放さないと殺すよ?」
「貴様に何が出来る?言っておくが、私は・・・!?」
姉貴の腹に楓の蹴りが決まった。
「痛い・・・」
そう言って、姉貴は楓を放り投げて泣き出した。
「泣かした、楓が姉さん泣かした」
「なっ、何この罪悪感・・・?」
「いくら楓でも姉さん泣かすのは許せない!」
怒った俺は楓に喧嘩を吹っ掛けた。が、返り討ちにされ、ボロボロに成ってしまった。
「望くん、喧嘩する時はもっと冷静にならなきゃやられるだけだよ?」
しかし、ダメージの所為か、俺は返事が出来ない。俺は力を振り絞り、楓の下へ匍匐し、腕に掴まって立ち上がった。
「ま・・・だだ」
と、俺は楓の胸を掴んだ。刹那、楓は頬を赤く染め、全身の力が抜けて仰向けに倒れ、俺もその上に倒れ込んだ。
「のっ、望くん卑怯だよ!」
「相手の弱点を突くのが卑怯なのか?」
俺はそう言って揉み始めた。
「イヤッ、ヤメテ!降参するから!」
俺は楓の上から退いた。だがそれはこいつの作戦で、
「なんて言うと思ったか!?」
楓は俺の股間を蹴り飛ばした。
「うおぉーっ!」
俺は悲鳴をあげ、あそこを押さえた。
「痛っ、何しやがるんだ!?」
「相手の弱点突いて何が悪いのかしら?」
クソッ、やはり壁は超えられ無えのか!?
「望くん、痛い?」
「くっ、俺の敗けだ」
「やったあ、望くんに勝ったあ!」
「嬉しいか?」
「嬉しい。だって昨日は互角の勝負で引き分けに為っちゃったもん」
「そう言えばそうだったな・・・」
「それよりまだ痛いの?」
「痛い、痛いがこれは男にしか解らん」
「ふうん。体験してみようかな?」
「どうやって?」
「こうするの」
楓がそう言うと、肉体から彼女の魂──霊体が抜け出した。そしてそれは俺に近付き、俺の体と重なるが、直ぐに抜けて元の体に重なった。
「痛い、物凄く痛い。耐えられない」
楓はそう言って涙目に成る。
「今のは一体?」
「体外離脱・・・知らない?」
「幽体離脱か?」
「そうとも・・・言う・・・」
「どうでも良いが、言葉が途切れてるぞ?」
「痛いん・・・だよ」
そう言って股間を押さえる楓。
「憑依中に感じた刺激は・・・霊体に一時記憶され・・・肉体に入った時に・・・刺激として現れるの・・・。ごめん・・・こんなに痛いなんて・・・知らなかった・・・」
「大丈夫か?」
「無理・・・かも・・・」
楓は痛みに耐え切れず気絶した。
一方、姉貴は未だに泣いている。
残り3日




