2日目(後編)
映画館に到着すると、楓が観たがっていた実写版トラ○スフォー○ーのチケットを俺は購入した。席は最後列の真ん中。しかも隣同士だ。
「お時間は10:30からになっていますので遅れない様お願い致します」
受け付けのスタッフはそう言ってチケットを2枚渡した。現在10:00ジャスト。俺は傍らに設けられた席に座った。隣には楓が座っている。
「望くん、開演何時から?」
「10:30」
そう言って俺は携帯を取り出し、メールを開いた。
「楓、どうしたら良いかな?」
と、楓に画面を見せる俺。メッセージには後輩からの恋文が書かれている。
「付き合うの?」
「迷ってる。けど、お前が帰って来たんじゃ、断らないとな」
「何で断るの?言っとくけど私がいられるの1週間だけだからね」
「どう言う事だ?」
「この体ね、1週間したら返さなきゃいけないの。だからね、望くんとは日曜日までしか一緒にいられないの」
「あの世に戻るって事か!?嫌だよ俺そんなの!折角会えたってのに、また俺の前からいなくなるってのかよ!?」
「私も出来る事ならずっといたいよ?でも、決まりだから」
10:30。開演時間に成った。
「あ、始まるから入ろう?」
「う、うん・・・」
俺は席を立ち、チケットをスタッフに見せて上映室に入った。
上映時間は2時間。終了後、俺達は映画館を跡にし、近くの公園に向かった。
公園内は広く、平日の為か子どもの姿は見られない。俺達はそんな公園のベンチに腰掛けた。
「俺、楓と離れたくない。掟とか破れないのか?」
「無理。けど、方法が無い訳じゃないよ」
「えっ・・・どんな方法だ?」
「望くんが天界に来れば良いんだよ」
「それって俺が死ななきゃいけないんだろ?嫌だよ、それだけは」
「じゃあ無理」
「・・・・・・」
「そんな気にする事無いって。一週間、一週間あるんだよ?」
「それで慰めのつもりか?」
俺はそう言ってベンチを離れた。楓はまだ座っている。
「帰る」
俺は楓にそう言い残し、帰宅した。




