表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/12

2日目(前編)

 楓があの世から降りて来て2日目。今日も俺は楓の暴力嵐に遭っていた。

「人が風呂入ってるのに覗かないでよ!」

 楓の叫び声の後、俺は洗面所から爆音と共に吹っ飛んだ。

「痛!」

 俺は壁に背中をたたき付け、廊下に座り込む。

「全く、毎度毎度望くんは!」

 と、物凄い剣幕で拳をポキポキ鳴らしながら俺に近付いて来る楓。やばいよ俺!こんな彼女いてよく今まで生きて来れたな。って関心してる場合じゃねえっつーの!

「望くん、お願いだからジッとしててくれる?」

 楓はそう言って俺の胸倉を掴んで持ち上げた。

「落ち着け楓!あれは事故なんだ!」

「問答無用!」

 楓は拳を俺の腹に叩き込んだ。ドンッと鈍い音が家中に響いた。

「がはっ!」

 吐血する俺。

「今日と言う今日は絶対許さないんだからね!」

 と、楓は再び拳をぶち込んだ。

「がはっ!」

 再び吐血。そして三度、四度と幾度と無く楓の暴力は続いた。

「もうやめてくれ楓!」

「後100回!」

「何〜!」

ドン!

「がはっ!」

ドン!

「がはっ!」

 クソッ、楓目!何で戻って来たんだよ!?これじゃあ俺の命がいくつ有っても足りねえよ!

「望くん、よく頑張ったね。後残り5回だよ」

 ふう、後5回。もうそうんなに喰らってたか。

「99!」

ドン!

「99.1!」

 嘘!?

「99.2!」

ドン!

「99.3!」

ドン!

「99.4!」

ドン!

「99.5!」

ドン!

「99.6!」

ドン!

「99.7!」

ドン!

「99.8!」

 ふっ、もう直ぐこれも終わる!。

「99.9!」

ドン!

「トドメの100よ!」

 楓は今までのよりビッグな拳をプレゼントしてくれた。

「がはっ!」

 俺は吐血と共に白眼に成ってしまった。

「仕方ない、これくらいで許してあげるか」

 楓はそう言って、額の汗を腕で拭った。こいつ、まだやるつもりだったのか・・・。

「それにしても、望くんってホントにタフだよね。常人だったらトックに死んでるよ?」

「何年お前に鍛えられてると思ってるんだ?」

 と、俺は苦笑しながら楓を見た。

「望くん、また見たね?」

「わっ、悪い!今のはその!てか服着てないお前が悪い!それと殴るのはもう無しだ!」

「しょうがないわね。今回だけよ?」

 楓はそう言って俺を放した。全く、楓の癖にも困った物だ。

「あ、そうだ。望くん、今日は忌引になってるよね?火葬は放っておいて、私とデートしない?」

「それは構わないが、服を着てくれ」

 途端、楓の回し蹴りが炸裂。俺は宙に舞い、廊下に叩き付けられた。

「あっ、ゴメン望くん!」

「オーケー、俺は心が広いから許す」

 とは言ったが、内心はぶちギレていた。

「服着るから覗かないでよ?」

 楓は洗面所に入って服を着て俺の前に再び現れた。

「望くん、行こう?遊びに」

「駄目だよ楓。火葬行かないで遊んでるのが見付かったら先生に怒鳴られる」

「望くん、先生怖いの?」

「否、楓の方が怖い」

「だよね?じゃあ遊びに行こう?」

 う・・・怖くて逆らえん。俺は仕方なく彼女の言うなりになるしか無かった。

「解りました!で、何処へ行こうってんだ?」

 俺は楓に苛付きながら訊ねた。

「うーん、何処にしようか?」

「言い出しっぺだろっ、ささっと決めろ!」

「この間のデートの続きは?ほら、私が死んだあの日、まだ行く所あったでしょ?」

 その言葉に俺はあの日の事を思い出した。あの日は確か、遊園地行って、帰りに予約した高級料理店に行く予定だった。だが、料理店に行く前に楓が轢死したんだよなぁ。

「あの後行こうとした所はやめよう。その代わり、楓が行きたい所連れて行ってやる」

「群馬サファリパーク」

「待て、お前の事だからどうせライオンとかいる所を歩こうとでも言うつもりだろ?それだけは勘弁だ」

「何で!?面白そうなのに」

「俺が死ぬから駄目なんだ!他の所にしろ!」

「他の所?無いわね。望くんに任せるよ」

「温泉」

「望くん?どうせ君の事だから、私の裸見ようと混浴連れて行く気でしょ?」

 図星だ。何て答えようか?

「何だ、嫌なのか?」

「べ、別に良いんだよ?望くんが木偶の坊になってくれるんだったら」

「それは勘弁」

「じゃあ他にして」

「プール、これなら裸になる必要無いだろう」

「水着無いけど?」

「スク水で良くねえ?」

「死人が家に帰れると思う?」

「だよなぁ」

 俺は考えた。今日1日、楓と楽しくする方法・・・あるじゃねえか!

「なら楓、映画に行こう。お前が観たいって言ってた映画見せてやるよ」

「あ、それ良いわね。行こう行こう!」

 楓は喜び、はしゃぎだした。俺はすっくと立ち上がり、出掛ける準備をすると、二人で家を出た。




こんな彼女いたらガクガクブルブルですな。けど、ボディガードには欲しいかも



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ