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1日目

 俺の名は糸色いとしき のぞむ。至って普通の高校生。

 その俺は、先日、付き合っていた彼女を事故で失った。交通事故だ。どうやら、自分の命と引き替えに、俺を救ってくれたらしい。そして今日は、その彼女の葬式である。

「南無妙法蓮華経・・・」

 と、お坊さんがお経を唱える中、俺達参列者はお焼香をする。そして後はお坊さんの長い長いお経を聞くだけ。正直、そんな面倒なの出たくない俺であったが、生前彼女が、『もし自分が死んだら必ず出ろ』と言ってたので、俺はこうやって参加する事にしたのだ。

 お経を唱え終えたお坊さんは、俺達に一言挨拶をして去って行った。その後、式場スタッフ何かを言った様な気がするが、説明するのも正直面倒だ。

「では、本日はこれにて解散して頂き、翌日改めて火葬の方を行います」

 式場スタッフはそう言って去っていった。辺りの参列者は全員涙を流していた。



 葬式が終わって帰宅した俺は、涙で失った水分を補給しようと冷蔵庫を開けた。すると中がピカッと光って一人の少女が出て来た。

「痛!」

 俺は中から出て来た少女とぶつかって尻餅を着いた。

「ただいまっ、帰って来たよ望くん!」

 少女は俺にそう言って抱き付いて来た。良く見るとこの少女は先程挙げた式の主役。あの日失った俺の彼女だった。否、そっくりなだけなのかも知れない。

「今何処から、ってか誰?」

「嫌だなあ、忘れちゃったの?私だよ」

 そう言って少女は俺に顔を見せた。俺は吃驚仰天。開いた口がふさがらない。

「思い出した?」

 俺は首を振った。縦にだ。

「楓……柊沢ひいらぎさわ かえでだよな?」

「そうだよ。私は望くんと会う為にあの世から帰って来たのです」

 そんなバカな!? 死んだ人間が蘇る筈無い! これは屹度夢だ! そうに違いない!

 俺は確かめるべく、自分の頬を抓った。痛い、と言う事は夢じゃない。

「で、何処から出て来たか、だったよね?冷蔵庫」

 そうか、解ったぞ。こいつはあれだ! 幽霊って奴だ!

「お前、楓の幽霊か?」

「違うよ、何言ってるの? 幽霊な訳無いじゃん。だってほら、ちゃんと肉体が……あ!」

 どうやら楓は気付いたらしい。自分が裸である事に。しかも今頃。

「見ないでエッチ!」

 楓はそう言って、俺をぶん殴った。それによって吹っ飛んだ俺は壁にめり込んだ。幽霊じゃない……。

「あ、ゴメン望くん。つい癖で殴っちゃった」

 と、舌を出して苦笑する楓。

「どうでも良いが、どうやって蘇った?」

「蘇った、とは一寸違うかな?」

 俺はその言葉に疑問符を浮かべた。

「あのね、この体は借り物なの。天界……つまりあの世にはね、現世に降りる為の仮の肉体を貸してくれるお店があって、そこで借りたの」

「成る程。じゃあ説明が終わった所で俺を降ろしてくれ」

「あ、忘れてた!」

 楓は口元に手を当てながら言い、

「よいしょ」

 と、壁にめり込んだ俺を引っ張り出した。途端、楓は俺の下敷きになってしまった。

「何とかは死ななきゃ治らないと言うらしいが、治って無えな」

「無防備な女の子襲うな!」

 楓は俺を思いっ切り蹴り上げ、落下する俺を避けた。その為俺はダンッと床に叩き付けられた。

「ゴメン望くん!」

 またあの悪い癖か? 言い忘れていたが、こいつには裸を見られると直ぐに暴力を振るう悪い癖がある。しかも生前より酷く為っていやがる。

「それにしても望くんタフだね。尊敬しちゃうよ」

「そりゃどうも。それより俺の貸してやるから2階行って服でも着て来い」

「うん、解った。服着て来るね」

 楓はそう言って部屋を出て行った。


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