7日目(前編)
前回、孝之の親父は他界したと記述した記憶がある様な気がしますが、その親父は実父です。修正するの面倒なので此処で訂正しておきます。
7日目の日曜日。遂に楓との別れの日である。
その日の朝、部屋で寝ていると、楓に乗し掛かられて目を覚ました。
「お早う」
と俺の眼前で笑む楓。
「・・・夜這いにしては一寸遅過ぎるのでは?」
からかってみると、楓の右平手打ちが俺の左頬にクリティカルヒットした。
「痛え!」
「望のバカ!」
「なっ、テメエ何呼び捨てしてんだよ!?」
「ええ?だって、一度言ってみたかったんだもん。それより、今日は何して遊ぶ?」
遊ぶ・・・。そうか、今日は最後日だったな。
「その前に退いてくれないか?」
「あ、ごめん」
と退く楓。
俺は起き上がり、ベッドから降りた。
こりゃ驚きだ。痣どころか傷一つ無え。一日で完治するとは、俺の体は凄え。
「じゃ、用足して顔洗って来るからな。そしたら出掛けよう」
「私温泉行きたい!」
「温泉!?」
うん──頷く楓。
温泉か。ヘッヘッヘッ。
俺は薄ら笑いを浮かべると、用を足しに行った。そして洗面所に移動して洗顔と歯磨きを済ませ、部屋へと戻った。
秩父の何処かにあるとある温泉。俺たちは其処に足を運んでいた。
中に入ると、先ず右手に下足入れがあった。
俺たちは靴を脱いで下足入れに仕舞い、入り口から真っ直ぐ進んだ所にある受け付けの前へ行った。
規定の料金を二人分払い、風呂セット一式を二人分レンタル。
「じゃ、暫くお別れだな」
言って俺は男湯に向かって歩き出す。が、1ミクロも前に進めない。
「あっちにしましょう?」
振り向くと、楓が俺の項を掴みながら、反対の手で混浴を指差していた。
「そ、そっちは混浴!」
「あら、駄目?」
「い、否、駄目じゃ・・・無いよ?」
「じゃあ決まり!」
言って楓はそのままそっちへ歩き出した。
俺は素早く楓の横に並び、同時に混浴の脱衣所に入った。
「なあ楓、何で混浴?」
「一緒に入りたいから、だよ?」
言って楓は微笑した。
頬を赤く染める俺。気付くと楓は既に服を脱いでいた。
「ほら、ボーッとしてないで早く脱ぐ!」
と楓が俺の身ぐるみを剥がして真っ裸にした。そして俺の服をロッカーに打ち込む。
畳めよバカ、と言ったら何されるか分からないのでやめておこう。
楓はタオルを一つ俺に渡すと、自分のを持って浴室に入室した。後から俺もそれに続いた。
中には俺たち二人以外、誰もいない。まるで貸し切りの様だ。
「望くん、背中流しっこしよう?」
言って楓は颯爽とシャワーの下に向かう。
俺はふと思った。今日の楓、何だか大胆過ぎ。




