++プロローグ++
此処は遥か上空に位置する天界。少女はとある店の中にいた。そこはレンタルボディショップと言い、地上に降りる為の肉体を有料で貸し出している店である。
「オジサン、頼んでおいた体出来てる?」
少女はレジの前にいるオジサンにそう聞いた。オジサンは笑みを浮かべ、
「ああ、出来てるよ。御注文通り頭から足の爪の先っぽまで再現してあるよ。製造費は1,000万ソウルね」
ソウルと言うのは、天界で使うお金の単位である。
「高いよオジサン」
「何を言ってるんだい? オジサンはね、外見だけでは無く内部も正確に再現してるんだよ?1,000万ソウルは妥当な値段だと思うがね」
「解った。払えば良いんでしょ?」
少女はそう言って、懐からカードを取り出した。オジサンは受け取ると、読み取り機らしき物にカードを差し込み、レジを操作して金額を引く。因みに、1ソウルは100円である。
「はい」
と、カードを返すオジサン。少女は受け取ると、懐をへしまった。
「じゃあ一寸だけ待っててね」
オジサンはそう言うと、店の奥の方へと入って行き、大きな箱を持って来た。その中には、少女に瓜二つの肉体が入っていた。
「オジサン、服は?」
「別料金に為ります」
「じゃあ良いよ。現世で買うから」
少女はそう言って、オジサンが蓋を開けた箱の中の体に重なった。
「所でお嬢ちゃんは現世に何をしに行くんだい?」
「彼に会いに行くのよ」
少女はそう言って店を跡にした。




