プロローグ
私は激闘を演じていた。
相手は、ゾンネ帝国大将軍ジークフリート。
対するこちらの陣容は、私の敬愛する黄金色の長髪を後ろで束ねた美青年、反乱軍リーダーにして、元リュンヌ王国飛竜騎士団長クロード様他3名。
同国、元宮廷魔術師長セドリック、元親衛隊長マティアス、元神官長サラである。
え、お前は誰かって。
私は、しがない1プレイヤーの、網恵 有栖と申します。
か弱い乙女ですので、当然、ゲームの中での話ですよ。
話を元に戻しますと、この怨敵ジークフリート、後半に仲間になるのはよいのですが、あろうことか、その時に、クロード様の幼馴染の姫君を、寝取りやがるのです。
まあ、いささか、情緒面に問題のある姫君の方が重罪なのですが・・・。
とはいえ、その後のバカップルぶりを、クロード様に見せつけ続けたことから、罪は決して軽くはありません。
そんな共犯者の片割れに天誅を下すべく、頑張っているのですが、今回は、序盤の顔見せのイベント戦闘のため、どうやら、無敵野郎のようです。
しかし、自己満足なのはわかっていますが、断じて許すわけにはいけません。
そんなチート野郎に対抗すべく、こちらも、チートにはチートということで、俗にいう裏技コードで、無敵状態を解除してやります。
その間、コードが読み込まれるまで時間があったので、靴下を履いて、今日買った新品のスニーカーの試し履きをしていました。
ちょうど、くつひもの調整が終わったあたりで、読み込みが終わったので、待ちきれずに靴を履いたままプレイを続行中です。
その甲斐あってか、こちらは壁役のマティアスは倒れ、クロード様以外MP切れ、アイテム欄はすっからかんになったものの、奴のHPは赤くなり、変な汗までかいています。
そして、止めを刺すべく、クロード様が最後の一撃を加えたとき、突然、モニターが激しく輝き、私の世界は光に包まれました。
その光の中で、左手首に何かが巻きつくのを感じていましたが、強烈な睡魔に襲われ、抗うことができず、意識を手放してしまいました。