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元カレ

私はの名前は、斉藤 由美。私には今、同棲中の彼氏、「優太」がいる。名前の通り優しい彼氏。でも私には、忘れられない元カレがいる。


2年前に別れてしまった「翔君」……。当時、私は、いつか翔君と結婚するんだと思ってた。




私と翔君は、携帯サイトで出会い、意気投合して頻繁に会うようになりいつしか付き合う事になった。付き合ってから楽しい事がいっぱいだった。

喧嘩もあったけど仲良くやり、同棲した。でも…生活感の食い違いから別れてしまった。別れる時には、日にちだけ告げて、翔君が仕事してる中去って行ったの。



あの時、何でそんな別れ方をしたのか…後悔ばかりの日々だった。



そんな日々の中、友達の飲み会で会ったのが、優太。優しくて明るくて、すぐまた意気投合して付き合って…すぐ同棲が始まったの。最初は楽しかった。でも…



だんだん…私のいけない癖が出てきた……



元カレとの比較。



少しでも嫌な所が見えると、翔君の時だったら…とか、戻りたい…とか思ってしまう。悪い癖。良い所は流して悪い所だけを注目してしまう。



そんな中、元カレから急にメールが来た。「元気にしてる?」って。私はすぐに返信をした。新しい彼氏がいる事は伝えたけど、同棲してる事は秘密にした。楽しいメールの中、ついに…「ご飯に行かない?」と誘いが来た。私は迷った……。でも会いたい気持ちがいっぱいだった。




優太に初めて嘘をついた。



「友達と遊んでくる」と言って元カレと待ち合わせた場所へ足早に出掛けた。複雑な想いだった。嬉しい気持ち、優太を騙した罪悪感、そして、復縁の言葉の期待……



最低だ。私。



なんて事を思いながら、約束の場所に着いた。そしたら「由美」。聞き慣れた声が聞こえる。振り向くと、懐かしい元カレ、翔君がいた。



お互い、嬉しい反面照れて笑った。二人でよく行った喫茶店に入って、昔話、今の暮らしを話した。どうやら翔君は独り身のようだ。



楽しい時間はあっという間だった。時間が止まれば良いのに…。もっと翔君といたい。バイバイしたくない。そんな事を思いながらも時間は止まらない。止まってはくれない。


翔君が手を降ってきた。「じゃあな。会ってくれてありがとう!幸せになれよ!」



嫌だ……このままサヨナラしたらもぅ会えないかもしれない……とっさに「待って!」。翔君は上げてた手をゆっくり下ろしてこっちに来た。



翔君から、「…何かそぅいや、ちょっと腹減ったから…何か食べようか?」って、今にも泣きそうな私の顔を見て言ってくれた。



そして、二人で1ヶ月に数回行ってたファミレスに行った。私は席に着くなり泣いてしまった。そしたら翔君は心配してポケットティッシュを差し出してくれた。そして一言「どうした?」



私は素直に、翔君へのまだ残る想い、でも好きな優太への想いを口にした。翔君は黙って「うん、うん」と聞いてくれた。そして、一通り自分の想いを伝えると「あ~~あ…何であの時俺は引き留めなかったんだろ。バカだよな俺」そんな事を言いながら苦笑いをしてた。



そんな中私は泣いた顔を翔君に向けて「私…翔君と結婚したかった…」と言ってしまった。すると翔君は悲しい笑顔を浮かべて「俺も由美と結婚したかった…」 そういって二人して下を向いた。



暫く沈黙が続いた。そして翔君が沈黙を破り私に向かって静かな口調で一言言った。「ごめんな。」私は首を横に降った。そしてまた黙りこみ「そろそろ帰ろっか」って翔君が言った。私は黙って縦に首を振り、鼻をグスグスしながらとぼとぼ歩いた。



電車のホームに着くやいなや翔君は笑顔で「またいつか会おうな。元気でな」そういって自分が乗る路線へ歩いた。私は黙って翔君の背中を見届けていた。すると翔君が遠くで振り向いた。…翔君も泣いているような顔だった。でもすぐに人混みに紛れてしまい姿が見えなくなってしまった。



泣いた顔を駅のトイレでリセットし、優太の待つ家へ帰宅した。私は明るい声で「ただいま~」って言ったら布団に潜った優太が笑顔で「お帰り。楽しかった?」って聞いてきた。私はその笑顔と言葉に胸が傷んだ。「うん。楽しかったよ~」…それ以上は話さなかった。



そしてまた、優太とのいつもの日々が始まった。変わらない毎日。お互い結婚の話も全然なく、ただお互いバイトをして、ご飯食べて寝る日々。



そんな日々が続く中、また数ヶ月後に、翔君から電話の着信があった。でも、私は、このままじゃいけない。気持ちを優太に向けなきゃ!と強く想い、出なかった。



それから数週間経った時、母親から電話があった。…でも何か違う…いつもの母親の様子じゃなかった。そして口走った。



「翔君が交通事故にあって亡くなった」



私の 頭の中が真っ白になった。嘘だ。信じない。だって、私の頭の中では生きて笑ったり怒ったりした顔の翔君しか出てこないから。翔君が死んだ?想像が出来ない。嘘だ。嘘だ。



ただ呆然とした。となりには黙った優太がいる。どうやら、うっすら聞こえる会話を察知して黙ってこっちを見ていた。私は頭が真っ白でもぅ母親が何を言っても反対の耳から通り抜けていく。信じたくなかった。



しかし、時間が進むにつれ、頭の中が「死」を現実にしていった。一気に蘇る翔君との思い出。涙が一気に出てきてその場でわんわん泣いた。優太が泣きじゃくる私の頭を無言で撫でた。



私には2つの想いが込み上げてきた。あのとき、会って良かったと想う気持ちと、何故最後の電話に出なかったのか…。



そして、落ち着いた頃、優太に正直に、嘘をついて翔君と会ってた事を話した。優太は寂しい顔をしたけど怒らず「良かったね。きっと神様が最後に会わせてくれたんだよ。」と言ってくれた。



でも私には神様が、もしかしたら私が優太に嘘をついたから罰を与えたのかもしれないと言う気持ちがあった。そして、私のせいだ。そう思うようになってしまった。優太は「そんな事ない」と言うが、私はどうしても罰なんだと思ってしまう。



生きてる優太への想い、他界した翔君への思い出を胸に日々を過ごすなか、私の誕生日に優太から…まさかのプロポーズ。私は翔君の言葉を思い出した。「幸せになれよ」。ごく使われる言葉だけど、大切な…重い言葉。



「幸せにしてくれますか?」私の問いに、優太の「絶対、元カレより…誰より幸せにするにするから」と強気な言葉。



翔君…私、幸せになるから。でも…私が幸せになるまで傍で見守ってください。これが最後の私のわがままです。



そして私は、ころからまた優太と一緒にあるきだす。翔君、ありがとう。




















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― 新着の感想 ―
[良い点] すんなり最後まで読めました! 翔くんはその場で復縁をせがまず、 優太くんとの生活を応援する所が男らしさを 感じさらに亡くなった時の涙をそそります。
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