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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

悪人童話姫シリーズ

シンデレラの復讐−母を失い父を失い意地悪な継母達に育てられた娘が優しいはずない!−

作者: びわ
掲載日:2026/01/31

少し大人向けに書いたので、童話のほのぼのをお望みでしたら速やかにご帰宅ください。

私なりの解釈や、新しい改変も多いです。

 ゴーン…ゴーン…ゴーン


 国中に広がる0時の鐘。王宮では舞踏会。貴族だけでなく平民だってはいることを許された王子のお相手を探すパーティー。

 

 エラ、いやシンデレラは茨の棘にガラスの靴もない裸足でその白い足を傷つけられながら、森を駆け抜ける。


 最高の笑顔で。でも泣きそうな笑顔で。


 ♢✟♢


 お母様も、お父様も、私を愛してくれていた。


「エラは本当に可愛いわね。私の愛しいエラ。」


 お母様はよく私の頭を撫でた。私はそれが好きだった。


『エラの最後のプレゼント。』


 ガラスでできた靴。21cm程で私の足にピッタリだった。でももったいなくて、家にある塔とは名前なだけの物置に入れた。隠すように。


「絶対に、幸せになってね。」


 私が10歳の頃にお母様は病死した。お父様は私に母親がいるだろうと化粧の濃い女と再婚し、義姉も2人できた。


 お父様の前では優しかったけど、いない時には無視され下げずむような顔で睨まれた。


 お父様はいわゆる『成金貴族』だった。商人から貴族に成り上がった私たちを、ほかの貴族は嫌っていたようで、お茶会も何も参加した事がない。でもお金は腐るほどあった。


 お父様は私にいろんな習い事をさせてくれた。ダンスやピアノ、礼儀作法。全て私の宝物。


 でも1番はお母様が教えてくれた舞だった。


 お父様はそれでも私を愛してくれた。優しいお父様だった。でも……仕事で家から出ることが多くなった。


 お父様がいない間に継母と義姉はどんどん浪費が激しくなった。


 でもお父様が帰ってきたら、何でもないように優しい継母を演じていた。だからお父様は気づかなかった。


 そんな時、お父様も死んだ。仕事途中に事故で死んだという。そこから継母と義姉はより悪化した。


 あちこちに行って遺産を使って宝石やドレスを買い漁り、贅沢三昧。


 経理の方が継母に異議を申し立てた。

「浪費が激しすぎます。」

 その方は数日後には辞めさせられていた。


 それを皮切りに、継母に異議がある人は1人や2人ではなく何人もの辞めていった。


 唯一の救いは遺産の半分を家ではなく私へ残していたこと。それでも莫大な遺産を継母は気づかずにいることだ。


 だんだん人はいなくなり、最後は雇う金ももったいないと、使用人を全て辞めさせた。


「お母様、家事はどうするんですか?」

「そこに居るじゃないの。良い()使()()が」

 そう言って私を指差した。


 ここからは地獄が続いた。


 広い屋敷を全て掃除させられチリ一つあれば怒鳴られる。言われてすぐに行かなければ叩かれる。料理がまずかったら自分にかけられる


 継母と義姉は使用人の給料が浮いたぶん浪費を続けた。その分自分は虐げられた。


 そんな地獄の中いつの間にか継母と義姉にシンデレラと呼ばれるようになった。


「灰被り、シンデレラね!」

「良いわね!シンデレラ、この服明日着れるようにして。」


 シンデレラ、シンデレラ、シンデレラ、シンデレラシンデレラシンデレラシンデレラシンデレラ


 自分の名前も呼ばれることがなくなり、私はシンデレラになった。灰だらけのシンデレラ。


 それでも心が死ななかったのは、町の人と……思い出だった。


 お母様が残したガラスの靴。お母様を思い出してしまうから、見たくなかったけど、宝物。


 幸い継母も義姉も埃の舞う物置()には近寄らなかったから、ほかは奪われてもこれだけは手放さずに済んだ。


 私は、お母様の遺品を抱きしめ、静かに泣いた。


 私はすっかりシンデレラになってしまった。貴族令嬢なのに関わらず、使用人の様になった。


 継母達の食事の為に市場に出かけ、買い物をする。そこで少し人の優しさというものを感じられた。


「よ〜!いつもありがとな。これおまけ。」

「…アッありがとうございます。」


 いつもうつむいていた私に皆よくしてくれた。継母に渡された顔を隠すようなボロボロの服。そこから顔を出して笑った。


「お嬢ちゃん可愛いよね。そんな服きて、美貌の無駄遣いってやつだね〜」

「ハハハ……ッ」


 もう20になりいき遅れにはいるだろうに……


 そう言って私にニコッと笑ってくれる人がいる。それだけで、継母達に汚された自分が洗われるようだった。


 市場で買い物をしていた時、ゆらゆら揺れている男の人がいた。


 黒くてフードのついた服を着た、黒髪の男の人。足を引きずっていて、たまらなく痛々しい。私はたまらず声をかける。


「スッすいません。だっ大丈夫、ですか?」


 彼はビクッと後退りしたが足をやはり痛めていたようで、「グッ」しゃがみ込む。


 黒い服で分かりづらいけれど赤黒く血が滲んていた。革靴に血がたれている。


「やっぱり怪我されてますよね……。何か……」


 周りを見回しが手当てに使えそうなものはない。


 自分の服を引きちぎる。そして彼のズボンの裾を上げた。


「なっ何を……」

「少し待ってください。」


 ボロ切れでしかないかもしれないけれど外気に晒されているよりはマシのはずだ。


「……ッ」

「こっこんなボロ切れですいません。」


 立ち去ろうとしたら腕をぐっと掴まれた。少し顔をゆがませると、彼は手の力を緩めてくれた。


「アッありがとうございます。お名前を……」

「えっエラです。」

 

 自分で言っていながら『エラ』という自分の名前に懐かしさを覚えた。彼は「そうですか」といって手を離し、その場を離れた。


 フードの隙間から見えた左目下のホクロが何故か記憶に残った。


 家に帰ると遅すぎると怒鳴られた。いつものことだ。でもその日はいつものことじゃなかった。


 塔の中、お母様のドレスを抱きしめ泣いていた時、いきなり義姉が現れた。


「いつもメソメソ聞こえるとは思っていたけど……それ。」


 ギロリと私を睨みつけ、ドレスを奪った。少し古い形ではあるけど今でも美しい淡い水色のドレス。


 私はギュッと握り直すが抵抗も虚しくドレスは義姉に奪われた。


「……シンデレラがそんなに大切にするドレス……気に入らない。」


 ビリ……ビリ……


 不愉快な音が塔に木霊する。お母様の残したドレス。それが目の前でビリビリと破かれている。


 絶望する私を見て義姉は高笑いしながら破れたドレスを私に投げ捨て、本邸に戻っていった。


 お母様が残した一番大切なドレス。お母様が丁度私と同じ年の時にきたドレスだと、お母様は言っていた。


 これを来てお父様と会ったと。


 これを着て幸せになって欲しいと。


 いつか大きくなったエラに着てほしいと言っていたドレスが……


 その時心の何処かにあった彼女たちへの感情がプツリと切れた音が頭に流れた。


 彼女たちへの感情が憎しみ1つに染まりきり、心が真っ黒に染まったように感じた。


 この国の王子様が主催する豪華な舞踏会。


 そんな噂が市場に出回った日に、ポストに王家の印が押された手紙が届いた。それも4通。


 そこの1つに、私、エラの名前が書いてあった。だからこっそりその1通を抜いて、継母にその手紙を渡した。


「……一ヶ月後、王子殿下の誕生を祝う舞踏会を催す。20歳程の未婚女性は()()舞踏会に出席すべし……」


 継母が読み上げると義姉は飛び跳ねて喜んだ。比喩ではなく本当に。


 継母は義姉に対して


「絶対に、絶対に王子の花嫁の座を手に入れなさい。」


 そう言った。


 王子はまだ結婚どころか婚約すらしていない。そして()()()()は必ず。これは王子の花嫁探しだとは誰もが想像できらだろう。


 継母と義姉は舞踏会に来て行くドレスを仕立てに行くと出て行った。


 私は家事を終わらし、手紙を読む。内容は継母達と同じ。中に黒と金色で高級じみた招待状。


「そういえば何でシンデレラには届いてないんだろ?()()なのでしょ?」

「さあ?まあ招待状を持っていないシンデレラは入れないからいいでしょう。」

 

 と馬鹿なことを言っていた継母達から逃げ出せるかもしれない。そう思えた。もしかしたら、私に未来があるかもと。


 それから一ヶ月経った時、今日は舞踏会の日だ。私は継母と義姉達のドレスを着るのを手伝う。


 継母の真珠のネックレス。チェーンに小さく切り込みを入れ、継母につける。継母は


「モタモタしてるんじゃないよ!」


 と気づく様子はなかった。


 1人目の義姉には香水をいつもの三倍つけた。いつもつけていて鼻を慣らしているから全く気づかれることはなかった。


 2人目の義姉にはお母様のドレスにしたようにドレスを破ってやりたかったが切り込みを入れるだけで抑えた。


「シンデレラ!1時に帰るまでに終わらすのだよ!」

 

 いつもの何倍もの仕事を押し付けられて、継母たちを見送った。


 行きたくてたまらない。でも来ていくドレスがなかった。


 お母様のドレス。どんなに直したって最初の美しい姿とは全然違う。ほつれが多く、不格好。


 私はとうに暮れ、仕事が終わってからふらふらと市場の方へ歩いていった。


「お嬢さん?」


 もう21時半、皆が舞踏会に行っているので人はほとんどいない町で、声をかけた男性をすこし見る。


「どちら様でしょうか……」


 聞き覚えのある声と左目下にはホクロ。あの時の男の人が立っていた。


「えっえっと……」

「やっぱり……あの時のお礼をしたくて。」


 そう言って彼は私の手の甲に口づけてをする。何故か顔が赤くなってしまった。


「えっなっなんで……?」

「行きたくありませんか?舞踏会。」

「!」


 その言葉で心が揺れる。ただ頭の中には1つの事を思い出す。


「……ですが着てゆくものがありません。このままいくのはさすがに無礼です。」

「では私がご用意いたします。」


 そう言って彼は持っていた杖をひとふりすると、美しいドレスが現れた。でも()()じゃダメだ。


「……ですが私はドレスは1つ決めているんです。それでないと……」

「……」


 モジモジする私はあのドレスを思い出す。あのドレスはきっと今の私とぴったりだろう。そして、お母様にソックリな私には合うことだろう。


「……ではなぜそれを着ないんですか?」

「……義姉(お姉様)に破かれてしまって。」


「でしたらそれを私に貸しかしてくださいませんか?」


 やけに熱心に舞踏会へ行かせようとする彼に戸惑いながら、抱きかかえていたあのドレスを手渡す。


「……これなら私が直して差し上げます。」


 そう言って杖をもう一度振り、ドレスを元の姿に戻した。破かれる前、美しいドレスに感激して涙がこぼれ落ちた。


「グスンッ……アッありがとうございます。着てきます!」


 絶対に治らないと諦めていたドレス。私は走って家に戻った。着てみるとやはりピッタリで、鏡に映る私はお母様にそっくりだった。


「……お母様」


 そっと鏡に触れる。本当にお母様が写っているようで、ギュッと笑顔を振り絞った。


 この服に合うのはあの靴しかないだろう。


 私は服を着てすぐさま市場へ向かった。どうやって行くのかは知らないけれど。


 王宮まで歩いて1時間近くかかるだろう。


「……ハァハァ……キッ着てきました。」

「……!」


 ドレスに共に履いたガラスの靴。驚くことに10歳の頃の靴が今でもピッタリだった。


 その靴は光が当たり、キラキラと輝く。


「……」


 彼は私が来るとすぐに杖を振った。すると髪が美しく結われた。


「あっあの、どうやって舞踏会に?後30分程で行かなければ王子様が来てしまいます。」

「私が馬車も用意いたします。」


 そう言うものの周りには馬車などない。あるのは市場の売れ残りのカボチャくらい。


「さあ」


 彼は杖を2振りすると、カボチャが馬車に変わる。そして野ネズミが御者になる。


「ありがとうございます。これで行けます。」

「ああ、王子を落としてくることだ」

「……」


 馬車が出てすぐ。彼が見えなくなった。


 まだ体の熱が抜けていない。


 舞踏会。さすがにこの時間にはいるものはほとんどいない。招待状を出し、難なく入る。


 きらびあかな舞踏会には一見暗いところなどない。


 でも私という真っ黒い人がいる。それを皆分かっていない。


「……あの人……」

「なんて……」


 噂話に花を咲かせている貴婦人達。私は飲み物を取りに行く。


「いい?◆◆?◇◇?しっかり王子を落としなさい!」

「「必ず落としてみせるわ!」」


 聞き慣れた継母と義姉達の声。周りの人は義姉の匂いに引いて距離をとられている。


 私の周りにも人はいないが視線は感じられた。


 自分で言うのもおかしいが自分は綺麗な方だと思う。お母様そっくりな顔立ちに、お父様と同じ金髪と青い目。


 お母様の着ていた淡い水色のドレスには宝石が散りばめられている。少し古い形ではあるものの、今とさして変わらず、上品に見えるはずだ。


 そうしているとラッパの音が会場に流れる。


「☆☆王子殿下のおなーりー」


 上から銀に黒の入った髪の男の人が上から降りてきた。気品に溢れた王子様が。


 この時の時間は23時。王子は挨拶周りをしていた。


 継母は王子の前に立ち、挨拶をする。その瞬間、継母のネックレスが切れ、真珠が落ちた。


 継母は大いに慌て、王子は苦笑いしながらその場を立ち去る。継母はメイドに怒鳴りつけ、真珠を拾わせている。


 それから間もなく王子へプレゼントを渡す時間になった。私が用意したのは1つだけ。気やびやかな物ではないだろう。


 プレゼントは人によって様々。時には美しいダイヤのブローチだったり、時にはオペラ歌手を連れてきて歌わせた。


 継母と義姉は絵を渡した。家宝の絵、の贋作だった。継母が渡すものが分かっていてホッとした。危なく家宝が奪われる所だった。


 王子はその事に気づいていたようだが、口にはしなかった。


 遂に私の番になった時、私は言った。そして……

 

「私が渡せるのは、この程度です。」


 私は舞を舞った。お母様が教えてくれた、一番大好きな舞を。


 このドレスは元々このためのドレスだ。難なく舞い終わると、拍手と歓声が聞こえた。


 継母はハンカチを引きちぎりそうに噛んでいるが、変わった姿に私が誰か分かっていない。


 王子も拍手をしてくださり、ひと事言った。


「それは隣国の舞だね。ここまでのものは初めて見た。」


 そう言った。そんな事、私は知らない。ただお母様に教わっただけだ。


「……」


 私はカーテシーしたまま、顔を上げなかった。


 この時の時間は23時半を過ぎていた。


 やっとダンスの時間、何人かの男女はすでに踊り始めている。


 王子の周りには大勢の令嬢がおり、私は太刀打ちできそうになかった。


 しかし、王子は私の方へ歩みを進める。


「舞を見せてくださったお嬢さん。良ければ私と踊ってはくれないだろうか?」


 そう言われて、断れる者はいないだろう。ただ私は、


「喜んで」


 とだけ言った。


 私たちが踊り始めると、ほとんどの人は踊りをやめて、私達の方をジッと見る。


「美しいお嬢さん。あの舞は何処で?」


「お母様が教えてくださいました。」


 軽く話していながら、私は踊りは終わりに近づいた。


「そのガラスの靴は本当に美しいですね。」


「そうでしょう?私が10歳の頃にお母様にいただいて……きっと私しか入りません。」


 軽く話しながら、ガラスの靴の話を話す。21cmの靴を履けるのは、私か……10歳の幼子くらいだ。


「……良ければ、テラスに出ないか?」


「……ええ。」


 ダンスが終わり、テラスに出る。王子は私と会話を重ねる。ちょっとした雑談だけれど、なんだか心が暖まった。


 その頃、時計を見ると針は12時を指していた。


 継母の言葉が、急に思い出す。


 『シンデレラ!1時に帰る。』


 ここから家までは走っても1時間はかかってしまう。


「……ッ申し訳ありません。私はこれで。」


 私はすぐにその場を立ち去り、階段から降りる。


「まっ待てくれ!」


 王子の声に一瞬固まる。その瞬間、靴をお落としてしまった。


「……」


 私はむしろ好都合に思えた。王子はきっと私に好意を向けている。ならこれでいいと。


 私は走った。もう片方の靴を掴んで。


 シンデレラ、いやエラは茨の棘にガラスの靴もない裸足でその白い足を傷つけられながら、森を駆け抜ける。

 

 最高の笑顔で。でも苦しそうな、泣きそうな笑顔で。


 家に着いた頃にはもう1時。私は急いでドレスを着替え、ガラスの靴と共に塔に隠す。


 数分後には、継母と義姉達が、眉間にシワを寄せ、顔を真っ赤にさせて帰ってきた。


 チェーンのない真珠のネックレスを持った継母


 香水臭い義姉


 ドレスの後ろ側が綺麗に破けた義姉


 継母は偽物を掴ませれたという。1人目の義姉はあの絵は贋作だったという。2人目の義姉はドレスを作ったところにも文句を言わなければという。


 皆馬鹿らしくて、3人が居ない場で、私は1人笑った。


 王子に私の名前を言っていない。ただ知っているのは招待状を持っているのと……


 落としたガラスの靴の持ち主というだけ。


 王子はきっと靴にあう人を探すはずだ。彼にはそれしか情報がないから。


 いい方向に、風は吹いている。しかし、一瞬頭によぎった。


 お母様のドレスを直してくれた……彼を。


 彼を思い浮かべると、顔が染まるのと同時に、変な苦しさがあった。


 次の日、家事をしていると継母と義姉が興奮気味に話す。


「王子殿下が昨日の舞踏会で踊った相手を探しているんだって!」


 そう義姉の1人が言うと、もう1人の年の重ねて言う。


「そうそう。彼女が履いていた靴にあった人を花嫁にするって話よ。」


 そうすると継母は義姉の方をガッと掴み言った。


「お前たちのどちらかが、その靴を履いてしまえばいい。そうすればお前たちは王子のお妃になれる!」


 義姉は「「なるほど〜」」と醜く高笑いしていた。


 絶対に入ることはないのに。


「……▽▽夫人。でもそ靴の大きさは21cmだと聞きます。入りますか?」


 そう聞くと、継母は少し考え込んでから、邪悪な笑みを浮かべた。


「……なら爪先と踵を切り落とせばいい。」


そう継母が言うと、義姉達は真っ青になった。予想できたのは、私だけ。


「でっでもそれでは歩けません!」

「王妃になるのに歩く必要なんてないわ!」


 そう言って継母はノコギリを持っています来るように言われ、私はノコギリを継母に渡した。


「そうね、◆◆は爪先、◇◇は踵を切りましょう。」


 2人は逃げようとするけれど私は取り押さえる。


「イヤ……嫌だ……ギャー」

「お母様?冗談はやめて……キャー」


 2人の足は真っ赤に染まり、ちょうど足が21cmになった


「シンデレラは塔に行っていなさい。」


 そうしてすぐのこと、玄関から物音がする。


 コンコン


「申し訳ありません。▽▽殿。王命が出ております。」


 継母はいつもの声のトーンの何倍も高い声で扉を開ける。


「あらあら、✩✩王子殿下ではありませんか。以下ほどで?」


「失礼する。実はこの前の舞踏会の娘を探している。」


 そしてそのガラスの靴を出す。すると……


「それは私の靴よ!」


 そう1人目の義姉は言う。


 王子は「ならはいて見せてくれ」と言った。


「ほらぴったり……」


 義姉は無理やり靴を履くと確かに履けた。ただ……


 ガラスの靴には義姉の血がびっしりつく。


「……ここもでしたか。聞きに行くたびに、その方が足を切られているんです。確かに履けましたが……貴方ではありませんね。」


 義姉はきっと絶望しているだろう。


 外から盗み聞いてはいるが顔が見えなくて残念だ。


「はぁ……そちらのお嬢さんも同じようですし……もう1人のお嬢さんはどこですか?」

「へ?」


 継母の間抜けな声が響く。継母はしらない。私にも招待状が届いていたのを。


「うちにはこの子たちだけで……」

「でも戸籍には居ますね。エラと言うお嬢さんが。」


 今しかないと、裏口から皆のいる場所へ向かう。


継母(夫人)、良いですか?」


 継母はギロッとした目で私を見る。王子の従者は継母を睨む。


 そりゃそうだ。王族にの偽装も、王命にも逆らっているなら、極刑なのだから。


 私は王子に頭を下げると王子はあ私の足を見て、顔を上げるよう言った。


「……!」


 私の顔を見た瞬間、従者は驚きながら頬を染める。


「……一応、この靴を履いてくれないか?」

「でも……血が……」


 そう言うと、王子は何か呟き、一瞬で血が消える。良かった。お母様にもらったものだから。


「……では。」


 ガラスの靴はぴったり嵌る。


「……おお!ピッタリだ!」

「なな……」

「お嬢さん……いやエラ、私の妃になってくれ!」


 ああ……私は3人に振り返って、ジロリと彼女たちを見る。


 最初なぜ来たと嫌な顔をしていた継母は助けを求める様にすがりつく。


「シッシンデいやエラ!私を助けて?貴方だけが私の娘よ!」


 爪先を切り落とし、ガラスの靴に血をつけた1人目の義姉は絶望しながら


「え?お母様?何言ってるの?」


 そう言いながら眉毛をひそめ、自分の母親に絶望している。


 踵を切り落としたドレスを破った2番目の義姉は、


「キャー……ウソ、ウソだウソだウソだウソだウソだウソだ……」


 そう自分に言い聞かせるように泣き喚く。


 実にカオス。私は俯き、誰にもバレないように笑った。


「この人たちは……お母様が死んでから……お父様が連れてきた人で……お父様が死んでから……私をっ召使のように扱って……」


 あれ?おかしいな。いつもの何倍も喋れない。気づいたら私は泣いていた。


 でもいいか。


「喜んで。」


 私は王子殿下の妃になる。そんな私を長年虐げ続けた彼女達に、未来などない。


 だから目を細め、笑顔で、王子に返す。


 継母はすぐに家にも国にも追い出されて、ただ死に向かって行っている。


 家は私のものになった。正式な後継者である、私は。家の中を歩き、いっぱい涙が出た。


 王子はそんな私の肩を抱いた。


 私はまだ一回も彼の顔を見ていない。ずっと人の顔に曇りがかかっているから。


 その瞬間、お母様のドレスを直してくれて、私の人生を変えてくれた、あの男が浮かぶ。


 ……もう少し、彼を見ていたかったな。


 黒い髪をしていて、目の下にホクロがある、彼を、もっと長い間、見ていたかったな。


 その時、始めて王子の顔を見た。


「……!」


 左目下にホクロがある、あの顔を。


 お母様がくれた、最後のプレゼントとドレスで、私は『幸せ(王子の妃の座)』を手に入れた。


 きっと本当(お母様の言っていた)の、幸せ、なんだろう。

お楽しみくださいましたか?


私がシンデレラだったら、あんな優しい最期は無理と思ったのと、


いきなり現れる魔法使いの意図がわからないと思い書いた作品です。


王子=魔法使いの認識で書いています。


この度、2026/02/01の18時19時に、全ての童話で17位、短編で10位をいただきました。誠にありがとうございます。

楽しめていただけたという認識でおりますので、とても嬉しいです。

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