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5 王都グレイス

 リースのお陰で門兵をかいくぐり無事王都に入ることが出来た。右を見ても左を見ても西洋風の建物が非常に多い。

 やはり王都を上から見たら丸い形になっているのだろうか。凄く気になってしまう。

 人の数が多く、非常に活気がある。住民の顔みてるとみんな笑顔で、王政が素晴らしいのだろうとしみじみと感じる。


「そうだ、リースに聞きたいんだがお金の価値ってどんなものか軽く聞いても大丈夫か?パン1個が何ゼルで購入できるか、一ヶ月に必要なゼルは大体これくらいあれば生活できる と言ったことを知りたいんだ」

 手持ちが90万ゼルあることは伏せてリースに質問する。

「そうですね、パンは大体150~200ゼルで売られていることが多いです。一ヶ月暮らすとしたら大体20万ゼルほどあれば苦労しない程度には過ごせると思います」

 横に並ぶリースが手を持ち上げ、指を折り曲げながら『いち、に』と数字を数える。なるほど、日本の価値とほとんど同じようなものだな。


 おいまて。ならなんで90万ゼルしかないんだ!?貯金200万円もってただろ!!いや、無い物ねだりをしている場合じゃないな。お金があるだけでも本当にありがたい。女神様には感謝だな。


「ありがとう、凄く遠いところに住んでたからお金の価値とか、この世界の常識についてまだまだわからないことがあるからもし困ったことがあったら相談させてくれ」


 ユズルが照れくさそうに伝える。それを聞いたリースはとても嬉しそうにする。


「できることは何でもお力添えさせていただきます!」


 本当に頼りになる子だ。無意識のうちにリースの頭をユズルが撫でるが、リースは満更でもなさそうだ。不格好だったがリースを助けることが出来て本当によかった。

 しばらく歩いていると少し大きめなお屋敷が見えてきた。リースがテトテトと小走りですこし先に進む。


「ユズルさん!あちらが我が家になります!庭に認識阻害の結界もあるので、ヨ◯様……じゃなくてなんでしたっけ?あの召喚獣さんを召喚しても騒ぎにならないと思うので、お庭で荷物を出していただけると助かります!」

「トラックだな。わかった、庭についたらトラック召喚して荷物を外に出そうか」

「はい!」

 なぜかリースの機嫌がものすごく良い。もしリースに尻尾生えてたらはち切れんばかりの勢いで尻尾ブンブンしてるんじゃないか という想像を容易く行える。


・・・


「どうぞユズルさん、お入りください」

 リースはそう言い庭の門を開けてくれた。非常に広い家となってて、ここに俺が居ることは不相応じゃないかと心配になってしまうほどの豪邸だ。

 遠くで水やりを行っているメイドさんも居る。お嬢様だなぁ……


「レイシア ちょっと来ていただいてもよろしくて?」


 先程水やりを行っていたメイドがこちらに近づいてくる。

「おかえりなさいませ、リースお嬢様。こちらの方はお客様でしょうか?はじめまして。私はアルベルト家に仕えております、メイドのレイシアと申します。以後よろしくお願いいたします」

「こちらは私のお客様のユズル様です。レイシア、丁度良いところに居てくれました。今から庭で少しやりたいことがあるので、認識阻害の結界を数分ほど貼ってくれないかしら?そして、今からここで行う作業については例え目撃したとしても他言無用でお願いね」

「畏まりました、リースお嬢様。では私は門の前で外を見ながら庭全体に認識阻害の結界を庭中に貼らせていただきます。作業が終わり次第お声がけくださいませ」


 短い会話が終わるとレイシアはすぐに門前まで移動した。その瞬間空に何かモヤのようなものがかかった。これが認識阻害の結界というものだろうか?


「ではユズルさん、こちらに荷物をお願いします」


 俺は『あいよ』と軽く返事を行い、トラックを召喚した。荷台の収納術より荷物の樽を2つ取り出し、そのまま庭へと置いた。


「ありがとうございます、ユズルさん!では認識阻害の結界を解きますのでトラックさんをしまっていただいてもよろしいでしょうか?」


 トラックを送還し、眼の前にはリースの荷物の樽が2個あるだけとなった。収納術があることを知ってたとはいえ、やっぱり魔法の概念はこの世界にあるんだな。

 俺もいつか魔法を使えるようになるのかな?火球とかいてファイヤーボールとか、氷槍とかいてアイスランスみたいなかっこいいやつ。

 色々魔法のことを考えていると声が聞こえた。


「ありがとうレイシア!もう終わったから結界解除して大丈夫よ!」


 リースの掛け声で空のモヤモヤとしたものが止まった。結界を解除したのだろう。


「作業お疲れ様でした、リースお嬢様、ユズル様。他になにかお手伝いできることはありますか?」

「いえ、大丈夫よ。少しだけ認識阻害の結界をお願いしたかっただけだから助かったわ。本当にありがとう」


 こういうときはよく使用人と雇い主の上下関係がはっきりしすぎて人を物扱いすることが多いが、ここではお互いにお互いを尊重しあってるように見えていいな。 ドロドロした主従関係とかみてていい気分にならないし助かる。


「ユズルさんもお手伝いいただいて本当にありがとうございました!よければお茶しませんか?美味しいお菓子もありますよ!」

「申し出は嬉しいけど今日はやめておくよ。ちょっとやりたいことがいくつかあるからそれを済ませたいんだ」

「やりたいこと……といいますと?」

「冒険者登録と宿の手続きだな。このままだと寝るところがないから生活基盤をまずは整えたいんだ」


 リースは手を顎に当て、少し考え事をする。


「でしたら屋敷にぜひお泊まりください。食事もありますし、寝床もふかふかとしているので気持ちよく寝ることができると思います」

「いや、善意ということはわかるのだが、さすがにちょっとやめておくよ。リースのお父さんも多分それはダメって言いそうな気がするし」

「お父様でしたら基本的に家に帰られないので問題は有りませんね。お母様は家にいることが多いですが特に気にすることもありませんし、なにより本日のお礼もしたいのでおねがいします!」


 結局リースの圧に負けて今日は屋敷のお世話になることにした。

読了いただきありがとうございます。

次回投稿日は1月31日18時半になります!

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