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29 作戦会議

重要な修正を行ったのでこちらにも記載させていただきます。

アイテムバッグの詳細と、ノアのランク変更忘れについて。


【アイテムバッグについて】

アイテムバッグの詳細について記載漏れていたので、2話にて以下の文章を追加しました

――

 アイテムバッグを召喚すると、腰に下げるようなウエストポーチ型ではなく、両手で抱えるほどの小ぶりな革の鞄がポンッと目の前に現れた。なるほど、アイテムバッグ自体を取り出したりしまったりできるから普段は持ち歩かなくても大丈夫ということか……

――


【ランクについて】

ノアのランクの初期設定はAだったのですが、後にBに変更→23.5話に彼女のランク表記がAのままだったので修正致しました。

――

修正前

 振り返るとそこには見覚えのある顔があった。流石Aランク。こんな無理難題を一日でこなすのは恐ろしくもある。


修正後

 振り返るとそこには見覚えのある顔があった。流石Bランク。こんな無理難題を一日でこなすのは恐ろしくもある。

――


以上の変更を行いました。大変失礼しました

「まー戦犯探しはひとまず置いといて、かいちょーさっさと本題に行くっすよー」


 ノアがディッツさんに向かってビシビシと肩を叩く。

 照れ隠しのつもりか、ディッツさんは斜め上の方向を見る。それを見てフランさんとミリアが笑う。


 ドアの方からノックが聞こえ、レイシアさんが入ってくる。全員分のお茶を持ってきたようだ。

 紅茶の香りが部屋に充満し、食後だと言うのにその紅茶を飲んでみたいという欲求に駆られてしまう。

 お茶を一口頂き、俺はディッツさんに改めて質問をする。


「それでディッツさん、一体お話というのは……」

「そうだな。ユズル君、ルカ君を助けたときの爆弾というのは今も持っているだろうか? もしよければちょっとやりたいことがあるのだが」


 あの爆弾を使うというのだろうか? 突然物騒な話が舞い込んできた。

 ディッツさんは真剣に俺とルカの顔を見る。曇りなき瞳に驚きつつも爆弾について軽く応える。


「はい、この場で出すことは出来ませんが持ってます。森あたりで出せば爆発したとしても問題無いと思うのでそのへんで出すことなら可能です」


 その事を聞いたミリアが何故かニカッと笑う。

 なんだ、話が全く見えてこない。


「現在我々が考えているある計画があるのだが、その計画に乗ってほしいのだ」


……ディッツさんが説明を始める。

 俺は拳を握り、真剣に話を聞く体制を取る。


「ルカ君を保護したことはわかった。だがこれでは万事解決とはいかないんだ。ユズル君が生きているという情報を、ネイマール側がまだ握っている可能性がある。このままだとまたユズル君に何らかの被害が起きる可能性があるんだ」


 ディッツさんが声を低くし説明を行う。

 俺が生きてることをネイマール商会が掴んでいる……そのことについて全く気が付かなかった。

 相手は何をしてくるかわからない。また俺を殺そうと刺客を送りこんでくる可能性も十分ある。


「そこで計画したのは、ユズル君の持ってる爆弾をあえて森で爆発させ、今ルカ君が着ている服を一緒に爆発させるんだ。その後、爆発が終わった爆弾とボロボロのルカ君の服をネイマール商会の人間に相打ちしたところを目撃したというデマ情報を流すことだ」

「うーん、仮に爆発させた所でネイマール商会の人間に服と爆弾を渡すことはできるんですか? それだけでもかなり怪しまれる気がするが」


 当然の疑問だ。もしこの計画を実行するとしても暗殺が関わる内容だ。

 ただネイマール商会で働いてる人間には伝えられてないだろう。少なくとも幹部クラスにならないとこの情報は知らないはずだ。

 だがディッツさんは顔色一つ変えずに返事を行う。

 

「爆弾はこちらで使う予定があるから渡さないが問題ない。ノア君が既に幹部の人間は仕事終わりに行きつけの飲み屋で酒を飲むのが日課だという情報は掴んでいる」


 ノアがこちらを向いて笑いながらピースしてくる。

 

「すー!! 幹部の顔も割れてるので簡単に行くと思うっす。まぁノアちゃんは天才だしかわいいすからね!」


 なるほど、天才で可愛いなら行けるのか……

 ただ問題はルカだ。この作戦を行うとなると今着ている服が着れなくなるということだ。

 念の為ルカにも聞いておこうか。


「ルカ、いま着てる服大事なものだったりするか?勿論代わりの服も用意はするけど、ルカの服を犠牲にする作戦だから聞いておきたい」

「んー?別にボクはどんな服でもいいよ。なんなら裸でもいいさ。裸ならもうキミに全部見られちゃったからね、今更見られても恥ずかしくないよ」


……部屋の空気が一瞬にして凍りついた。しーんとする部屋の中で、ただ一人ルカが「いやーんうふーん」と体をもじもじさせながら棒読みで言い続けている。

 確かに爆弾を取り除く時に裸を見たことがあるが、アレは不可抗力みたいなものだ。

 しかしなぜだろう、今この場にいるルカ以外の全員がこっちを見ている気がする。


「いや、違うからね!? ルカの爆弾を取り除こうとした時にすこし見えちゃっただけだから!! ほんと、勘違いしないで!」


 追撃するかのようにルカが「きゃーえっちー」と棒読みで言ってくる。

 その後ミリアがゆっくり近づいて俺の目の前までやってきた。

 ミリアが真剣な表情で一言言い出す。


 「リース様にはやらないでくださいね。どうしても必要なら、わ、私が相手しますから……」

 

 ミリアが顔を赤くしながら小声で言ってくる。

 だから違うって言ってるだろおおお!!!!


 

 ◇ ◇ ◇


 なんとかみんなを説得し、誤解を解くことが出来た。

 別の意味で地獄みたいな空気だったよ。


「それで服の話だけど、特にボクはこの服に愛着とか思いやりはないから好きにしてもらって大丈夫だよ」


 その話を聞いてディッツさんが安堵する。

 ディッツさんがレイシアさんに「例のものを持ってきてくれ」と言い、レイシアさんが退室する。


「ルカが問題ないと言ってるので僕は協力します。なんなら俺赤いインク少しもってるので、布にインクを少し塗ってそれをボロボロにさせることで余計本物っぽくならないですかね?」

「インクを持っているとな。それは珍しい……是非使わせてもらおう」


 計画について話ししているとレイシアさんが戻ってきた。

 レイシアさんが持ってきたのは、ルカ用の新しい服のようだ。

 いつのまに用意していたんだろう?

 

「ルカ君。よければこちらで新しい服を用意したんだ。隣の部屋で着てみてくれないか?」

「凄く可愛い服だね。わかった、ちょっと着てみるよ」


 レイシアさんの方に向かって歩くルカの尻尾はいつもより大きく揺れている。


「えっと、インクの話でしたね。ちょっとこちらの世界では馴染みのないものになるんですが……一瞬庭をお借りしても?」


 インクはトラックの中に収納されている。こちらのカバンに入っているものではないので一度トラックを召喚する必要がある。

 ディッツさんが「どうぞ」といったので、部屋の中から直接庭に『みんなに見えるように』トラックを召喚した。

 トラックを初めて見るディッツさん、フランさん、ノアが驚き固まっている。


 どんな貴族でさえも見たことがないだろう。ここまで大きい立派な鉄の塊は。


「これが先程説明した俺のスキル「トラック召喚」です。俗に言う馬車のような乗り物で、このトラックに収納スキルがついてます。そのスキルで爆弾を取り出すことができたということですね」


 そう説明しながら俺はプリンターのインク(赤)を手元に来るよう荷物噴出スキルで取り出し、トラックを再度収納する。


「……なんだい、この不思議な手触りの箱は? 石でも鉄でもない、それでいて滑らかな……」

 

 ディッツさんがインクカートリッジを指でなぞり、不思議そうに呟く。


「この小さいのがインクの詰まった箱です。赤いインクを取り出すには分解しないといけないので後々となりますが、服についたら中々落ちない頑固なインクが付くと思います」


 みんながプリンターのインクカートリッジをまじまじと見守る。

 インク自体が珍しいのか、それともプラスチックが珍しのか。

 そうこう話しているとルカが戻ってきた。そこには見違えた姿のルカの姿があった。


 前のボロボロのローブとは比べ物にならないほど上質な革と布で作られた戦闘服だ。

 動きやすさを重視したショートパンツスタイルに、急所を守るレザーアーマー。

 全体的に黒と茶色で統一された落ち着いた色合いだが、よく見るとベルトや膝当ての金具が可愛らしい猫の顔を模したデザインになっている。


 機能的でありながら着る人の愛らしさも忘れない。

 まさに猫人族の暗殺者であるルカのためにあつらえられたような一着だった。


「可愛い服あまり着たことがないからちょっと恥ずかしいな。でも凄く良いよ、ボクの体に凄く馴染むし動きやすい」


 自然とみんなから拍手が沸き起こる。

 少し照れたような表情を見せるが、ルカの尻尾はずっと揺れていた。

 恥ずかしさよりも「アルベルト家に迎えられた」という喜びのほうが大きいのだろう。照れた顔から感じる嬉しいという感情を読み取ることが出来て凄く嬉しい。


「それじゃあ一旦ルカ君の前の服を預かろう。ユズル君、インクを取り出してもらってもいいかい?」

「わかりました、ですが部屋の中では取り出せないため少しだけ席を外します。少しだけ待っててください」


 俺は失礼しますと言い、庭へ足を運んだ。

 いつものようにトラックを召喚し、タイヤのすぐ前にカートリッジを設置する。

 運転席に乗り込みトラックを起動する。


(わるいな、ちょっとだけ力を貸してくれ)


 少しだけトラックを前に進めると、すぐに「パキッ」と音が鳴る。

 トラックから降りてインクカートリッジを確認すると、見事にカートリッジのプラスチックが割れていた。

 召喚していたトラックを送還し、プラスチックの破片も全て回収して俺はみんなの元へと戻る。


「お待たせしました。ここに柔らかい布……スポンジというものがあるのですが、ここにインクが含まれています。これを付着させたいところに押し付けるとインクが滲み出るので、インクを付けたいところに押し付けると綺麗な赤色が付着するようになります」

「なるほど、ありがとう。早速可能な限り前の服に付着させてしまおう」


 ディッツさんはスポンジを前のルカの服へと落とし、服同士をこすり合わせて赤色のインクをスポンジから服へと移す。

 インクの独特の匂いが充満してきたので俺は窓を開け換気する。気持ちのいい風が入ってきて部屋の中をリフレッシュしてくれる。


 こすり終えた服を見ると、真っ赤なインクが服のあちこちについていて前の服は見るも無惨な姿になっていた。


「このままではどうみても赤い汚れのついた服ですが、爆弾と合わせることで血液のように見えるようになるでしょう。これで信用される可能性が上がると思います」

「そうだな。爆発したあとの爆弾も持っていくんだ。説得力を持つアイテムとしてはこれ以上にないだろう」

 

 ここまでやっていて一つ疑問に思っていたことがある。

 爆弾ってどうやって起爆するんだ?

 俺が今預かっている爆弾は元々ヴォルフの魔力によって爆発する仕組みとなっているはずだ。だが当然ここにいる全員ヴォルフではないので起爆することができない。


「そういえば聞いていなかったのですが、俺の預かっている爆弾って起爆する方法あるんですか?」


「あ、それはね」と言いながらミリアが手を上げて喋り始める。


「私ファイヤーボールを打つことができるから、ファイヤーボールを爆弾にぶつけると爆発すると思うんだよね。だから私が物理的に起爆します!」


 なるほど、物理的に炎をあてて爆発させるのか。

 理科の実験みたいでワクワクする。


「というわけだから、ちょっとユズル君には南門を抜けたところまで一緒に来てほしいんだ。大丈夫か?」

「はい、ご一緒させていただきます」

「ボクもいくよ~」


 応接室の空気は、来たときに比べてとても和やかな雰囲気になっていた。

 この作戦うまくいくと良いな

読了いただきありがとうございます。

本編投稿は毎週月水金の3日、閑話投稿日は前話の翌日投稿となります。

詳しい投稿日時については活動報告書を参照ください。


投稿時間については全編一括18時半となります

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