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錬金術師のポーション屋。疲れたときはやっぱりこれ  作者: ChaCha


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80/111

お年玉は現金じゃなくて

正午すぎ。

店に日が差し込んで、瓶の影が床に並ぶ。


クリムは棚の上で伸び、

ルゥは入口であくび。


そこへ――


バンッ。


勢いよく入ってきた客が叫んだ。


「俺だって! お年玉が欲しい!!」


俺は手を止めて、ゆっくり顔を上げる。


「年齢」


「成人」


「解散」


「待って!? 気持ちの話!!

正月なのに! 働いて! 何も貰ってない!!」


「あー……“報われ感”不足か」


クリムが「きゅ(わかる)」と頷き、

ルゥは「わふ(年始あるある)」と尻尾を振る。


俺は棚から小瓶を三つ並べた。


「金は出ない。

代わりに“正月の足りない部分”を埋める」


◆一本目

【自分を甘やかしていい許可ポーション】


「まずこれ。

“正月くらいサボっていい”“今日は自分優先でいい”って思える。

意外と一番お年玉っぽいやつだ」


「許可……欲しかった……」


◆二本目

【頑張りの見返り実感ポーション】


「次。

去年やったこと、耐えたこと、ちゃんと拾える。

“何も貰ってない”が“ちゃんとやってた”に変わる」


「……それ、沁みる……」


◆三本目

【小さなご褒美を見逃さないポーション】


「最後。

コンビニの肉まんとか、昼寝とか、

“これで十分だな”って思える感度を上げる」


客は三本を見て、肩の力が抜けた。


「……現金じゃなくても、

ちょっと元気出ました」


「それでいい」


俺は肩をすくめる。


「お年玉ってのはな、

“今年も生き延びたな”って確認作業だ」


クリムが「きゅ(生存確認)」と鳴き、

ルゥが「わふ(大事)」と伏せる。


客は笑って瓶をしまった。


「じゃあ……

今日は自分にお年玉あげます」


「うまいもん食え。

それが一番効く」


扉が閉まる。


俺はカウンターに寄りかかって呟いた。


「……正月に欲しいのは、

金より“ちょっと許される感じ”だな」


クリム「きゅ(許可大事)」

ルゥ「わふ(甘やかせ)」


さて次は――

どうせ

「親戚の集まり回避お年玉ください」

とか来るんだろうな。


……やれやれ。



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