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錬金術師のポーション屋。疲れたときはやっぱりこれ  作者: ChaCha


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78/116

初日の出。耐久は、気合じゃなくて

夜明け前。


店の外は、刺すような寒さ。

吐く息が白く、空はまだ群青色だ。


クリムは棚の上で丸くなり、

ルゥは入口で「今日は外出たくねぇ……」って顔をしている。


そこへ――


カラン。


コートを何枚も重ねた客が、肩をすくめながら言った。


「極寒の中、初日の出待ってるんだけど……

なんか温まるの下さい」


俺は一瞬だけ間を置いてから返す。


「“感動”で温まるやつは置いてない」


「そこをなんとか!!

足の感覚ないし!

風が裏切ってくるし!

あと、待ち時間が修行!!」


「あー……あれはな。

気合で耐えると、正月早々ダメージ残る」


クリムがつらそうに「きゅ……」と鳴き、

ルゥは「わふ(無理するな)」と小さく吠えた。


俺は棚から小瓶を三つ並べる。


「“体温上げっぱなし”は無理だ。

だから“冷えに負けない順番”で行く」


◆一本目

【末端ぽかぽかポーション】

「まずこれ。

指先と足先に血が回る。

“寒さで心が折れるポイント”を潰すやつだ」


「それだけで助かる……!」


◆二本目

【風ストレス緩和ポーション】

「次はこれ。

冷たい風を“痛み”として感じにくくする。

体感温度が数段マシになる」


「風が一番の敵なんですよ!!」


◆三本目

【待つ時間を前向きにするポーション】

「最後。

“まだ出ない”“寒い”“帰りたい”って思考を

“もうすぐ”“これもイベント”“あと少し”に切り替える」


客は三本を見て、ふっと息を吐いた。


「……これで初日の出、

ちゃんと拝めそう」


「拝めなくてもいい」


俺は肩をすくめる。


「途中で帰っても、

今年は始まってる。

初日の出は“見れたらラッキー”くらいがちょうどいい」


クリムが「きゅ(義務じゃない)」と鳴き、

ルゥが「わふ(安全第一)」と尻尾を振る。


客は笑いながら瓶をしまった。


「行ってきます。

無理せず、楽しんできます」


「おう。

凍えたら帰ってこい」


扉が閉まる。


俺はカウンターに肘をつき、外の気配を感じながら呟いた。


「……初日の出より、

無事に帰るほうが縁起いいからな」


クリム「きゅ(正論)」

ルゥ「わふ(完全同意)」


さて――

次はどうせ

「初夢が悪かったんで修正ポーションください」

とか来るんだろうな。


……やれやれ。


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