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錬金術師のポーション屋。疲れたときはやっぱりこれ  作者: ChaCha


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69/112

洗っても洗っても頭皮が臭う

夕方。

外は風が冷たくなりはじめ、

店の中は静かだ。


クリムは棚の上で前足をそろえ、

ルゥは入口で伏せている。


カラン。


「洗っても洗っても頭皮が臭う!!」


「声がでかい」


客は両手で頭を抱えたまま続ける。


「毎日洗ってる!

ちゃんと泡立ててる!

二度洗いもしてる!!

なのに……夕方になると……!!」


クリムが「きゅ……(深刻)」

ルゥが「わふ……(本人つらい)」と距離を保つ。


俺は腕を組む。


「で、本音は?」


客は少し黙ってから言った。


「……清潔にしてるのに、

だらしない人みたいに思われそうで……」


あー。

匂いそのものより、評価不安だな。


俺は小瓶を三つ並べた。



◆一本目

【洗いすぎを止めるポーション】


「まずこれ」


瓶を指で軽く叩く。


「頭皮の臭いはな、

汚れじゃなく“守りすぎ”で出ることが多い」


客が目を見開く。


「洗いすぎると、

皮脂が慌てて増える」


クリムが「きゅ(逆効果)」。


「これは、

“必要な分だけ残す”感覚を戻すやつだ」



◆二本目

【頭皮の巡りを整えるポーション】


「次」


俺ははっきり言う。


「臭いは、

溜まりのサインだ」


ルゥが「わふ(血行)」と鼻を鳴らす。


「これは、

皮脂も汗も“出たら流れる”状態に戻す」



◆三本目

【匂いを“人格評価”に変換しないポーション】


客が一番食いついた。


「それ、欲しいです……」


「だろ」


俺は静かに言う。


「匂い=だらしない、

じゃない」


瓶を押し出す。


「体調、ストレス、生活リズム。

匂いは“結果”であって、

人柄じゃない」



客は三本を見つめ、長く息を吐いた。


「……俺、

必死で洗って、

余計追い詰めてました」


「よくある」


俺は肩をすくめる。


「清潔にしようとする人ほど、

この罠にハマる」


客は小さく笑った。


「……ください。

ちゃんと整えたいです」


「おう」


瓶を渡す。


「臭いはな、

消すもんじゃない。

“整える”もんだ」


客は頭を下げて出ていった。


扉が閉まる。


俺は天井を見上げて、ため息ひとつ。


「……身体のサインを

敵扱いする人、多いよな」


クリム「きゅ(味方)」

ルゥ「わふ……(聞け)」


まったく。

次はどうせ「自分の匂いが気になって外出できません」系が来るんだろうな。


……やれやれ。

でも来たら来たで、ちゃんと向き合うけどさ。

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