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錬金術師のポーション屋。疲れたときはやっぱりこれ  作者: ChaCha


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61/112

年末は、身体が先に反省する

夕方。

外はやけに忙しなく、風が冷たい。


クリムは棚の上で丸くなり、

ルゥは入口で「察した顔」をしている。


カラン。


「あいたたた! あーイタタタ」


「どうした?」


「年末掃除をギリギリまでやらなかったらさ」


「あー」


全て理解した。


客は腰を押さえ、肩を回し、

動くたびに顔が歪む。


「張り切ったんだろ」


「張り切った……

普段使わない筋肉を……

一気に……!」


クリムが「きゅ……(計画性)」、

ルゥが「わふ(分割しろ)」とため息。


俺は小瓶を三つ並べた。



◆一本目

【年末用・筋肉なだめるポーション】


「まずこれ」


瓶を指で叩く。


「急に働かされた筋肉を、

“いや、今日はもういいから”って

落ち着かせる」


「神……」



◆二本目

【動いた自分を責めないポーション】


「次」


客が首をかしげる。


「掃除で一番ダメなのはな、

“なんでこんなに溜めたんだ”って

自分を殴り始めることだ」


ルゥが「わふ(メンタル直撃)」。


「これは、

“やっただけ偉い”って

思い出させるやつ」



◆三本目

【今日はここまで、を許すポーション】


「最後」


俺は真顔で言う。


「年末はな、

“全部終わらせる日”じゃない」


瓶を差し出す。


「“ここまでで良し”って

線を引くためのやつだ」



客は三本を抱えて、ほっと息を吐いた。


「……掃除って、

戦闘だったんだな」


「しかもボスは“過去の自分”だ」


客は苦笑して立ち上がる。


「助かった……

今日はもう、休みます」


「それでいい」


俺は頷く。


「年末はな、

身体を壊してまで片付けるもんじゃない。

生きて新年迎えたら勝ちだ」


客はゆっくり帰っていった。


扉が閉まる。


俺は棚を見渡して、ぽつり。


「……次は来るな」


クリム「きゅ?」

「『雑巾がけで人生を振り返りました』って」


ルゥ「わふ……(ありそう)」


やれやれ。

年末は、痛みから学ぶ人が多すぎる。



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