表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金術師のポーション屋。疲れたときはやっぱりこれ  作者: ChaCha


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/112

サンタに会える夜は、眠りの中にある

閉店前。

店内は静かで、クリムは棚の上、

ルゥは入口で丸くなっていた。


そこへ、こつ、こつ、と小さな足音。


小さな子どもが、両手で大事そうに紙を持って立っていた。

俺の前まで来て、そっと差し出す。


「……お使いか? えらいな」


こくり、と頷く。


俺は手紙を受け取って、目を通した。


――

「サンタにあえるやつを渡してやってください」

――


俺は即座に顔を上げた。


「幻覚系はダメだ!」


子どもがびくっとする。


クリムが「きゅ……(言い方)」、

ルゥが「わふ……(落ち着け)」とたしなめる。


俺は膝をついて、目線を合わせた。


「ごめんな。

びっくりさせたな」


子どもは少し考えてから、ぽつり。


「……ほんとに、いるか、しりたくて……」


ああ。

欲しいのは証明じゃない。安心だ。


俺は小さな瓶を三つ、ゆっくり並べた。



◆一本目

【帰る場所が“特別な夜”になるポーション】


「まずこれ」


瓶は星みたいな色をしている。


「家に帰ったら、

今日は“いつもと違う夜”って空気を作る」


クリムが「きゅ(わくわく)」と鳴く。



◆二本目

【眠る前に想像を整えるポーション】


「次」


俺は指で小さな円を描く。


「これは“見る”ための薬じゃない。

“想像していい時間だよ”って合図」


ルゥが「わふ(夢は安全)」と静かに尻尾を振る。



◆三本目

【朝に“届いた気持ち”が残るポーション】


子どもが身を乗り出す。


「これが一番大事だ」


俺は真剣に言う。


「サンタはな、

会えたかどうかより、

“ちゃんと想ってくれた”って気持ちを

朝に残してくれる」


瓶をそっと差し出す。


「それがあれば、

会えなくても、

ちゃんと来たって分かる」



子どもは三本を抱えて、少し考えたあと、笑った。


「……これで、いい?」


「おう」


俺は頷く。


「本当に大事なものはな、

目で見るより、

朝まで残る」


子どもは深く頭を下げて、走って帰っていった。


扉が閉まる。


俺は棚を見上げて、息を吐く。


「……幻覚は出さない。

夢は、守る」


クリムが「きゅ(合格)」、

ルゥが「わふ(それでいい)」と同時に丸くなった。


さて――

次は来るな。


「トナカイに会わせてください」とか。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ