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錬金術師のポーション屋。疲れたときはやっぱりこれ  作者: ChaCha


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113/118

カップルに挟まれてる。

カラン!


扉が開いた瞬間、

俺は人数を数えた。


……一人。


だが――

情報量が多い。


入ってきた男は、

肩を落とし、頬をこけさせ、

開口一番こう言った。


「店主……

俺、今……

5人パーティーなんすよ……」


「ほう」


「で、

左右がカップルで、

前後もカップルで……」


「待て」


俺は指を折る。


「お前含めて5人だよな」


「はい」


「……詰んでないか?」


「詰んでます!!」


クリム「きゅ(板挟み)」

ルゥ「わふ(圧)」


男は、

想像しただけでダメージを受けた顔をしている。


「戦闘中も……

『大丈夫?』

『無理しないで』

って……

俺じゃない方向に飛び交うんすよ……!」


「知るか」


「俺、

回復もらったことないです!!」


「それは実力では?」


「違います!!

イチャつき優先です!!」


クリム「きゅ(私情)」

ルゥ「わふ(職務放棄)」



俺はため息をついて、

棚から瓶を三つ。


コトン。

コトン。

コトン。


「結論から言うと」


男が身を乗り出す。


「解散させる薬は無い」


「ですよね!!」



一本目。


「【ソロ耐性が上がるやつ】」


「周囲がイチャついてても、

精神ダメージを軽減する」


男は瓶を見て、

真顔になった。


「……俺、

これ飲まないと

生きていけない気がします……」


クリム「きゅ(必須)」

ルゥ「わふ(防具)」



二本目。


「【空気を読まなくてよくなるやつ】」


「気まずさを感じなくなる。

無言=失敗、じゃなくなる」


男の目が輝く。


「それ!!

それです!!」


「お前、

今まで空気を読みすぎだ」


「はい!!」



三本目。


俺は少しだけ、

ニヤッとした。


「【第三者ポジションを楽しめるやつ】」


男が、

首を傾げる。


「……楽しめる……?」


「『あ、これ今、

俺がいなくても成立してるな』

って時に、

自分の自由時間だと思える」


間。


男は、

三本目をじっと見てから言った。


「……それ飲んだら、

虚しくなりません?」


「逆だ」


「?」


「縛られてないって分かる」


沈黙。


クリム「きゅ(正論)」

ルゥ「わふ(自由)」


男は、

一拍置いて――

三本目に手を伸ばした。


「……ください」



会計。


男は瓶を抱えながら、

ふと聞いた。


「……ちなみに……

カップル、

このまま続くと思います?」


俺は即答した。


「半分は別れる」


「ですよね!!」


クリム「きゅ(統計)」

ルゥ「わふ(経験)」



カラン。


男は、

少し背筋を伸ばして出ていった。



俺は棚を見て言う。


「……ソロはな」


クリム「きゅ?」

ルゥ「わふ?」


「挟まれてる時ほど、

自由だ」


クリム「きゅ(名言)」

ルゥ「わふ(孤高)」


俺は肩をすくめる。


「次はどうせ、

『全員カップルになった後の

飲み会に呼ばれた』だな」


クリム「きゅ……(地獄)」

ルゥ「わふ……(逃げろ)」


カラン。


今日もこの店は、

パーティ構成の不満で賑やかだ。


――ソロは、

最後まで残る役割だからな。


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