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錬金術師のポーション屋。疲れたときはやっぱりこれ  作者: ChaCha


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112/119

二柱の誕生祭。私、同じ誕生日なんです!

カラン!


扉が開いた瞬間、

俺は嫌な予感しかしなかった。


なぜなら――

紙吹雪が舞ったからだ。


「おめでとうございまーーーす!!!」


「してねぇ!!」


俺の即ツッコミを無視して、

客は満面の笑みでカウンターに突撃してきた。


クリム「きゅ!?(なに!?)」

ルゥ「わふ……(騒音)」


「聞いてください店主!!

今日、二柱の誕生祭ですよね!?」


「そうだな」


「で!!

私も同じ誕生日なんです!!」


「知らん」


「でも!!

誰も!!

私の誕生日を祝ってくれないんです!!!」


息継ぎなし。

勢いだけで生きてる。


俺は額を押さえた。


「……で?」


「私も祝われたい!!」


「神と並ぶな」


「同日です!!

誕生日は平等です!!」


クリム「きゅ(強い)」

ルゥ「わふ(メンタル)」



俺はカウンターに肘をつく。


「結論から言うと」


身を乗り出す客。


「祝われたいポーションは無い」


「ええ!?」


「祝われるのは他人の行動だ。

俺が介入できるのは、お前の状態まで」


「じゃあ!!

お祝いされなくても平気になるポーションください!!」


「それは悲しすぎるだろ」


「じゃあどうすればいいんですか!!」


俺は棚を見る。

今日は軽めでいく。


コトン。

コトン。

コトン。



一本目。


「【自分でケーキを買っても

罪悪感が消えるやつ】」


「……え?」


「誰かに祝われない=

ケーキ食っちゃダメ、じゃない」


客は瓶を見て、

じわっと目を見開いた。


「……それ、

ずっと欲しかったです……」


クリム「きゅ(切実)」

ルゥ「わふ(わかる)」



二本目。


「【誕生日を申告しても

図々しくならないやつ】」


「『今日誕生日なんだ』って言っても、

空気が凍らない」


「……それ!!

それです!!」


両手で瓶を掴む。


「毎年、

言えなくて終わるんです!!」


「言え」


「はい!!」



三本目。


俺は少しだけニヤッとする。


「【祝われなくても

今日は特別だって分かるやつ】」


客が、一瞬黙った。


「……それ……

ちょっと……」


「ん?」


「……自分で思うやつですね……」


「そうだ」


間。


クリム「きゅ(大人)」

ルゥ「わふ(成長)」


客は、

三本目を見てから――

ちゃんと自分で手を伸ばした。


「……ください」



会計。


客は瓶を抱えながら、

ふと思い出したように言う。


「……二柱って、

祝われてますよね」


「年中な」


「……いいなぁ」


俺は即答した。


「神はな、

祝われなくても平気だから神なんだ」


クリム「きゅ(深い)」

ルゥ「わふ(多分)」



カラン。


客は振り返って言った。


「じゃあ、

今日はケーキ二個食べます!!」


「食え」


「ろうそくも二本立てます!!」


「立てすぎだ」



扉が閉まる。


俺は肩をすくめる。


「……誕生日ってのはな」


クリム「きゅ?」

ルゥ「わふ?」


「誰かに祝われる日じゃなくて、

自分が自分を甘やかす日だ」


クリム「きゅ(正解)」

ルゥ「わふ(太るぞ)」


俺は棚を見回す。


「次はどうせ、

『誕生日忘れられすぎて

年齢分からなくなった』だな」


クリム「きゅ……(怖)」

ルゥ「わふ……(来るな)」


カラン。


今日もこの店は、

祝われたい人で賑やかだ。


――神より先に、

自分を祝え。

私は恵方巻きと炒り豆をしっかり食べました!

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