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「可愛い女の子から回復魔法をかけられたい!」と思い味方をかばいまくっていたら、過保護パーティーができた  作者: 猫野 ジム


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第36話 痛いのは嫌なので

 聖女様によると、エミルは聖女にだってなり得るほどの魔力を秘めているそうだ。

 だけど制御が上手くできていないので、ヒールを使う時に魔力が大量に流れすぎてしまっているらしい。


 それを改善するには、エミルのレベルアップと慣れが必要とのこと。

 ということは、モンスターと戦わなければならない。全員がDランクになったことだし、せっかくだから王都のギルドに行ってみるか。



 聖女様に謁見した翌日の朝、全員で宿の食堂にある四角いテーブルを囲んで朝食をとりながら、これからどうするか相談することになった。


「俺としてはエミルのレベルアップを最優先にするべきだと思うんです」


「それは私も賛成だけど、エミルはヒーラーだからね、レベルアップしづらいジョブだよ」


「そういえばミントさんはヒーラーなのにAランクですよね、どうやってレベルアップしたんですか?」


 ミントさんとは、解散したカリンカさん達のパーティーメンバーだった人で、おっとりした話し方の美人お姉さんのこと。

 補助魔法も使えるヒーラーで、ミントさんはいち早くエミルの素質を見抜いていた。


「私達は全員がFランクだった頃からパーティーを組んでいたからね。ケガだってたくさんしてきたんだよ。だから自然といつの間にかという感じかな。もとよりミントには魔法の才能やヒーラーとしての素質があったのだろうね」


「なるほど、やっぱり誰かがケガしないと回復魔法は使えないということですね」


「リクト、まさかとは思うけど変なことを考えてはいないだろうね?」


「変なことってなんですか?」


「どうも君は無茶をする傾向がある。エミルのレベルを上げるために、ワザとケガしようとか考えていそうだからね」


「ええー、そんなわけないじゃないですか。俺だって痛いのは嫌ですから」


 そう、俺だって痛いのは嫌。なので防御力に極振りしなくても、俺には【ダメージ調整】があるからなんとでもなる。

 だけど『軽傷』に設定することも多いから、結局は痛い思いをすることになるんだけど。


「ホントにリクトはすーぐ前に出るんだから。私、その度にハラハラしてるのよ」


「大丈夫だって。俺だって相手を見て前に出るか決めてるからな」


「そう。それならまたリクトのためにスープを作ってあげるからね」


「なんでこの流れでスープが出てくるんだ? それに俺のためじゃなくて、みんなのためにじゃないのか?」


「それはもちろんそうよ」


「言ってることがよく分からん。それと新しいライトアーマーになったから、防御力が上がってるはずだ。そういえば一緒に防具屋に行ったよな」


 俺がそう言うと、右隣りに座っているエミルが高速で俺を見てきた。それはさながら二度見のような速さ。


「リクトさん、ミヤさんと一緒にお出かけしていたんですか?」


「そうだけど、前にも言ったじゃないか」


「そうですね、私が目を離した隙にですよね」


「目を離した隙って、それじゃまるで俺がペットみたいじゃないか」


「このパン、ふわふわで美味しいですー」


 もはや俺にはツッコむ権利すら無いのか。エミルはスキル【精神防護(都合が悪いことは聞こえない耳)】でも習得してるの?


「本当に三人は仲がいいんだね」


 そう言ってカリンカさんが微笑んだ。こんなので果たして仲がいいと言えるのか。絶妙に意思疎通ができてないと思うのは俺だけ?


「せっかく王都まで来たんだし俺、冒険者ギルドに行ってみたいです」


「あ、私も行ってみたいかもー」


「リクトとミヤはそれが希望なんだね。エミルはどう?」


「わたし、気になります!」


 目をキラキラさせるエミル。エミルは冒険者ギルドや宿が無い村で育ったから、きっと好奇心が強いんだろうな。


「うん、分かった。それなら今日は冒険者ギルドに行ってみようか」



 というわけで、正午前には冒険者ギルドに到着した。ガリアーノの街のギルドも豪邸みたいでかなり大きいけど、ここはそれを超える大きさで人の出入りも多い。さすが王都。


 中に入るといくつものテーブル席が置かれたエントランスや、複数ある依頼掲示板、それに10はあるだろう受付カウンターなどが目についた。その全てが最大級。


 それに比例するかのように人の数も多い。さらにレストランも併設されており、そこでもたくさんの人で賑わいを見せている。


「さすが王都ですね、全部が最大級じゃないですか」


「そうだね。王都ともなると集まる冒険者の数も多いからね」


「俺達もDランクになったことだし、せっかくなので何か依頼を受けませんか?」


「私もリクトに賛成するわよ」


「私もです」


「うん、分かるよ。昇格したばかりだと、早く新しいランクの依頼を受けたくなるよね」


 それから全員でDランク依頼書が貼られている掲示板の前へと移動した。


「ねえ、これなんてどうかなー?」


 ミヤがそう言って指差したのは、高級ポーションの材料となる薬草の採取だ。


「えー、Dランクになってまで薬草採取するのか? 俺はダンジョン探索がいいと思うんだが」


「ダンジョン探索なんて危ないじゃない。私はね、ケガしたくないの」


「それは俺だってそう思うけど、もしそうなったらエミルのヒールで回復してもらおう」


「い・や・よ! とにかく私はもう絶対にケガしないんだからねっ!」


「カリンカさん、Dランクの薬草採取ってどうなんですか?」


「まあ確かに一見Fランクの依頼に思えるけど、採取する森にDランクモンスターが出るんだ。それに山の上だからそこまでたどり着くのも大変だね。だからDランク依頼になっているんだよ」


 とりあえずミヤは放っておくとして、とある依頼書が視界に入った。


「これなんてどうでしょうか?」


 俺はそう言って依頼書を指差して、カリンカさんに聞いてみた。


「うん、いいんじゃないかな。Dランク最初の依頼として丁度いいね。薬草採取よりも危険は少ないかな」


「ほら、ミヤ。結局はどっちもモンスターが出るみたいだぞ。それにダンジョン探索のほうが危険が少なく、それでいて報酬が多い。それならダンジョン探索がいいと思わないか?」


「うぅ、カリンカさんに聞くなんて卑怯よっ! 王都から帰ったら夕食を楽しみにしてなさいっ!」


「なんで夕食の話になるんだ? ミヤってたまによく分からんことを言うよな」


 俺が手にした依頼書、それはとあるダンジョンでのボスモンスター討伐依頼だった。

 どうやらボスモンスターというものが実在するらしい。

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