表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「可愛い女の子から回復魔法をかけられたい!」と思い味方をかばいまくっていたら、過保護パーティーができた  作者: 猫野 ジム


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/39

第32話 聖女?

 ミヤの昇天という尊い犠牲(?)と引き換えに、エミルのレベルが上がった。

 それからというもの、モンスターと遭遇することがなくなったのだ。


 俺はこの状況をどこかで見たことがあるような気がした。体験したと言ったほうが正しいか。


 合同探索の出発前に、聖女と呼ばれる若い女性が祈りのポーズをとった。その時の俺は形だけのものだろうと思ったんだ。

 でも実際は違っていた。聖女様は結界魔法を一度に50人ほどにかけていたのだ。何気に無詠唱で。


 そして俺はカリンカさんのこんな言葉も思い出した。「聖女様だけが使える魔法というものがあってね、結界魔法はそのうちの一つなんだよ」と。


(もしこれがエミルの結界魔法によるものだとしたら、エミルは聖女ということに……?)


「あの、カリンカさん。これって結界魔法なんじゃないですか?」


「確かに状況だけで考えるとそうなるけど、でもそんなはずは……」


「結界魔法は聖女様にしか使えないってカリンカさん言ってましたよね?」


「うん、そうだよ。人は誰しも魔力というものを持っていてね。そして魔力量には個人差がある。運動能力も人によって違うよね? それと同じようなことだよ。そんな中で聖女様は並外れた魔力を持つと言われているんだ」


「エミルが聖女だという可能性は?」


「うーん、考えにくいけど、だとするとこの状況の説明がつかないね」


「ほらっ! 私の言った通りだったでしょ? やっぱりエミルは聖女なのよ!」


「私、聖女様なんですか!」


 こんなワケの分からんやり取りができるのも、モンスターが寄ってこないからこそ。


「そういえば思い出しました。前にカリンカさんのパーティーと一緒に龍の巣に行った時、ミントさんがエミルにはヒーラーとしての素質がすごくあるって言ってました」


 Aランクヒーラーであるミントさんが言うんだから、きっとそうなんだろう。


「ミントがそんなことを言っていたんだね。確かにミントは魔力感知も得意だから、何か感じるものがあったんだろうね」


 とりあえずこの件は帰ってから話し合うということになり、俺達はダンジョンからの帰還に専念することにした。

 そしてその間もモンスターと遭遇することはなく、予定より早い夜7時にはギルドに到着することができた。


 そしていつものように俺が代表して受付まで報告することに。受付はいくつかあるけど、やっぱりカスミさんがいるカウンターに行くことにしよう。


 採取した薬草がぎっしり入ったギルド指定の袋を手に、黒髪美人お姉さんの前へ。


「依頼達成できました。依頼書と証拠の薬草です」


「はい、確認しますね」


「カスミさんっていつもいますけど、ちゃんと休めてますか?」


「心配してくれるの? ありがとう。大丈夫、きちんと家に帰っているからね」


「それはよかった」


「フフッ、リクトさんは優しいのね。だから女の子にモテるのかなー?」


「いえいえ、そんなことはないですよ。パーティーメンバーがたまたま女性なだけです」


「もしかするとリクトさんのことを好きな子がいたりしてね?」


「ははっ、そんなまさか」


 そうは言ったがいくら俺でもなんとなく心当たりはある。

 俺のことを勝手に彼氏だと言いまくる子に、ある日突然距離感がバグった子。


(身の危険があるのでは……?)


「はい、これでこの依頼は終了となります。これが報酬ね。それとDランクへの昇格も申請しておくので、また三日後に来てくださいね」


 それからエントランスで待つみんなのもとへ。その途中、軽装タンクという言葉を耳にした。無事に通り名が通っているようで複雑な気分に。



 それから家に帰ってまずは風呂に入ることにした。今日は俺が一番最後なんだけど、なんと女性三人は時短になるからと一緒に入るのだという。


 これは妄想がはかどるというもの。……違う違う、メンバー相手にそんなこと考えたらいけない。

 でもその後、俺は湯船につかっている間なんとなく意識してしまった。


 全員がサッパリした後は、優しく頼りになるお姉さんと、積極的の方向を間違えている女の子と、距離感バグを抱えた女の子と一緒にテーブルを囲んで夕食をとる。


「リクト、いったいエミルはいつまでそのままなのかな?」


「なんで俺に聞くんですか?」


 今日もエミルは椅子をピッタリくっつけ、悪意なく俺の食事を邪魔してくる。


「なあエミル、このままだとエミルも食べづらくない?」


「私は平気ですよ?」


「俺はどうだと思う?」


「このお肉、舌の上でとろけそうですー!」


 はい、俺の質問はまた迷子になりました。


 夕食後、カリンカさんが話があるからと全員に向けて言う。


「みんないいかな? エミルのことなんだけどね。ダンジョンからの帰りに一度もモンスターと遭遇しなかったよね。あれは結界魔法によるものかもしれない。そしてそれはエミルが発動させた」


「じゃあもしかしてエミルが本当に聖女かもしれないってことですか?」


「あれが本当に結界魔法だとしたらね。だから王都まで行って聖女様にお会いしようと思うんだ」


「私は賛成するわよ」


 ミヤは速攻で賛成した。


「エミルはどうしたいんだ?」


「私が聖女様……? 信じられません。でもっ、私に何かできることがあれば、いろんな人のお役に立ちたいです」


「リクトはどう?」


「そうですね、俺が冒険者をしてるのはエミルの手助けをしたいからで、エミルが望むなら俺はいくらでも協力するつもりです」


「うん、分かった。みんな賛成ということで、王都まで行くことにしようか」


 というわけで、パーティーを結成してから初の遠征が決まった。違う意味で心配な女の子二人も一緒に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ